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第二章
銀の樹が喜ぶこと
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三日三晩、公爵夫人が樹のそばを離れたのは湯あみなどの最低限の時間の間だけであった。最初は何も変化がない、と思っていた銀の樹だが、段々日々わかる程度に幹が太くなり葉も茂ってきた。
『これは気分がいいな』
守護者が機嫌が良いようだ。夫人は今日は部屋でゆっくり寝ている。
「そうか。西の辺境の樹にもするらしいぞ」
『うむ。そうしたら、多分、あちらにアルが来たらアルと話せるようになるし、そうすればセイラも安心するだろう』
守護者は笑う。
「エクトルの事は」
『あやういのう。じわじわと黒魔術の気配がまとわりつく量が増えている』
守護者は心配そうだ。
『樹の側にきたら浄化してやれるんだがな。浄化して黒魔術の気配を土に埋めて、結界を補修して。本体も意外と忙しいのだ』
公爵は暫く考えていた。
「なぁ、浄化の魔石を今回の魔石みたいに樹の周りに埋めたららくになるか?」
『なる』
守護者はきっぱりと言った。
「なら集めよう」
「術的には多分必要個数は12個。そして12個集めるなら何年かかかるであろう。……魔石代わりにダイヤモンド、ちょっとした大きさの物が必要だが、おぬしなら手にいれられるであろう?』
「……まず家にあるのを持ってくる。執務のあとでな」
『頼んだ』
夕刻に公爵は鞄に綺麗に並んだ研磨されたダイヤモンドを持ってきた。
『研磨したものより原石の方がよいな』
守護者は言う。その方が大地のエネルギーを取り込みやすいし大地と馴染んで周りを浄化してくれるのだと。公爵は溜息をつく。
「わがまま言いおって」
『ふふ。この程度、おぬしならなんとでもなるしなんとでもするからだよ。信頼してるのさ』
公爵は困った顔になる。
「そういわれたらなんとかするしかないだろうな。明後日に一度報告する」
銀の樹は肯定を意味するのがさやさやとその葉を揺らした。
公爵は配下の鉱山長にある程度の大きさと純度の原石を用意してもらう。浄化の魔石は神官が作るものなので、神殿に行き依頼をする。そして神殿の裏にある小屋に行く。そこは引退した前神官長が住んでいた。王都は騒がしいと移住してきた男だ。元は同級生で公爵の事を夫人以外で『エチエンヌ』と名前で呼ぶ男だった。(もっとも、夫人は愛称の『エチ』で呼ぶことが多い)
「なんだ、エチエンヌか」
「いい赤ワインがあるんだ」
「頼み事は?」
元神官長はさっくりと要件を訊ねる」
「……魔石を浄化の魔石にしてくれんかな。神殿の依頼料と同じくらいは最低限支払う」
元神官長は少し考えていたが首を横に振る。とある赤ワインの銘柄を言いそれを12本でいいと答えた。
「じゃ残りは11本だな」
公爵は手に持っていた赤ワインを目の前に持って行った。
「ち、1本は先に貰うか」
神官長はそう言うと小屋に招き入れる。
「俺が石を作ってる間、そこにあるチーズでも炙って喰っといてくれ。黒パンでもなんでも好きなパンを使っていい」
不愛想に神官長は言い、公爵に託された魔石を手に取りどっかりと椅子に腰かけた。
『これは気分がいいな』
守護者が機嫌が良いようだ。夫人は今日は部屋でゆっくり寝ている。
「そうか。西の辺境の樹にもするらしいぞ」
『うむ。そうしたら、多分、あちらにアルが来たらアルと話せるようになるし、そうすればセイラも安心するだろう』
守護者は笑う。
「エクトルの事は」
『あやういのう。じわじわと黒魔術の気配がまとわりつく量が増えている』
守護者は心配そうだ。
『樹の側にきたら浄化してやれるんだがな。浄化して黒魔術の気配を土に埋めて、結界を補修して。本体も意外と忙しいのだ』
公爵は暫く考えていた。
「なぁ、浄化の魔石を今回の魔石みたいに樹の周りに埋めたららくになるか?」
『なる』
守護者はきっぱりと言った。
「なら集めよう」
「術的には多分必要個数は12個。そして12個集めるなら何年かかかるであろう。……魔石代わりにダイヤモンド、ちょっとした大きさの物が必要だが、おぬしなら手にいれられるであろう?』
「……まず家にあるのを持ってくる。執務のあとでな」
『頼んだ』
夕刻に公爵は鞄に綺麗に並んだ研磨されたダイヤモンドを持ってきた。
『研磨したものより原石の方がよいな』
守護者は言う。その方が大地のエネルギーを取り込みやすいし大地と馴染んで周りを浄化してくれるのだと。公爵は溜息をつく。
「わがまま言いおって」
『ふふ。この程度、おぬしならなんとでもなるしなんとでもするからだよ。信頼してるのさ』
公爵は困った顔になる。
「そういわれたらなんとかするしかないだろうな。明後日に一度報告する」
銀の樹は肯定を意味するのがさやさやとその葉を揺らした。
公爵は配下の鉱山長にある程度の大きさと純度の原石を用意してもらう。浄化の魔石は神官が作るものなので、神殿に行き依頼をする。そして神殿の裏にある小屋に行く。そこは引退した前神官長が住んでいた。王都は騒がしいと移住してきた男だ。元は同級生で公爵の事を夫人以外で『エチエンヌ』と名前で呼ぶ男だった。(もっとも、夫人は愛称の『エチ』で呼ぶことが多い)
「なんだ、エチエンヌか」
「いい赤ワインがあるんだ」
「頼み事は?」
元神官長はさっくりと要件を訊ねる」
「……魔石を浄化の魔石にしてくれんかな。神殿の依頼料と同じくらいは最低限支払う」
元神官長は少し考えていたが首を横に振る。とある赤ワインの銘柄を言いそれを12本でいいと答えた。
「じゃ残りは11本だな」
公爵は手に持っていた赤ワインを目の前に持って行った。
「ち、1本は先に貰うか」
神官長はそう言うと小屋に招き入れる。
「俺が石を作ってる間、そこにあるチーズでも炙って喰っといてくれ。黒パンでもなんでも好きなパンを使っていい」
不愛想に神官長は言い、公爵に託された魔石を手に取りどっかりと椅子に腰かけた。
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