7 / 16
淑女のお茶会に乱入者が三人
しおりを挟む
「メリル、ようこそ」
第三王子妃宮はこじんまり……いや、王弟の娘を迎えるには心もとない建物だった。が、イゾルデはそんなこと気にしていなかった。テーブルにはお茶の用意がしてある。
「狭いけど、ゆっくり泊って。今日は一緒に寝ようね」
「うん」
二人は久しぶりにあって少女らしく喜んでいる。
「あの計画、上手くいきそう」
唐突にイゾルデが言う。
「あら。了承してもらったの?」
「ええ。入試でメリルとおなじ特進クラスに入れる成績がとれたから陛下の鶴の一声で学園に通って見聞を広げてきなさいって。……結構きわどい事いわれたんだけど……」
イゾルデはメリルの耳元で囁く。
「王子妃でなくなっても王族として、外交や統治に力を借りるよ、って」
「……どうみても狸オヤジだわ」
メリルは眉間に皺を寄せている。イゾルデは頷く。
「でもこれでヴィヴィアン様と連絡取りやすいね」
メリルの言葉にイゾルデは頷いた。
「それにまたメリルと一緒に学校に行けるし」
イゾルデはあくまで明るい。
「お、奥様……殿下のお渡りが……」
「大丈夫だ」
その場にジョージとランスロットが転移してきた。
「私が弟を迎えよう。今のうちにジョージは我が宮にメリルを」
メリルの兄、ジョージは頷いてメリルを抱いてその場からかききえた。
「あとでちゃんと説明するよ」
イゾルデは信頼する従兄の言葉に頷く。お茶の用意がされたテーブルにイゾルデとランスロットが座り、表情を整えた時にアーサー王子が押し入ってきた。
「なんですか。騒々しい。それが2年以上放置している妻に対する態度なんですか、殿下」
「なんでその獣がテーブルに着いている。獣らしくはいつくばって喰えよ」
ランスロットはそれはそれは優美に笑みを浮かべる。イゾルデの頬にうっすら赤みが指す。アーサーはこれが気に入らなかった。父王の赤毛と母の金の瞳を受け継いだそれなりに整った顔立ちのアーサーはランスロットの様にほほ笑むだけで女の媚態を呼び起こすようなマネは出来なかったのだ。
モルガナそっくりの光加減で紫がかってみえる不思議な色の金髪にモルガナそっくりの紫の瞳。アーサーとモルガナのいいところを最高のバランスで祖母譲りの卵型の柔らかで優美な輪郭に配置されている顔、正直アーサーが見てもどきりとするくらい美しい男、それがランスロットだった。その細い体にはしなやかで実用的な筋肉がついている。
兄のモードレッドは父王の生き写しであった。赤い髪に赤みがかった茶色の瞳、筋骨隆々の父親と違いモードレッドはあばらの浮くような細い体をしている。アーサーは若さ故に保ってられているがあと一歩で鍛錬が足りない、柔弱な体を豪華な服でごまかしているのでランスロットの何もかもが憎かった。
ランスロットがいかにもおかしそうに笑う。
「わが国では第一婦人の条件は『王家の姫』『儀式のときに処女』この二つだ。モルガナはそれを満たしただけに過ぎない。そもそも第一妃は最初の相手以外とは子供すら作れない。そういう呪いがかかるんだよ。知らなかったのかい?」
その呪いを解くための儀式がある事を多分アーサーは知らないであろうとランスロットは思っていた。そしてそれは当たっていた。アーサーはにやにやとイゾルデを見た。
「じゃあお前は一生子供を持てないんだな。俺はこんなガキを抱く気はないからな」
ランスロットはこいつら親子は嫌になるくらい女の趣味が似てると思った。豊満ないかにも女という体型の女が好きなようだ。イゾルデは黙っていた。王家の成人の儀式で第一婦人と子がなせない王子は一生子がなせないという呪いは介添えの乙女がかかる呪いと対なのだという事をアーサーは知らないのだと思った。まともに成人の儀の為の勉強をしていないのだなと悟る。
モルガナはその呪いを解く儀式の最中に父アーサーに拉致られ王家の聖地で事に及ばれて救出された時には儀式が再開できなかったと聞き及んでいる。王家の成人の儀式の講師を務めてくれたヴィヴィアンが教えてくれたのだ。
イゾルデはアーサーが自分の所に来ない事を利用し、すでに介添えの乙女の呪いは解いていた。
