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第一章
嫡子同士の話し合い
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アルノー家にいる事になって10日頃。マリアンヌたちの元に実家から手紙が届いた。走り書きでマドレーヌが見つかった事を伝える手紙だった。
「は?なんでそんな国に」
庭で作業をしていた嫡男のクロードは声をあげた。客人待遇といっても暇を持て余すのでクロードと次男のフロランは庭仕事を手伝っていた。家の中より外が良いと。庭師や下男たちも変に態度が変わる事無くクロード達を認めて普通に仕事をしていた。マリアンヌもドロテアの仕事部屋でせっせと刺繍をしている。
たまにロクサーヌが部屋に来てドロテアに刺繍を習っている。ネイサンやアランに苦手な座学をさせているのだから自分も苦手を克服する、と言う事だった。
本人曰く、進歩の度合いはネイサンとアランの方が早い、らしい。
「ただアランの話を……ネイサンにする話を使用人が聞いておりまして。あまりその……真の貴族とはとかそういう話をしてネイサンを洗脳しようとしている、と」
もう一つ重大な話があったがその話は出来なかった。正妃、父親の妹がネイサンを王太子にするために、とアランに正妃から近づいた事や、正妃が雇った宮廷魔術師が予定していた場所じゃなくどこか遠い国に第一王子を飛ばしてしまった、ようだと言う事だ。
第一王子がいなくなったのは6年前、15歳の時だった。ある朝、侍従が起こしに行くと忽然と消えていたらしい。これは王家の秘密として知っているのは王弟殿下、ロクサーヌの家の者と第一王子の使用人だけだった。陛下と第一王子の母親、側妃様も知っている。陛下と側妃は成人直前に消えた息子は『病で倒れ療養中』ということにしていた。
今回、新人の宮廷魔術師がネイサンとアランに駆り出され、マドレーヌを飛ばしたのだがその時に呼び出した魔法陣が第一王子を飛ばした時の陣をそのまま利用した、かもしれない、と。魔法陣がおかしいと気が付いた少年は学長、王弟殿下に相談し王弟殿下はそれをロクサーヌの父親に話したのだ。学長と公爵、そして陛下本人でアランとネイサンが雇った宮廷魔術師から話を聞いた。
宮廷魔術師は早々に話した。魔術師は術の使い方は判っていたが魔法陣を描く自信が無く魔道具倉庫の一隅の魔法陣を集めてある所から移動の魔法の魔法陣を引っ張り出して使用した、と。古びて、使用してる人もいなさそうなので大丈夫かと思ったと魔術師は供述した。魔術師の処遇をどうするか、となりグランジエ伯爵に問い合わせると、『今年一年、魔獣退治に来てもらいたい。冒険者と一緒に退治に加わってもらう。もちろん、ノルマも課す。ので呼ぶまでの半年、生き残れるように鍛錬してほしい』と帰ってきた。
アランとクロードは腹の探り合いをしていたが、クロードが先に根を上げた。
「ああ、もう。腹割って話し合いましょうや」
「……そうですね。といってもこちらは謝罪しかない。まさか提出寸前に自分が貰える賠償金にゼロを一つ足すとか……、アランは『真に貴族的な貴族』を目指した教育を受けてきてるのに妙な所でせこい」
アレンは嘆息する。
「というより……幼くないか、あいつ」
「それは否めない」
アレンが気まずそうに伝える。
「アレン、バスチエ男爵令嬢に借りた少女小説を読んで『悪役令嬢』とかいう概念を手に入れて、ですね」
クロードが顔に疑問符を張り付ける。
「なに、それ?悪役で令嬢?」
「俺もわかってないから説明できん。ただ、普通科と家政科の方でアランとバスチエ男爵令嬢が広めだしたんだよ。二人の恋を邪魔する『悪役令嬢』マドレーヌって」
「普通科と家政科かぁ。実質俺らには影響ないと思う」
アランは尋ねる。
「マドレーヌ嬢は騎士科ですよね、貴方やフロランさんやマリアンヌ嬢は?」
「俺は16時点で卒業したし、フロランは騎士科だし」
「マリアンヌ嬢は?」
「あいつは学校に行かなかった」
「は?」
