聖女は断罪する

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116. 少年たちとお茶会

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 王子のお茶会に今回はフィールズ侯爵家からはペールと嫡男が来ていた。嫡男とクリストフが話しているがペールはロランの横にさっさと来た。

「今日はうちの兄貴と側妃様の長女、クリストフ殿下の妹姫の婚約発表だってさ。いつものお茶会とちょっと少し趣向が違うんで俺達も呼ばれたってわけ」

「へぇ。あ、兄上の婚約、おめでとう」

ペールはふーと溜息を着いた。

「兄が売れたら俺の番だよなぁ……、どうするかなぁ」

「君は次男だから外にでるのも自由なのでは?」

ペールの声が一段下がる。

「リリスを押し付けられないか、そこが悩みだね」

ロランは思いもよらない話であった。

「聖女候補の子か。……魔力としても家と相性のいい水だし、ってところか」

ペールは頷く。

「リリスは最近教会に移ってさ。召喚魔法に真面目に取り組んでるみたいだし、母の心象がかなり良くなったんだよね。そのあたりがねぇ。じぶんの母親が可愛がってた娘ってのもなにか心に訴えるらしくて。資金面でも援助してるみたい」

ペールはどかっと椅子に座っている。

「今日は伯爵家の令嬢達も多いのに。……レイラ嬢は来てないの?」

ロランが頷いた。

「レイラ嬢は今『令嬢』枠に入ってないんだって。成人前当主扱いなんで『令嬢』を招くお茶会なんかには招かれないらしいけど、当主を招く夜会にも成年に達してない、学生であるってことで招かれてないらしい」

ロランが声を顰める。

「だから代行達は自分たちが『まとも』な夜会から弾かれてるのにきがついてないらしい。そのあたりのコントロールはモロー伯爵が引き受けてて、息抜きの娯楽の夜会の手配をしてごまかしてるらしい」

「ああ、エメの父親か。そう言えばオーエンとエメは高等部へ入る時に騎士学校に転入するってさ」

ペールの言葉にロランは少し考えて答える。

「騎士団長のご子息とモロー伯爵の次男か」

「あ、そうか。ロランとは高等部で一緒になったんだったな。去年エメ達とは一緒のクラスでさ。……今はルシア嬢と一緒のクラスだな」

 公爵と侯爵の子息というこのお茶会の令嬢たちにとっての目玉の二人が話し込んでいるので令嬢達はやきもきしつつ見守っていた。話が途切れたら話しかけようとしているのだ。



 「今日の獲物は兄様たちですね」

ルシアがジュリオの横で笑う。

「エドワードも狙われてるね」

二人は目を合わせて含み笑いをしている。その様子は子供がいたずらを思いついてどうやって実行しようかとしているようにしか見えていない。
 陛下と側妃はそんな二人を影からみていた。

「王太子はジュリオかな」

「ですね。クリストフはサポートに回った方が生きる性格ですから。ジュリオの明るさは国のトップとして得難し資質ですわ」

陛下も頷いている。

「ルシアがジュリオの妃になるならデュモン侯爵令嬢は選外ですわよ。押され負けないでくださいね、陛下」

エルシノアはにこやかに陛下に釘を刺した。
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