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第一章
令嬢は令嬢を辞めたい
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次の街に着いて冒険者の少年はFランクの間に溜めた貯金を引き出してマドレーヌたちの所に兎を受け取りに来た。
マドレーヌが頷いて兎を渡した。何か良い顔で言うと少年はギルドの受付に戻っていった。
「なんて言ってたの?」
「ありがとう、って」
翌日の馬車の中でマドレーヌは『ありがとう』『どういたしまして』『いただきます』『御馳走様』『美味しかったです』を現地語で言えるように習っていた。マドレーヌは小さなノートとガラスペンをマジックバッグから取り出す。
「そう言えば王都に着いたら」
「まず冒険者ギルドかな。子供の時に作ったギルドの口座に毎月のお小遣いの残りが少しあるし、残ったお金を預けなおして、こっちのお金に変えてもらう。粒も悪くないけど王都とかだとお金の方がいいじゃないかなって」
「冒険者ギルドの口座?」
「知らない?」
エドは頷く。
「多分一般市民ももてるはずだけど、金利は良くないけどギルドが生きてる国なら口座のお金はどの国でも引き出せるの。冒険者って色んな国を動くからね。もちろん、冒険者になったら自動的に作成されるんだけど。私はギルドの子供の時に作って、あとは王都の騎士科にいたので、日々の費えなんかの為に毎月実家からお金を送ってもらってたの」
マドレーヌの言葉にエドは違う世界を見てるようだと思ったが、このたくましい少女は貴族令嬢だったな、と改めて思った。
「もちろん、お小遣いは実家の仕事の手伝い次第だったけど」
マドレーヌが笑う。
「実家、なにしてるんですか?」
「魔獣退治」
「は?」
であってから何度目の驚きなのか。
「うちの実家、辺境にあってね。国境の森から魔獣が出てくるの。気を付けてないと魔獣が溢れるから、その魔獣を間引くの。私は月に1回くらいしかいけないけど……。その時倒した魔獣をギルドに売ったのがお小遣いになってたの」
「冒険者みたいな生活だったんですね」
「そう。大物をやる時とか、2月に一度の大規模な魔物退治の時とかは兄二人とタッグを組んでレアもの狙いをするの」
マドレーヌはあははと笑う。
「やっぱりこうやって冒険者みたいな生活してる方がしょうに合うわ。貴族のお嬢様はやってられないな」
マドレーヌは呟いた。銀の髪を緩く編んで片側に流し、赤い花柄の簡素なチュニックを着ていてもマドレーヌは品があり美しかった。
「……見た目は向いてると思いますよ」
エドは思わず口にした。マドレーヌはにやりと笑う。
「中身が私だからね」
もう一泊の後、王都に着いた。エドはマドレーヌを案内してギルドに入った。
「ここまでありがとう」
「いえ、こちらこそ……鞄とかありがとうございました」
マドレーヌはあっさりとエドと別れた。そしてギルドの受付に並んだ。二つ後ろにエドがいる事も気が付いていなかった。
「そうですね、魔物退治の実績があるので登録クラスはDとなります。あとお手紙が届いてます。口座は……、お持ちですね。あちらのほうでお手紙をお受け取り下さい」
「口座に入金は?」
「手紙を受け取った事務員が案内します」
マドレーヌがエドに気が付いた。二つ離れた窓口でエドは冒険者登録をしていた。マドレー
ヌはなにかあったのかな?と思ってエドが受付を済ませるのを待っていた。
マドレーヌが頷いて兎を渡した。何か良い顔で言うと少年はギルドの受付に戻っていった。
「なんて言ってたの?」
「ありがとう、って」
翌日の馬車の中でマドレーヌは『ありがとう』『どういたしまして』『いただきます』『御馳走様』『美味しかったです』を現地語で言えるように習っていた。マドレーヌは小さなノートとガラスペンをマジックバッグから取り出す。
「そう言えば王都に着いたら」
「まず冒険者ギルドかな。子供の時に作ったギルドの口座に毎月のお小遣いの残りが少しあるし、残ったお金を預けなおして、こっちのお金に変えてもらう。粒も悪くないけど王都とかだとお金の方がいいじゃないかなって」
「冒険者ギルドの口座?」
「知らない?」
エドは頷く。
「多分一般市民ももてるはずだけど、金利は良くないけどギルドが生きてる国なら口座のお金はどの国でも引き出せるの。冒険者って色んな国を動くからね。もちろん、冒険者になったら自動的に作成されるんだけど。私はギルドの子供の時に作って、あとは王都の騎士科にいたので、日々の費えなんかの為に毎月実家からお金を送ってもらってたの」
マドレーヌの言葉にエドは違う世界を見てるようだと思ったが、このたくましい少女は貴族令嬢だったな、と改めて思った。
「もちろん、お小遣いは実家の仕事の手伝い次第だったけど」
マドレーヌが笑う。
「実家、なにしてるんですか?」
「魔獣退治」
「は?」
であってから何度目の驚きなのか。
「うちの実家、辺境にあってね。国境の森から魔獣が出てくるの。気を付けてないと魔獣が溢れるから、その魔獣を間引くの。私は月に1回くらいしかいけないけど……。その時倒した魔獣をギルドに売ったのがお小遣いになってたの」
「冒険者みたいな生活だったんですね」
「そう。大物をやる時とか、2月に一度の大規模な魔物退治の時とかは兄二人とタッグを組んでレアもの狙いをするの」
マドレーヌはあははと笑う。
「やっぱりこうやって冒険者みたいな生活してる方がしょうに合うわ。貴族のお嬢様はやってられないな」
マドレーヌは呟いた。銀の髪を緩く編んで片側に流し、赤い花柄の簡素なチュニックを着ていてもマドレーヌは品があり美しかった。
「……見た目は向いてると思いますよ」
エドは思わず口にした。マドレーヌはにやりと笑う。
「中身が私だからね」
もう一泊の後、王都に着いた。エドはマドレーヌを案内してギルドに入った。
「ここまでありがとう」
「いえ、こちらこそ……鞄とかありがとうございました」
マドレーヌはあっさりとエドと別れた。そしてギルドの受付に並んだ。二つ後ろにエドがいる事も気が付いていなかった。
「そうですね、魔物退治の実績があるので登録クラスはDとなります。あとお手紙が届いてます。口座は……、お持ちですね。あちらのほうでお手紙をお受け取り下さい」
「口座に入金は?」
「手紙を受け取った事務員が案内します」
マドレーヌがエドに気が付いた。二つ離れた窓口でエドは冒険者登録をしていた。マドレー
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