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108. 後始末 ライン公爵家
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「来たね」
ヴィヴィアンヌとライン公爵は臨戦態勢だった。ルシアやロランも戦うと言ったが二人に
「母親を護れ」
と言い聞かせた。そういってロラン、ルシア、マリアとアナを1階の一室に閉じ込めた。使用人達も地下の一室に集めた。ライン公爵家には間者は入り込めなかったようだ。
「ライン公爵、殺さないように気を付けて」
「おば様こそ」
ヴィヴィアンヌとライン公爵は遠慮をする気はなかった。余り知られていない事だがライン公爵は闇と水の魔法の使い手で幼いうちからヴィヴィアンヌに訓練を受けている。穏やかな外見に騙されている人も多いが攻撃をせねばならないときには躊躇しない。もちろん使おうと思えば全属性使えるのだがその中でも闇と水が得意なのである。
王宮から派遣された騎士と魔法師団の人間はそんなライン公爵の姿に驚いている。
「では、打合せ通りに」
ヴィヴィアンヌとライン公爵は次々と来る影とその配下を数人ずつの塊毎水で出来た巨大な球に封じ込めて行く。一人の魔法師団員がその球を壊すと3人の騎士がその一塊を捕縛していく。そうしてそんな塊が20程出来た。水の球から最初に開放された3人にはぐったりしてはいるが喋れそうだったのでライン公爵が訊ねる。
「君たちは何故私の屋敷を襲った?」
「……ロッドバルト様は無事なのかっ」
その中でも少年に近い若さの男が叫ぶ。
「おいっ」
年かさの青年が止める。その横でヴィヴィアンヌが自白の術を彼らの周りだけにかける。その上で軽く訊ねる。
「私はロッドバルトの友達なんだけど、我が家には来てないわよ?」
ろうたけた美女にそう言われて青年たちは顔を少し赤くする。
「この家にロッドバルト様が囚われている、戦争の前に取り戻すのだと副総帥からの命令が」
などとぽろぽろ漏らす。ヴィヴィアンヌは平気な顔をしている。ライン公爵も別の解放された集団におなじ様に自白の魔法をかけて話を聞く。ヴィヴィアンヌ以外はライン公爵が自白の魔法をはじめとする人心を操る魔法を使えるのを知らない。ライン公爵は領地で教育を受け、季節ごとに陛下と合っていたが、陛下はある意味鼻が良くて、他の人間の様にライン公爵を『いい人間』と思っていなかった。容姿が地味なので平凡な男のくせに妙に他人に好かれるのも癪の種だったようだ。ヴィヴィアンヌは現陛下は勘は悪くないんだけどもなぁとそのことで改めて思った。前公爵は闇の魔法が得意な自分の息子が学園に馴染めるかどうか、と思い急ピッチで公爵領に小中高一貫の学園を作ったのだ。前公爵は引退して今はその学校の名誉校長をしている。
いくつかの集団にそういうことをし、襲撃者の中に不穏な空気を振りまいている。ヴィヴィアンヌは魔法師団員の一人に『多分この子達魔草を使われてると思う。襲撃者のリーダーは特に念入りに調べて欲しい』と伝える。
馬車の後ろに襲撃者たちは腰を縄で繋がれて列を作っている。自分の足で王宮まで歩かされるのだ。皆が繋がれた後首に縄を巻かれる。こうして馬車に合わせて歩かねば誰かが倒れたりすれば首が締まるようにされた。
「王宮に着くまで何人残りますかね」
ヴィヴィアンヌにライン公爵が呟く。
「エドワード、黒い顔になってるよ。……ロランに魅了の力があるの、いつ分かった?」
ヴィヴィアンヌの問いかけにライン公爵は首を傾げる。
「さぁ?動物にえらく好かれるし、難のある正確の長男とも上手くいってますし、なくはないかなとは思ってました。それにうちは強烈な魅了持ち一人いるから薄い魅了だと意識できない」
ライン公爵はヴィヴィアンヌにそんな話をしながら己の表情を整える。
「息子にはでなかったけどあんたには出ちゃったね、魔法を使うと興奮するの」
「おば様の孫ですからね。……ルシアとロランはどうでした?」
ヴィヴィアンヌは率直に教える。
「ルシアは使う事を楽しむけど、ロランはコントロールすることを楽しんでるね」
ライン公爵は父親の顔で言う。
「引き続き、ロランとルシアを学園にいる間で仕上げてください」
