聖女は断罪する

あくの

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133. 日々は流れゆく

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 「えーっと、……頭痛がするんだけど」

レイラはハナがよこしたメイの供述書を半分まで読んで呟いた。

「あの子、マともに教育受けてないみたい。それはあの母親もそう。この国の文字が読めない。母親は我が国の文字はなんとか読める。高度な論文なんかはムりだけど」

ハナは考え考え答える。

「多分、学校行ってない、メイ」

「……それはそうかも。10才位から母親が夜のパーティに連れて行ってたし。代行は学校の事とか考えてないし。メイをルシアのご学友に代行が送り込もうとして拒絶されたし」

「あの生活で本を読めないのはカわいそう」

ハナはレイラにメイの教育を進言する。

「わかりました、長老会にメイの教育を頼みます」

「アりガとう。アタシが帰る前に気になってたから」

レイラはハナを見た。

「あたしはロッドバルト様の遊軍だからね。国に戻らないと」

「そうですね。我が家にずっと関わってもらうわけにもいかないし。……メイがどこか空っぽなの感じたし」

レイラは子供の頃にメイに感じた恐怖感がなにか、あの日に対峙して理解していた。あまりに中身が空虚なのだ、メイは。学問が空虚さを埋めるなにかになるとは思ってなかったがあの空っぽさを少しでも埋められるといい、とレイラは思った。 
 子供の頃に感じた恐怖は大人になれば少しは減るな、とレイラは思いながら愛人の事を考えた。既に報告があり、今はあの家はブリスとメイの二人しか暮らしていない事と、新しい墓が庭にできている事をハナから報告を受けている。

『話せないけど、あの女はもういない。持って出ちゃだめなものも持ち出してたから』

というハナの話をレイラは影のなにか持ち出しちゃいけない何かを持ち出した、と理解していた。ので、それ以上聞かなかった。愛人の始末は影に任せる、と決まっていたからだ。

「代行サンは毎日ハタケ仕事してるよ。お兄さんが監視してる」

ハナは近いうちに国に帰るけど代行にもう少し畑仕事を仕込んでから帰るよ、と言う。

「メイにも文字の基礎の基礎位は教えトク。アタシがわかる程度の読み書きなら丁度いいしネ」

「色々気遣って下さってありがとうございます」

レイラは心から礼を言った。

「イイヨ、アタシがしたい事させてもらってるから」



 その日はテオが一瞬、マーサの焼き菓子を貰いに来て、レイラに会っていった。

「ジークがこれがないと仕事しないとか言い出してな」

テオが苦笑している。

「テオ様はもう魔力を溜めないのですか?」

「あー、肉に変えるのは止めて髪に溜めてる。魔力を貯める方法はレイラがちゃんと体が整ってから教えてもらえるよ。……しっかり髪伸ばしてな」

レイラはこくん、と頷いた。



 「あの、ペール、ロラン、どういう事かな?」

「卒業式のパートナー、どっちにするかって事。……クリストフ殿下からは?」

「今の所、クリストフ殿下とエドワード様から打診はありましたが」

レイラは困惑している。他に侯爵令息や伯爵令息からの打診もあった。

「そろそろドレスも決める時期だし」

ロランの言葉にレイラは首を傾げた。

「制服じゃだめかな?」

「……そういう人もいるけど」

「ダンスにも興味ないし」

レイラの言葉にペールとロランは溜息をついた。

「卒業式のパートナーってほぼ婚約者って事だからね?認識してる?レイラ」

ペールがもう逃がさないという決意を込めてレイラに告げた。



※  あと2~3話で終われるかと……
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