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幕間
傀儡
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アグネスはきょとんとした顔になった。ジェラールはこういう顔は子供の時のママだな、と思った。
「知らないわ、そんなの」
「初等部の最初に習うんだよ、そう言うのは。……覚えておらんとはボケたか?」
「ぼ……あ、う」
アグネスは自分よりも随分年上の男にボケたか、と本気で心配した顔をされ言葉を出せなくなっていた。
「後ろのは傀儡じゃな……。おぬしら、何をしとる」
傀儡、いや聖女は正妃を引っ張って馬車に戻ろうとしている。
「覚悟しておれよ……、正妃の母よ」
グランサニュー公爵は正妃の後ろにいる聖女に声をかける。聖女は黒いヴェールで顔を見せてないがきつい視線が公爵に投げられているのがジェラールにも判った。
正妃が去ったあと、グランサニュー公爵は息を吐ききる。
「ジェラールよ。ありがとう。お前には母親の死ぬ前の守護が強くかかっててな。アグネスの魅了にも負けぬのだよ」
ジェラールはぽかんとしている。
「はぁ……?」
「とりあえず結界の修復と魅了にかかった門番共をなんとかせんとな」
先ほど正妃に手を貸そうとしていた玄関を守る騎士達を見るとうすぼんやりとしている。
「こやつらもか。……ジェラールよ、手を貸せ」
二人でぼんやりした二人を誘導し、中庭の銀の樹木の所まで連れて行く。そして途中で待っていた執事にグランサニュー公爵派指示をする。
「騎士二人を門番に。ただし今日は敷地の内側に入っておけと。門はしっかり締めてな。他に二人は玄関に詰めてくれ。それと門の当たりにいる騎士を全員銀の樹の所へ」
後に判った事だが、門番二人を殴り倒し、意識を失わせ王妃を玄関まで引き込んだのは陛下の連れて来た騎士のうち5人で、残りの7人の騎士はその5人に黒魔術の香で寝売らされていたらしい。公爵は守護者から陛下とセイラ妃を連れてこいと言われて樹の所からすたすたと歩き去る。ジェラールはどうしようかと思ったらグランサニュー公爵の私兵の騎士が気を利かせる。
「こちらでお待ちになってください」
それは樹から少し離れたベンチであった。すぐに執事がスパイスのきいたホットワインを持ってきてくれる。冬に近い秋でありグランサニュー公爵領は夜は冷える。岩山が多いせいだろうか。
銀の樹の下で守護者は陛下に話しかける。
「エクトルよ、セイラよ。王宮にいる聖女は傀儡だ」
玄関での公爵の言葉は全て守護者から伝えられていたものだった。玄関にいる公爵に伝える事くらいは守護者の力でできるのだ。遠方の人間に伝えるには銀の樹という媒体が無いとだめなので王宮の樹を挿し木で増やしているのだ。今の所、守護者のメッセージを受け取れるだけ樹が大きくなっているのはこの公爵領だけで、メッセージを受け取る人間んがいるのもここだけであったが。
「傀儡?」
陛下が怪訝な声をだす。
「ありゃ中身は正妃の母親だぞ?……なり変わったか?」
「……それ禁書レベルの術なのでは?」
セイラ妃が心配そうに言う。守護者がその話もあるが、この騎士達、香で眠らされた騎士も含め、黒魔術の痕跡を消そうと言う。そうじゃないと結界の張り直しも出来ないという。陛下には
「エクトルよ、けがされた騎士達は明日城に連れて帰れ。その途中の神殿に寄って本気の解呪を頼んでおけ」
と指示を与える。とりあえずの解呪は守護者とセイラ妃で行うという。
「解呪とは穏やかじゃない言葉がでとるが」
グランサニュー公爵が言うと守護者ははっきりと言う。
「そうだな、あの傀儡の力は黒魔術というより呪いに近づいてる」
守護者は断言した。
「知らないわ、そんなの」
「初等部の最初に習うんだよ、そう言うのは。……覚えておらんとはボケたか?」
「ぼ……あ、う」
アグネスは自分よりも随分年上の男にボケたか、と本気で心配した顔をされ言葉を出せなくなっていた。
「後ろのは傀儡じゃな……。おぬしら、何をしとる」
傀儡、いや聖女は正妃を引っ張って馬車に戻ろうとしている。
「覚悟しておれよ……、正妃の母よ」
グランサニュー公爵は正妃の後ろにいる聖女に声をかける。聖女は黒いヴェールで顔を見せてないがきつい視線が公爵に投げられているのがジェラールにも判った。
正妃が去ったあと、グランサニュー公爵は息を吐ききる。
「ジェラールよ。ありがとう。お前には母親の死ぬ前の守護が強くかかっててな。アグネスの魅了にも負けぬのだよ」
ジェラールはぽかんとしている。
「はぁ……?」
「とりあえず結界の修復と魅了にかかった門番共をなんとかせんとな」
先ほど正妃に手を貸そうとしていた玄関を守る騎士達を見るとうすぼんやりとしている。
「こやつらもか。……ジェラールよ、手を貸せ」
二人でぼんやりした二人を誘導し、中庭の銀の樹木の所まで連れて行く。そして途中で待っていた執事にグランサニュー公爵派指示をする。
「騎士二人を門番に。ただし今日は敷地の内側に入っておけと。門はしっかり締めてな。他に二人は玄関に詰めてくれ。それと門の当たりにいる騎士を全員銀の樹の所へ」
後に判った事だが、門番二人を殴り倒し、意識を失わせ王妃を玄関まで引き込んだのは陛下の連れて来た騎士のうち5人で、残りの7人の騎士はその5人に黒魔術の香で寝売らされていたらしい。公爵は守護者から陛下とセイラ妃を連れてこいと言われて樹の所からすたすたと歩き去る。ジェラールはどうしようかと思ったらグランサニュー公爵の私兵の騎士が気を利かせる。
「こちらでお待ちになってください」
それは樹から少し離れたベンチであった。すぐに執事がスパイスのきいたホットワインを持ってきてくれる。冬に近い秋でありグランサニュー公爵領は夜は冷える。岩山が多いせいだろうか。
銀の樹の下で守護者は陛下に話しかける。
「エクトルよ、セイラよ。王宮にいる聖女は傀儡だ」
玄関での公爵の言葉は全て守護者から伝えられていたものだった。玄関にいる公爵に伝える事くらいは守護者の力でできるのだ。遠方の人間に伝えるには銀の樹という媒体が無いとだめなので王宮の樹を挿し木で増やしているのだ。今の所、守護者のメッセージを受け取れるだけ樹が大きくなっているのはこの公爵領だけで、メッセージを受け取る人間んがいるのもここだけであったが。
「傀儡?」
陛下が怪訝な声をだす。
「ありゃ中身は正妃の母親だぞ?……なり変わったか?」
「……それ禁書レベルの術なのでは?」
セイラ妃が心配そうに言う。守護者がその話もあるが、この騎士達、香で眠らされた騎士も含め、黒魔術の痕跡を消そうと言う。そうじゃないと結界の張り直しも出来ないという。陛下には
「エクトルよ、けがされた騎士達は明日城に連れて帰れ。その途中の神殿に寄って本気の解呪を頼んでおけ」
と指示を与える。とりあえずの解呪は守護者とセイラ妃で行うという。
「解呪とは穏やかじゃない言葉がでとるが」
グランサニュー公爵が言うと守護者ははっきりと言う。
「そうだな、あの傀儡の力は黒魔術というより呪いに近づいてる」
守護者は断言した。
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