「わかってる。今はエミールもいるから大丈夫」
ヴィヴィアンヌはしっかりとライン公爵に約束した。
ヴィヴィアンヌとライン公爵は臨戦態勢だった。ルシアやロランも戦うと言ったが二人に
「母親を護れ」
と言い聞かせた。そういってロラン、ルシア、マリアとアナを1階の一室に閉じ込めた。使用人達も地下の一室に集めた。ライン公爵家には間者は入り込めなかったようだ。
「ライン公爵、殺さないように気を付けて」
「おば様こそ」
ヴィヴィアンヌとライン公爵は遠慮をする気はなかった。余り知られていない事だがライン公爵は闇と水の魔法の使い手で幼いうちからヴィヴィアンヌに訓練を受けている。穏やかな外見に騙されている人も多いが攻撃をせねばならないときには躊躇しない。もちろん使おうと思えば全属性使えるのだがその中でも闇と水が得意なのである。
王宮から派遣された騎士と魔法師団の人間はそんなライン公爵の姿に驚いている。
「では、打合せ通りに」
ヴィヴィアンヌとライン公爵は次々と来る影とその配下を数人ずつの塊毎水で出来た巨大な球に封じ込めて行く。一人の魔法師団員がその球を壊すと3人の騎士がその一塊を捕縛していく。そうしてそんな塊が20程出来た。水の球から最初に開放された3人にはぐったりしてはいるが喋れそうだったのでライン公爵が訊ねる。
「君たちは何故私の屋敷を襲った?」
「……ロッドバルト様は無事なのかっ」
その中でも少年に近い若さの男が叫ぶ。
「おいっ」
年かさの青年が止める。その横でヴィヴィアンヌが自白の術を彼らの周りだけにかける。その上で軽く訊ねる。
「私はロッドバルトの友達なんだけど、我が家には来てないわよ?」
ろうたけた美女にそう言われて青年たちは顔を少し赤くする。
「この家にロッドバルト様が囚われている、戦争の前に取り戻すのだと副総帥からの命令が」
などとぽろぽろ漏らす。ヴィヴィアンヌは平気な顔をしている。ライン公爵も別の解放された集団におなじ様に自白の魔法をかけて話を聞く。ヴィヴィアンヌ以外はライン公爵が自白の魔法をはじめとする人心を操る魔法を使えるのを知らない。ライン公爵は領地で教育を受け、季節ごとに陛下と合っていたが、陛下はある意味鼻が良くて、他の人間の様にライン公爵を『いい人間』と思っていなかった。容姿が地味なので平凡な男のくせに妙に他人に好かれるのも癪の種だったようだ。ヴィヴィアンヌは現陛下は勘は悪くないんだけどもなぁとそのことで改めて思った。前公爵は闇の魔法が得意な自分の息子が学園に馴染めるかどうか、と思い急ピッチで公爵領に小中高一貫の学園を作ったのだ。前公爵は引退して今はその学校の名誉校長をしている。
いくつかの集団にそういうことをし、襲撃者の中に不穏な空気を振りまいている。ヴィヴィアンヌは魔法師団員の一人に『多分この子達魔草を使われてると思う。襲撃者のリーダーは特に念入りに調べて欲しい』と伝える。
馬車の後ろに襲撃者たちは腰を縄で繋がれて列を作っている。自分の足で王宮まで歩かされるのだ。皆が繋がれた後首に縄を巻かれる。こうして馬車に合わせて歩かねば誰かが倒れたりすれば首が締まるようにされた。
「王宮に着くまで何人残りますかね」
ヴィヴィアンヌにライン公爵が呟く。
「エドワード、黒い顔になってるよ。……ロランに魅了の力があるの、いつ分かった?」
ヴィヴィアンヌの問いかけにライン公爵は首を傾げる。
「さぁ?動物にえらく好かれるし、難のある正確の長男とも上手くいってますし、なくはないかなとは思ってました。それにうちは強烈な魅了持ち一人いるから薄い魅了だと意識できない」
ライン公爵はヴィヴィアンヌにそんな話をしながら己の表情を整える。
「息子にはでなかったけどあんたには出ちゃったね、魔法を使うと興奮するの」
「おば様の孫ですからね。……ルシアとロランはどうでした?」
ヴィヴィアンヌは率直に教える。
「ルシアは使う事を楽しむけど、ロランはコントロールすることを楽しんでるね」
ライン公爵は父親の顔で言う。
「引き続き、ロランとルシアを学園にいる間で仕上げてください」
「わかってる。今はエミールもいるから大丈夫」
ヴィヴィアンヌはしっかりとライン公爵に約束した。
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