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125. ライン邸でのお茶会
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デビュタントの日の昼間は第5王子の正式なお披露目であった。半年前には側妃だったエルシノアが正妃となった。側妃宮は名所を改め月華の宮と呼ばれるようになった。
デビュタントの夜会は求婚の下見、という意味もあった。
「第6王子のお披露目はしないの?」
ライン公爵家の庭でロランとジュリオ、レイラとルシアの4人でお茶会をしている。名目はレイラたちの宿題で集まっている。レイラは早々に宿題を終わらせていた。
「3才過ぎるまでは正式なお披露目はしないってさ。何があるかわかんないし」
ジュリオは最近末子を見ていてこんな柔くて弱い生き物をどうやって大きくするんだと驚いている。
先日アルマンの家に出産祝いをしにクリストフ、ジュリオ、エドワードでネージュ子爵家に行ったら、アルマンとクリストフに『お前もエドワードもこんなやわやわふやふやだった』と断言されてジュリオはショックを受けていた。
「まだ赤ちゃんですもんね」
レイラがいう。レイラは最近聖女の仕事の一環で孤児院の慰問などによく行っている。ルシアもロランも同行する。ロランかペール、クリストフの誰かが同行できない時はメルヴィンが同行しているらしい。テオが同行する事もある。
メルヴィンが同行するとメルヴィンは完全に少年たちにたかられている。なのでメルヴィンが行く日は騎士団の訓練をするらしい。『あの子達は余り筋肉も発達していないので基礎訓練のき、くらいの事ですけどね』とメルヴィンは言う。
リリスが行くときは小動物の召喚を見せたりで少年少女とも『召喚魔術』を少しずつ教えている。理由もあって、身を護る術の一つとして持ってるなら持っておけという副教皇チャドの方針であった。レイラは魔力を使わない、ポーションの作り方と近所の森で薬草摘みを教えている。薬草は冒険者ギルドで買ってもらえるので孤児院の少年少女たちの良い稼ぎ先であった。
聖女たち3人はお金を稼ぎ、自立の一歩になるようにと積極的に慰問を行っている。
レイラとルシアが呼ばれて席を外す、ジュリオはロランに訊ねる。
「で、どうなんだい?」
「何が?」
「レイラ」
ロランははぁと溜息をついた。
「一進一退、ってところ」
ジュリオは口を尖らせた。
「クリストフ兄さんもエドワードも、ペールも似たような感じだな」
ロランはテーブルに肘をついて頬に手を添える。
「だろうなぁ……」
「メルヴィンとレイラもそんな感じじゃなさそうだしな」
「なんでそんなこと聞くの」
「ルシアとの子供ができた時にレイラにも子供が出来ると嬉しいな、と。幼馴染じゃん」
ロランは呆れたように笑った。
「そんな心配しなくても、高位貴族の子息令嬢は二人の結婚前後で皆結婚して子供つくるだろう」
「ロランもペールも婚約者いないじゃん」
ジュリオの言葉にロランは苦笑するしかなかった。
「レイラは同年代目に入ってないかもって思う」
ロランがぼそっという。
「なんで?」
「……多分、テオ教皇の事が好きなんじゃないかなって」
「……ああ」
ジュリオは言葉にしなかったがロランは正確無比にジュリオの言いたい事はわかった。美貌と権力、知性もあわせもち、レイラの兄弟子でもあるテオに立ち向かうのか、と同情半分憐憫半分の目で見られているのだ。
「そういう事だよ、俺達の意見だけどな」
ロランの言葉にジュリオは頷くしかなかった。
デビュタントの夜会は求婚の下見、という意味もあった。
「第6王子のお披露目はしないの?」
ライン公爵家の庭でロランとジュリオ、レイラとルシアの4人でお茶会をしている。名目はレイラたちの宿題で集まっている。レイラは早々に宿題を終わらせていた。
「3才過ぎるまでは正式なお披露目はしないってさ。何があるかわかんないし」
ジュリオは最近末子を見ていてこんな柔くて弱い生き物をどうやって大きくするんだと驚いている。
先日アルマンの家に出産祝いをしにクリストフ、ジュリオ、エドワードでネージュ子爵家に行ったら、アルマンとクリストフに『お前もエドワードもこんなやわやわふやふやだった』と断言されてジュリオはショックを受けていた。
「まだ赤ちゃんですもんね」
レイラがいう。レイラは最近聖女の仕事の一環で孤児院の慰問などによく行っている。ルシアもロランも同行する。ロランかペール、クリストフの誰かが同行できない時はメルヴィンが同行しているらしい。テオが同行する事もある。
メルヴィンが同行するとメルヴィンは完全に少年たちにたかられている。なのでメルヴィンが行く日は騎士団の訓練をするらしい。『あの子達は余り筋肉も発達していないので基礎訓練のき、くらいの事ですけどね』とメルヴィンは言う。
リリスが行くときは小動物の召喚を見せたりで少年少女とも『召喚魔術』を少しずつ教えている。理由もあって、身を護る術の一つとして持ってるなら持っておけという副教皇チャドの方針であった。レイラは魔力を使わない、ポーションの作り方と近所の森で薬草摘みを教えている。薬草は冒険者ギルドで買ってもらえるので孤児院の少年少女たちの良い稼ぎ先であった。
聖女たち3人はお金を稼ぎ、自立の一歩になるようにと積極的に慰問を行っている。
レイラとルシアが呼ばれて席を外す、ジュリオはロランに訊ねる。
「で、どうなんだい?」
「何が?」
「レイラ」
ロランははぁと溜息をついた。
「一進一退、ってところ」
ジュリオは口を尖らせた。
「クリストフ兄さんもエドワードも、ペールも似たような感じだな」
ロランはテーブルに肘をついて頬に手を添える。
「だろうなぁ……」
「メルヴィンとレイラもそんな感じじゃなさそうだしな」
「なんでそんなこと聞くの」
「ルシアとの子供ができた時にレイラにも子供が出来ると嬉しいな、と。幼馴染じゃん」
ロランは呆れたように笑った。
「そんな心配しなくても、高位貴族の子息令嬢は二人の結婚前後で皆結婚して子供つくるだろう」
「ロランもペールも婚約者いないじゃん」
ジュリオの言葉にロランは苦笑するしかなかった。
「レイラは同年代目に入ってないかもって思う」
ロランがぼそっという。
「なんで?」
「……多分、テオ教皇の事が好きなんじゃないかなって」
「……ああ」
ジュリオは言葉にしなかったがロランは正確無比にジュリオの言いたい事はわかった。美貌と権力、知性もあわせもち、レイラの兄弟子でもあるテオに立ち向かうのか、と同情半分憐憫半分の目で見られているのだ。
「そういう事だよ、俺達の意見だけどな」
ロランの言葉にジュリオは頷くしかなかった。
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