「……どうも同年代の女子になんやかんやされたらしくてな。中等部の1年で学校はリタイヤした。一応、俺の教科書で高等部卒業までの勉強は終わらせてる。俺と父親で勉強は見たからな」
「は?なんでそんな国に」
庭で作業をしていた嫡男のクロードは声をあげた。客人待遇といっても暇を持て余すのでクロードと次男のフロランは庭仕事を手伝っていた。家の中より外が良いと。庭師や下男たちも変に態度が変わる事無くクロード達を認めて普通に仕事をしていた。マリアンヌもドロテアの仕事部屋でせっせと刺繍をしている。
たまにロクサーヌが部屋に来てドロテアに刺繍を習っている。ネイサンやアランに苦手な座学をさせているのだから自分も苦手を克服する、と言う事だった。
本人曰く、進歩の度合いはネイサンとアランの方が早い、らしい。
「ただアランの話を……ネイサンにする話を使用人が聞いておりまして。あまりその……真の貴族とはとかそういう話をしてネイサンを洗脳しようとしている、と」
もう一つ重大な話があったがその話は出来なかった。正妃、父親の妹がネイサンを王太子にするために、とアランに正妃から近づいた事や、正妃が雇った宮廷魔術師が予定していた場所じゃなくどこか遠い国に第一王子を飛ばしてしまった、ようだと言う事だ。
第一王子がいなくなったのは6年前、15歳の時だった。ある朝、侍従が起こしに行くと忽然と消えていたらしい。これは王家の秘密として知っているのは王弟殿下、ロクサーヌの家の者と第一王子の使用人だけだった。陛下と第一王子の母親、側妃様も知っている。陛下と側妃は成人直前に消えた息子は『病で倒れ療養中』ということにしていた。
今回、新人の宮廷魔術師がネイサンとアランに駆り出され、マドレーヌを飛ばしたのだがその時に呼び出した魔法陣が第一王子を飛ばした時の陣をそのまま利用した、かもしれない、と。魔法陣がおかしいと気が付いた少年は学長、王弟殿下に相談し王弟殿下はそれをロクサーヌの父親に話したのだ。学長と公爵、そして陛下本人でアランとネイサンが雇った宮廷魔術師から話を聞いた。
宮廷魔術師は早々に話した。魔術師は術の使い方は判っていたが魔法陣を描く自信が無く魔道具倉庫の一隅の魔法陣を集めてある所から移動の魔法の魔法陣を引っ張り出して使用した、と。古びて、使用してる人もいなさそうなので大丈夫かと思ったと魔術師は供述した。魔術師の処遇をどうするか、となりグランジエ伯爵に問い合わせると、『今年一年、魔獣退治に来てもらいたい。冒険者と一緒に退治に加わってもらう。もちろん、ノルマも課す。ので呼ぶまでの半年、生き残れるように鍛錬してほしい』と帰ってきた。
アランとクロードは腹の探り合いをしていたが、クロードが先に根を上げた。
「ああ、もう。腹割って話し合いましょうや」
「……そうですね。といってもこちらは謝罪しかない。まさか提出寸前に自分が貰える賠償金にゼロを一つ足すとか……、アランは『真に貴族的な貴族』を目指した教育を受けてきてるのに妙な所でせこい」
アレンは嘆息する。
「というより……幼くないか、あいつ」
「それは否めない」
アレンが気まずそうに伝える。
「アレン、バスチエ男爵令嬢に借りた少女小説を読んで『悪役令嬢』とかいう概念を手に入れて、ですね」
クロードが顔に疑問符を張り付ける。
「なに、それ?悪役で令嬢?」
「俺もわかってないから説明できん。ただ、普通科と家政科の方でアランとバスチエ男爵令嬢が広めだしたんだよ。二人の恋を邪魔する『悪役令嬢』マドレーヌって」
「普通科と家政科かぁ。実質俺らには影響ないと思う」
アランは尋ねる。
「マドレーヌ嬢は騎士科ですよね、貴方やフロランさんやマリアンヌ嬢は?」
「俺は16時点で卒業したし、フロランは騎士科だし」
「マリアンヌ嬢は?」
「あいつは学校に行かなかった」
「は?」
「……どうも同年代の女子になんやかんやされたらしくてな。中等部の1年で学校はリタイヤした。一応、俺の教科書で高等部卒業までの勉強は終わらせてる。俺と父親で勉強は見たからな」
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