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第一章
金の粒、銀の粒
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翌朝、青年はマドレーヌの部屋に来た。
「両替してきました」
全て金の粒と銀の粒、そして銅貨へと変えてくれていた。
「金の粒1つで……大抵の服屋で一番上等な服が買えます。銀の粒100個で金貨1枚分、金の粒10個で金貨一枚分です。街までの道のりだと銅貨が一番使われます、ので銅貨がそれだけあれば10日は宿に泊って食事をして乗合馬車に乗れます」
青年は馬鹿正直に全てを両替しマドレーヌに渡してくれたようだった。
「あなたへの報酬をお渡ししたいのだけど」
エドはちょっと困った顔になった。
「貴方にはリボンで払ってもらいました」
「あれは村に対する感謝、よ。私は貴方個人に街までの道案内をしてくれる、ということに報酬を支払いたいのだけど。借りを返す機会がいつあるかわからないし」
エドは考え込んだ。ややあってエドは答えた。
「では金の粒1つと銀の粒1つで」
「それでいいの?」
マドレーヌの問いにエドは答える。
「ええ。十分。金の粒は僕の報酬、銀の粒は3泊分の宿代。これだけの宿代があれば贅沢できますよ」
エドは笑った。
「そうだ、これに銀の粒一つと銅貨を3枚ほど入れて腰に下げ解いたらいいですよ」
スリ対策だそうだ。こういう財布を狙ってすばしこい子供がすっていくのだが空の財布だと嫌がらせをされかねないので小銭をいれた見せ金を作っておくのだという。
「それと、その鞄がマジックバッグだと悟られない方がいいです。バレたら強盗にあいますから」
マドレーヌはエドの忠告を大人しく聞いている。が、このマジックバッグはマドレーヌにしか開けられないのと、ウエストのベルトは魔法で強化された魔獣の皮なので普通の刃物では歯が立たないのだ。
ゆっくり休んだ馬に馬車をつけている時、子供たちが遊びの延長の様にマドレーヌの横を通り抜けようとした。そのついでに腰の財布も持って行こうとしたのだ。が、マドレーヌは反射的に伸ばされた子供の手をつかんでしまった。
現地の言葉で子供がわめいているがマドレーヌにはわからない。マドレーヌがじーっと子供の顔をみるとひるんだのかくるりと後ろを向いて走り抜けていった。
「もしかして……捕まえました?」
エドが呆れた声を出す。
「反射的に」
「とりあえず馬車に乗ってしまいましょう」
マドレーヌは促されるままに馬車に乗った。
エドからああいうときは盗ませた方がいいと言われる。
「やつらも上りがないと元締めに殴られますからね」
マドレーヌにも言い分はあったが黙る。ここは彼女の文化圏ではないからだ。7才から8才の時に次兄と共に1年間、冒険者達と過ごした時に学んだ事だった。3つ程国を周った。狼人国と人間がメインの国を二つ周り、自分の国とは違う文化を尊重すると教え込まれたのだ。
この冒険者との一年の生活はグランジエ家男子はぜったいに経験させられるが女子は希望した子供だけの事例であった。なので姉は家にいてマドレーヌは希望したのだ。
そもそも姉マリアンヌは刺繍が大好きでマドレーヌは外で遊ぶのが大好きだったのだ。冒険者としても初心者の資格を取ったばかりの少年や少女に話を聞いたり、森の浅いところで角ウサギを狩ったりと兄達と一緒になって遊ぶ少女、それがマドレーヌだった。
マリアンヌは妹や兄が取ってきた、兎を使ってパイを作ったりと家庭的な娘でグランジエ家の両親はマドレーヌは貴族令嬢として育てるよりも冒険者にした方が向いているのでは、とも考えていた。
「両替してきました」
全て金の粒と銀の粒、そして銅貨へと変えてくれていた。
「金の粒1つで……大抵の服屋で一番上等な服が買えます。銀の粒100個で金貨1枚分、金の粒10個で金貨一枚分です。街までの道のりだと銅貨が一番使われます、ので銅貨がそれだけあれば10日は宿に泊って食事をして乗合馬車に乗れます」
青年は馬鹿正直に全てを両替しマドレーヌに渡してくれたようだった。
「あなたへの報酬をお渡ししたいのだけど」
エドはちょっと困った顔になった。
「貴方にはリボンで払ってもらいました」
「あれは村に対する感謝、よ。私は貴方個人に街までの道案内をしてくれる、ということに報酬を支払いたいのだけど。借りを返す機会がいつあるかわからないし」
エドは考え込んだ。ややあってエドは答えた。
「では金の粒1つと銀の粒1つで」
「それでいいの?」
マドレーヌの問いにエドは答える。
「ええ。十分。金の粒は僕の報酬、銀の粒は3泊分の宿代。これだけの宿代があれば贅沢できますよ」
エドは笑った。
「そうだ、これに銀の粒一つと銅貨を3枚ほど入れて腰に下げ解いたらいいですよ」
スリ対策だそうだ。こういう財布を狙ってすばしこい子供がすっていくのだが空の財布だと嫌がらせをされかねないので小銭をいれた見せ金を作っておくのだという。
「それと、その鞄がマジックバッグだと悟られない方がいいです。バレたら強盗にあいますから」
マドレーヌはエドの忠告を大人しく聞いている。が、このマジックバッグはマドレーヌにしか開けられないのと、ウエストのベルトは魔法で強化された魔獣の皮なので普通の刃物では歯が立たないのだ。
ゆっくり休んだ馬に馬車をつけている時、子供たちが遊びの延長の様にマドレーヌの横を通り抜けようとした。そのついでに腰の財布も持って行こうとしたのだ。が、マドレーヌは反射的に伸ばされた子供の手をつかんでしまった。
現地の言葉で子供がわめいているがマドレーヌにはわからない。マドレーヌがじーっと子供の顔をみるとひるんだのかくるりと後ろを向いて走り抜けていった。
「もしかして……捕まえました?」
エドが呆れた声を出す。
「反射的に」
「とりあえず馬車に乗ってしまいましょう」
マドレーヌは促されるままに馬車に乗った。
エドからああいうときは盗ませた方がいいと言われる。
「やつらも上りがないと元締めに殴られますからね」
マドレーヌにも言い分はあったが黙る。ここは彼女の文化圏ではないからだ。7才から8才の時に次兄と共に1年間、冒険者達と過ごした時に学んだ事だった。3つ程国を周った。狼人国と人間がメインの国を二つ周り、自分の国とは違う文化を尊重すると教え込まれたのだ。
この冒険者との一年の生活はグランジエ家男子はぜったいに経験させられるが女子は希望した子供だけの事例であった。なので姉は家にいてマドレーヌは希望したのだ。
そもそも姉マリアンヌは刺繍が大好きでマドレーヌは外で遊ぶのが大好きだったのだ。冒険者としても初心者の資格を取ったばかりの少年や少女に話を聞いたり、森の浅いところで角ウサギを狩ったりと兄達と一緒になって遊ぶ少女、それがマドレーヌだった。
マリアンヌは妹や兄が取ってきた、兎を使ってパイを作ったりと家庭的な娘でグランジエ家の両親はマドレーヌは貴族令嬢として育てるよりも冒険者にした方が向いているのでは、とも考えていた。
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