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第一章
ウージェーヌは悩んでいる
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「クロード、暫くフロランがいなくても狩りはなんとかなるかな?」
「今すぐ?」
「いや。……いつになるかなぁ」
ウージェーヌは頼りない事を言う。
「とうさん、何をしたいか教えてくれる?」
クロードは少々呆れていたが父親に訊く。魔獣狩りの季節も終わる。そろそろマドレーヌを動かすのだろう、と感づいてはいた。
「あー、マドレーヌの帰国なんだが。」
クロードは父親の前にどかっと座る。
「うん。それで?」
「お客様が着いてくるらしい。黒髪。黒目のこの国出身者で、どうもマドレーヌと同じように魔法で飛ばされた人らしい」
「あの時飛ばされたのはマドレーヌ一人って聞いてますが」
「あの時一緒に飛ばされた訳じゃないらしい。何年か前に飛ばされたお人だそうだ。実の所、俺も知ってる人でな」
「でフロランはどこに絡むんですか?それとその人はマドレーヌの恋人とか?」
ウージェーヌは首を横に振る。
「多分違う」
「多分なんだ?」
「子供の頃はそういうすぐに手を出すタイプでもなかったけど。成人してからは判らないからね」
クロードは笑う。
「ま、ナンパな男ならマドレーヌが黙って手を出されるわけはないでしょう」
ウージェーヌは妹を信頼している兄の様子に感心する。
「とうさんはマドレーヌがどんな男がいいって言ってるか知ってるでしょう?」
「まぁね。信頼できる人間性と尊敬できる『強さ』のある男だって」
マドレーヌは両親にアランとの婚約の状況を聞かれた時にどんな男性がいいのかと聞かれてそう答えたのだ。
「アランもネイサンもそう言うのが欠けてたのでマドレーヌは唯々諾々と従わなかったって事だな」
ウージェーヌはそうつぶやいた。
「とうさん、ネイサンは王子」
「あ、忘れてた。一度話す機会があってな、ネイサン王子と」
ウージェーヌは公爵邸でアランがロクサーヌにいいようにされている時に休憩しているアランと話をしてみたのだ。何故、マドレーヌを側妃に貰いたがったのか、と。
ネイサンは馬鹿正直に
『母上が王太子は僕だから、ロクサーヌを娶るのだって。僕がロクサーヌに貰われるんじゃないって言うから……。でもロクサーヌは絶対後宮には入らないって言うし。ならロクサーヌの仲良しな女の子に後宮に来てもらおうって。マドレーヌの外見、僕は好きだし』
もだもだと幼い口調で答えたのだ。思ったほど悪辣な少年ではなさそうだな、とウージェーヌは思った。
「僕らがしたことで今、マドレーヌが困ってるんだって聞いて……。本当にごめんなさい」
ネイサンは素直に『マドレーヌの父親』に謝る。こうやってすぐに頭を下げる所は確かに王族に向いてないな、とウージェーヌは思ったが多少の好感は抱いた。
「ネイサン王子は……王子って感じじゃないな」
ウージェーヌは正直に答えた。
「アランが出来ない謝罪をストレートに出来る分、ネイサン王子の方がまともだな」
「アランは曾祖父と祖父に育てらたそうです」
クロードはアレンから聞いた事を伝える。
「あの二人のせこさは酷かったからな。己の要求、それも愚にも着かない、な、そんな要求も無理に通す事が貴族的だと思っていたようだった」
ウージェーヌはあの二人の薫陶ならアランの性格も可笑しなものに育つだろうな、と思った。
「今すぐ?」
「いや。……いつになるかなぁ」
ウージェーヌは頼りない事を言う。
「とうさん、何をしたいか教えてくれる?」
クロードは少々呆れていたが父親に訊く。魔獣狩りの季節も終わる。そろそろマドレーヌを動かすのだろう、と感づいてはいた。
「あー、マドレーヌの帰国なんだが。」
クロードは父親の前にどかっと座る。
「うん。それで?」
「お客様が着いてくるらしい。黒髪。黒目のこの国出身者で、どうもマドレーヌと同じように魔法で飛ばされた人らしい」
「あの時飛ばされたのはマドレーヌ一人って聞いてますが」
「あの時一緒に飛ばされた訳じゃないらしい。何年か前に飛ばされたお人だそうだ。実の所、俺も知ってる人でな」
「でフロランはどこに絡むんですか?それとその人はマドレーヌの恋人とか?」
ウージェーヌは首を横に振る。
「多分違う」
「多分なんだ?」
「子供の頃はそういうすぐに手を出すタイプでもなかったけど。成人してからは判らないからね」
クロードは笑う。
「ま、ナンパな男ならマドレーヌが黙って手を出されるわけはないでしょう」
ウージェーヌは妹を信頼している兄の様子に感心する。
「とうさんはマドレーヌがどんな男がいいって言ってるか知ってるでしょう?」
「まぁね。信頼できる人間性と尊敬できる『強さ』のある男だって」
マドレーヌは両親にアランとの婚約の状況を聞かれた時にどんな男性がいいのかと聞かれてそう答えたのだ。
「アランもネイサンもそう言うのが欠けてたのでマドレーヌは唯々諾々と従わなかったって事だな」
ウージェーヌはそうつぶやいた。
「とうさん、ネイサンは王子」
「あ、忘れてた。一度話す機会があってな、ネイサン王子と」
ウージェーヌは公爵邸でアランがロクサーヌにいいようにされている時に休憩しているアランと話をしてみたのだ。何故、マドレーヌを側妃に貰いたがったのか、と。
ネイサンは馬鹿正直に
『母上が王太子は僕だから、ロクサーヌを娶るのだって。僕がロクサーヌに貰われるんじゃないって言うから……。でもロクサーヌは絶対後宮には入らないって言うし。ならロクサーヌの仲良しな女の子に後宮に来てもらおうって。マドレーヌの外見、僕は好きだし』
もだもだと幼い口調で答えたのだ。思ったほど悪辣な少年ではなさそうだな、とウージェーヌは思った。
「僕らがしたことで今、マドレーヌが困ってるんだって聞いて……。本当にごめんなさい」
ネイサンは素直に『マドレーヌの父親』に謝る。こうやってすぐに頭を下げる所は確かに王族に向いてないな、とウージェーヌは思ったが多少の好感は抱いた。
「ネイサン王子は……王子って感じじゃないな」
ウージェーヌは正直に答えた。
「アランが出来ない謝罪をストレートに出来る分、ネイサン王子の方がまともだな」
「アランは曾祖父と祖父に育てらたそうです」
クロードはアレンから聞いた事を伝える。
「あの二人のせこさは酷かったからな。己の要求、それも愚にも着かない、な、そんな要求も無理に通す事が貴族的だと思っていたようだった」
ウージェーヌはあの二人の薫陶ならアランの性格も可笑しなものに育つだろうな、と思った。
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