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第一章
公爵、頭を抱える
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嫡子たちは一息つく。
「我が家の庭仕事手伝ってくれて……それもすまない」
「それは気にすんな。家でいつもやってる事だし、体をつかわないと鈍る」
クロードはきっぱり言った。
「……フロランだけ先に帰してもらえないかな。そろそろ魔獣退治なんだ。俺が抜けてフロランとマドレーヌもいないとなると」
「善処する。父と公爵の意向もあるから」
「まだかたづいてないとはいえ、マドレーヌも見つかったし」
クロードの言葉にアレンは驚く。
「え?見つかった?」
「あれ?オヤジ、知らせてないのか?……聞かなかった事に」
「できませんよ」
かぶせ気味にアレンは答える。クロードはしくじったな、と思った。
「それも鑑みて答えを出してくれ」
クロードは頭を切り替えた。鬼が出るか蛇がでるか、出たとこ勝負だな、と腹を据える。
「マドレーヌ嬢が見つかった、と」
夜にペルティエ公爵とクロードはアルノー伯爵家の応接間で対峙している。
「そうです」
「今の状況は?」
「飛んだ国の王都にいるようですね。冒険者ギルドを連絡に使ってるようですが詳細な事はわかりません。父が知らせてきたのは見つかったという事と遠方の国にいるという事だけなので」
「……そうか。お父上をこちらに呼びたいのだが」
「今は無理ですよ。魔獣退治の時期が来ますから。俺とフロランが居ないのに父まで王都に来るのは不可能です。もちろん、うちの領地を魔獣で溢れさせて近隣の領地も荒らして構わないというのなら父もこちらに来ることは可能でしょうが」
クロードはきっぱりと言い切った。ベルティエ公爵は顔には出さなかったがクロードがきっちり自分に意見を言える事を評価した。もちろん、この場では爵位によるマナーは取っ払っている。
「……君たち兄弟が領地に帰ればお父上は王都に来れるかな?」
「正直難しいです。……多分ですが、俺達がここにいる間の魔獣の間引きが出来てませんから今回はてんてこまいかと」
「間引き?」
「ええ、毎日森の魔獣を間引きます。俺達がいなくなるのが判ってたら多めに冒険者を依頼するんですが……。今回は資金繰りも難しい。婚約の違約金を支払って家の最低減のお金を残して……。それでも足りないって俺達がここで滅私奉公しろ、って言われましたからね。アランさんに」
クロードはじっとベルティエ公爵を見た。公爵はそのあたりの事は余り知らなかった。
「まず、アランさんは勝手に違約金をとりたててます。自分がマドレーヌを遠方に送ったくせに『勝手に逃げた』次女の責任を我が家だ取れ、と」
「……伯爵に聞いてないのだが」
クロードは肩を竦める。
「ネイサン殿下の威を利用しての事ですね。こっちも近衛まで出張ってこられたんで……」
ベルティエ公爵は頭を抱えた。甥も一緒になって馬鹿をやってたのか、と。
「ネイサン殿下もアランに炊きつけられてたみたいですけど」
「ううむ」
公爵は覚えがあった。未だに真の貴族とは、や貴族は王族を支えるのです、など貴族の上澄みだけで一見正論にみえるような事を言いアランに丸めこまれそうになるネイサンを見ているからだ。
「……ロクサーヌ嬢にも随分な事を言ってましたし」
公爵は思わず愚痴った。
「そうだな、私の親世代の意見を聞いているようだよ。女に騎士は勤まらないとか女は奥にいるべきだとか」
公爵は深く溜息をついた。
「我が家の庭仕事手伝ってくれて……それもすまない」
「それは気にすんな。家でいつもやってる事だし、体をつかわないと鈍る」
クロードはきっぱり言った。
「……フロランだけ先に帰してもらえないかな。そろそろ魔獣退治なんだ。俺が抜けてフロランとマドレーヌもいないとなると」
「善処する。父と公爵の意向もあるから」
「まだかたづいてないとはいえ、マドレーヌも見つかったし」
クロードの言葉にアレンは驚く。
「え?見つかった?」
「あれ?オヤジ、知らせてないのか?……聞かなかった事に」
「できませんよ」
かぶせ気味にアレンは答える。クロードはしくじったな、と思った。
「それも鑑みて答えを出してくれ」
クロードは頭を切り替えた。鬼が出るか蛇がでるか、出たとこ勝負だな、と腹を据える。
「マドレーヌ嬢が見つかった、と」
夜にペルティエ公爵とクロードはアルノー伯爵家の応接間で対峙している。
「そうです」
「今の状況は?」
「飛んだ国の王都にいるようですね。冒険者ギルドを連絡に使ってるようですが詳細な事はわかりません。父が知らせてきたのは見つかったという事と遠方の国にいるという事だけなので」
「……そうか。お父上をこちらに呼びたいのだが」
「今は無理ですよ。魔獣退治の時期が来ますから。俺とフロランが居ないのに父まで王都に来るのは不可能です。もちろん、うちの領地を魔獣で溢れさせて近隣の領地も荒らして構わないというのなら父もこちらに来ることは可能でしょうが」
クロードはきっぱりと言い切った。ベルティエ公爵は顔には出さなかったがクロードがきっちり自分に意見を言える事を評価した。もちろん、この場では爵位によるマナーは取っ払っている。
「……君たち兄弟が領地に帰ればお父上は王都に来れるかな?」
「正直難しいです。……多分ですが、俺達がここにいる間の魔獣の間引きが出来てませんから今回はてんてこまいかと」
「間引き?」
「ええ、毎日森の魔獣を間引きます。俺達がいなくなるのが判ってたら多めに冒険者を依頼するんですが……。今回は資金繰りも難しい。婚約の違約金を支払って家の最低減のお金を残して……。それでも足りないって俺達がここで滅私奉公しろ、って言われましたからね。アランさんに」
クロードはじっとベルティエ公爵を見た。公爵はそのあたりの事は余り知らなかった。
「まず、アランさんは勝手に違約金をとりたててます。自分がマドレーヌを遠方に送ったくせに『勝手に逃げた』次女の責任を我が家だ取れ、と」
「……伯爵に聞いてないのだが」
クロードは肩を竦める。
「ネイサン殿下の威を利用しての事ですね。こっちも近衛まで出張ってこられたんで……」
ベルティエ公爵は頭を抱えた。甥も一緒になって馬鹿をやってたのか、と。
「ネイサン殿下もアランに炊きつけられてたみたいですけど」
「ううむ」
公爵は覚えがあった。未だに真の貴族とは、や貴族は王族を支えるのです、など貴族の上澄みだけで一見正論にみえるような事を言いアランに丸めこまれそうになるネイサンを見ているからだ。
「……ロクサーヌ嬢にも随分な事を言ってましたし」
公爵は思わず愚痴った。
「そうだな、私の親世代の意見を聞いているようだよ。女に騎士は勤まらないとか女は奥にいるべきだとか」
公爵は深く溜息をついた。
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