第三王子妃宮はこじんまり……いや、王弟の娘を迎えるには心もとない建物だった。が、イゾルデはそんなこと気にしていなかった。テーブルにはお茶の用意がしてある。
「狭いけど、ゆっくり泊って。今日は一緒に寝ようね」
「うん」
二人は久しぶりにあって少女らしく喜んでいる。
「あの計画、上手くいきそう」
唐突にイゾルデが言う。
「あら。了承してもらったの?」
「ええ。入試でメリルとおなじ特進クラスに入れる成績がとれたから陛下の鶴の一声で学園に通って見聞を広げてきなさいって。……結構きわどい事いわれたんだけど……」
イゾルデはメリルの耳元で囁く。
「王子妃でなくなっても王族として、外交や統治に力を借りるよ、って」
「……どうみても狸オヤジだわ」
メリルは眉間に皺を寄せている。イゾルデは頷く。
「でもこれでヴィヴィアン様と連絡取りやすいね」
メリルの言葉にイゾルデは頷いた。
「それにまたメリルと一緒に学校に行けるし」
イゾルデはあくまで明るい。
「お、奥様……殿下のお渡りが……」
「大丈夫だ」
その場にジョージとランスロットが転移してきた。
「私が弟を迎えよう。今のうちにジョージは我が宮にメリルを」
メリルの兄、ジョージは頷いてメリルを抱いてその場からかききえた。
「あとでちゃんと説明するよ」
イゾルデは信頼する従兄の言葉に頷く。お茶の用意がされたテーブルにイゾルデとランスロットが座り、表情を整えた時にアーサー王子が押し入ってきた。
「なんですか。騒々しい。それが2年以上放置している妻に対する態度なんですか、殿下」
「なんでその獣がテーブルに着いている。獣らしくはいつくばって喰えよ」
ランスロットはそれはそれは優美に笑みを浮かべる。イゾルデの頬にうっすら赤みが指す。アーサーはこれが気に入らなかった。父王の赤毛と母の金の瞳を受け継いだそれなりに整った顔立ちのアーサーはランスロットの様にほほ笑むだけで女の媚態を呼び起こすようなマネは出来なかったのだ。
モルガナそっくりの光加減で紫がかってみえる不思議な色の金髪にモルガナそっくりの紫の瞳。アーサーとモルガナのいいところを最高のバランスで祖母譲りの卵型の柔らかで優美な輪郭に配置されている顔、正直アーサーが見てもどきりとするくらい美しい男、それがランスロットだった。その細い体にはしなやかで実用的な筋肉がついている。
兄のモードレッドは父王の生き写しであった。赤い髪に赤みがかった茶色の瞳、筋骨隆々の父親と違いモードレッドはあばらの浮くような細い体をしている。アーサーは若さ故に保ってられているがあと一歩で鍛錬が足りない、柔弱な体を豪華な服でごまかしているのでランスロットの何もかもが憎かった。
ランスロットがいかにもおかしそうに笑う。
「わが国では第一婦人の条件は『王家の姫』『儀式のときに処女』この二つだ。モルガナはそれを満たしただけに過ぎない。そもそも第一妃は最初の相手以外とは子供すら作れない。そういう呪いがかかるんだよ。知らなかったのかい?」
その呪いを解くための儀式がある事を多分アーサーは知らないであろうとランスロットは思っていた。そしてそれは当たっていた。アーサーはにやにやとイゾルデを見た。
「じゃあお前は一生子供を持てないんだな。俺はこんなガキを抱く気はないからな」
ランスロットはこいつら親子は嫌になるくらい女の趣味が似てると思った。豊満ないかにも女という体型の女が好きなようだ。イゾルデは黙っていた。王家の成人の儀式で第一婦人と子がなせない王子は一生子がなせないという呪いは介添えの乙女がかかる呪いと対なのだという事をアーサーは知らないのだと思った。まともに成人の儀の為の勉強をしていないのだなと悟る。
モルガナはその呪いを解く儀式の最中に父アーサーに拉致られ王家の聖地で事に及ばれて救出された時には儀式が再開できなかったと聞き及んでいる。王家の成人の儀式の講師を務めてくれたヴィヴィアンが教えてくれたのだ。
イゾルデはアーサーが自分の所に来ない事を利用し、すでに介添えの乙女の呪いは解いていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
336
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる