聖女は断罪する

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105. 報告 2

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 「フィールズ家としはどうするつもりですか」

ペールがチャドに訊ねる。

「とりあえず、老に対する尋問中にフィールズ侯爵家と現フィールズ家、ここからおやっさんを離縁する。その辺りは現フィールズ侯爵アニキが動く。ペールは引き続き俺達の手伝い。嫡男ウィルも兄貴を手伝ってるしな」

チャドは続ける。

「残念ながらレイラの親御さんは影響を受けない。……というか、エドガーの元を訪った女を処罰すると……貴族の半数以上を処罰せねばならんし、その中には正妃と愛妾もいるんだよな、これが」

チャドが溜息をつく。

「ただ、正妃に関しては息子のアルマンが責任を取って臣籍に降りて、ネージュ子爵家に入るって事にして、正妃たちの罪から目をそらさせる。エドワード」

チャドがエドワードをじっと見る。

「母親の罪を自分が、とはいうなよ?お前らに罪が及ばないように王子4人は正式に側妃の息子となった。よって本来なら皆側妃の息子として正妃たちとは関係がない事になるはずだったんだけどもな……」

テオが続きを説明する。

「そこで、王妃たちの件がなければそのままアルマンが臣下に下るって事だったんだけどな。正妃と愛妾の吸精鬼信仰ってのが出てきて……。その当たりが騒がれるだろうからアルマンが弟妹に累が及ばないように、って自分で言い出したんだよ。最後に長男として弟妹に誇れる振る舞いがしたいってさ」

クリストフもジュリオもエドワードも何も言えなくなった。

「4兄弟間の事はちゃんと話し合っておかないと時間なんてあっという間に過ぎるから」

チャドが含みを持たせて答える。



 「次に、陛下の若いころの側近、『正妃の兄』の話」

ロッドバルトが話始める。

「さっさと正体を話すとうちの国の影のサブリーダーだ。……な」

ロッドバルトは苦い顔で続ける。

「結局、正妃とその親、屋敷にあの魔草と呪術を使った幻惑の術をかけていたようだ。あの香水、正妃の使っていた香水と愛妾の使ってた香もそういうものでな……」

エミールが続ける。

「ま、そういう成分分析とかは宮廷魔導師団がやって、……この二十年だっけか?ヴィヴィアンヌが追っかけた魔草の件も絡んでくる、と」

ヴィヴィアンヌが深く溜息をつく。

「あんたたちの代までは引きずらないようにしなければね」

少年少女は大人たちの話を大人しく聞いていた



 「あとは我々の仕事だからね。……このところおろそかだった学校の方頑張って」

一通りの話が終わると大人たちはそのまま客間に残り、少年少女はとりあえず室外に出た。

「多分、陛下の話もあると思うから。明後日、放課後エミールの家に集まれる?」

クリストフが提案し皆頷く。大人たちは仕事の話も絡むし、隣の国の機密も絡んだ話があるからとレイラたちを部屋から出したのだ。

「事情は分かるけど……、気にはなるよね」

ロランの言葉に皆頷いた。

「大人の話が終わるまで勝手に帰ったりはしない方がいいな」

めったに口を開かないメルヴィンも言う。

「じゃ、とりあえずお茶にしよ?」

レイラが言うとみなぞろぞろと食堂横の談話室に座った。

「ペール様はおうちは大丈夫ですか?」

レイラはこのまま泊まっても大丈夫かというつもりで訊ねた。ペールは違う受け取り方をしたようだ。

「わかんないね。……前侯爵が捕まってるし。うちにどんな余波があるか。侯爵位は降爵か最悪爵位はく奪か……」

ペールは深刻そうではなく、淡々と告げる。

「けど、ペールもアレに血を捧げてるって事は王宮側も知ってるし。今のフィールズ家にはそこまで影響ないんじゃない?」

「そうかな?でもなんで俺が血を垂らす役に選ばれたのかな。うちは王家の血入ってないし」

ロランとペールの会話にメルヴィンが割って入る。

「聖女メロディの姉、ピアノ様の血統を選んたそうです」


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