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第二章
懐かしい気配
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「なんだ、これ?」
アルは送られてきた銀の葉に触れる。懐かしい気配にアルの心臓はどくんと大きくなった。
「う……そだろう」
ねぐらにしている宿で一人呟いた。急いで手紙を読む。それには蝶々手紙のシステムを守護者が解析して、守護者自身の魔力とアルの魔力で手紙をやり取り出来るようにした事。安全の為グランサニュー公爵領の銀の樹に届くようになっていて最初に守護者と公爵が読むことが公爵の筆跡で書かれていた。
「使い方は……どうするんだ?」
アルは女学生がやり取りしている蝶々手紙を知らなかった。
「マドレーヌ嬢、蝶々手紙って知ってるか?」
「蝶々のお手紙の事かしら?下級生とかからよく貰ったわ」
ギルドにいたマドレーヌを捕まえアルは訊ねた。
「それの使い方教えてもらえるかな?」
「いいけど……お昼食べに来たんだ、今日は。食堂で落ち合おう。食べ物買ってくる」
「俺も飲み物買うから一緒に行こう」
マドレーヌは警告する。
「私のごはんまで支払おうとしないでね?……貴方のその態度は私の恋人とか保護者に近くなっているから」
アルは閉口せざるを得なかった。そう、年下の貴族令嬢なので保護しなければと体が勝手に動くのだ。
「それにね、私の被保護者は父親なの、まだ。その領域を侵さない動きをお願いしたいわ。この国での事でもお互い婚約者のように認識されるのは困るでしょ?……お国に婚約者とかいらっしゃっるでしょうし身綺麗にしとかないと」
アルは笑った。天使の一撃ではマドレーヌはアルの婚約者扱いされているからだ。
今回はアルはマドレーヌと会計を別にした。マドレーヌの言う被保護者の領域とやらに少し気を使ったのだ。そしてマドレーヌは自分で支払い、アルが支払わなかった事に全く頓着していなかった。
「それはなに?」
アルはマドレーヌが食べている物を見た。半月型の皮の薄いポケット状のパンの中にサラダや肉がぎっしり詰め込まれている。
「これはピタサンド。今日は角ウサギのローストと山鳥のロースト二種あったから山鳥を頼んだ」
マドレーヌが説明してくれる。
「朝飯によさそうだな」
「私には昼ご飯の量かな」
アルが何気なく訊ねる。
「俺は国に婚約者はいないよ。君はどういう状況なんだ?」
マドレーヌが自分がうっかりしていた、と言い話をする。
アルノー家の次男、アランと婚約していたこと。アランに好きな女性が出来て、婚約破棄を衆人環視の中、学園のパーティ中に吹っ掛けられて、そのあげくエドの村の側に飛ばされた事を改めて詳細まで話す。
「……そんな経緯があったのか」
「詳しく話すの忘れてた」
「アルノー家は伯爵家としても歴史のある家でこれと言って当代になってからは悪い噂も聴いてなかったがな」
アルの言葉にマドレーヌの片眉が上がる。アルはそれを見てウージェーヌそっくりだなと思った。
「当代は?先代と先々代は?」
「……がちがちの貴族主義者」
マドレーヌは皮肉な笑みを浮かべる。
「かつ男尊女卑主義者で女は男の二流品、男に愛されて可愛がられてればいいって感じ?」
アルが少しひるむ。
「俺は……彼らと付き合いはなかったから」
「ま、貴方も子供だったもんね」
マドレーヌがにぱっと笑い、アルノー一家に対して持っている棘をひっこめた。
アルは送られてきた銀の葉に触れる。懐かしい気配にアルの心臓はどくんと大きくなった。
「う……そだろう」
ねぐらにしている宿で一人呟いた。急いで手紙を読む。それには蝶々手紙のシステムを守護者が解析して、守護者自身の魔力とアルの魔力で手紙をやり取り出来るようにした事。安全の為グランサニュー公爵領の銀の樹に届くようになっていて最初に守護者と公爵が読むことが公爵の筆跡で書かれていた。
「使い方は……どうするんだ?」
アルは女学生がやり取りしている蝶々手紙を知らなかった。
「マドレーヌ嬢、蝶々手紙って知ってるか?」
「蝶々のお手紙の事かしら?下級生とかからよく貰ったわ」
ギルドにいたマドレーヌを捕まえアルは訊ねた。
「それの使い方教えてもらえるかな?」
「いいけど……お昼食べに来たんだ、今日は。食堂で落ち合おう。食べ物買ってくる」
「俺も飲み物買うから一緒に行こう」
マドレーヌは警告する。
「私のごはんまで支払おうとしないでね?……貴方のその態度は私の恋人とか保護者に近くなっているから」
アルは閉口せざるを得なかった。そう、年下の貴族令嬢なので保護しなければと体が勝手に動くのだ。
「それにね、私の被保護者は父親なの、まだ。その領域を侵さない動きをお願いしたいわ。この国での事でもお互い婚約者のように認識されるのは困るでしょ?……お国に婚約者とかいらっしゃっるでしょうし身綺麗にしとかないと」
アルは笑った。天使の一撃ではマドレーヌはアルの婚約者扱いされているからだ。
今回はアルはマドレーヌと会計を別にした。マドレーヌの言う被保護者の領域とやらに少し気を使ったのだ。そしてマドレーヌは自分で支払い、アルが支払わなかった事に全く頓着していなかった。
「それはなに?」
アルはマドレーヌが食べている物を見た。半月型の皮の薄いポケット状のパンの中にサラダや肉がぎっしり詰め込まれている。
「これはピタサンド。今日は角ウサギのローストと山鳥のロースト二種あったから山鳥を頼んだ」
マドレーヌが説明してくれる。
「朝飯によさそうだな」
「私には昼ご飯の量かな」
アルが何気なく訊ねる。
「俺は国に婚約者はいないよ。君はどういう状況なんだ?」
マドレーヌが自分がうっかりしていた、と言い話をする。
アルノー家の次男、アランと婚約していたこと。アランに好きな女性が出来て、婚約破棄を衆人環視の中、学園のパーティ中に吹っ掛けられて、そのあげくエドの村の側に飛ばされた事を改めて詳細まで話す。
「……そんな経緯があったのか」
「詳しく話すの忘れてた」
「アルノー家は伯爵家としても歴史のある家でこれと言って当代になってからは悪い噂も聴いてなかったがな」
アルの言葉にマドレーヌの片眉が上がる。アルはそれを見てウージェーヌそっくりだなと思った。
「当代は?先代と先々代は?」
「……がちがちの貴族主義者」
マドレーヌは皮肉な笑みを浮かべる。
「かつ男尊女卑主義者で女は男の二流品、男に愛されて可愛がられてればいいって感じ?」
アルが少しひるむ。
「俺は……彼らと付き合いはなかったから」
「ま、貴方も子供だったもんね」
マドレーヌがにぱっと笑い、アルノー一家に対して持っている棘をひっこめた。
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