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98. 討伐は静かに始まった
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レイラたちが現地に着くと物々しい雰囲気の宮廷騎士団がいた。教会関係者は8人いて鎮魂の祈りをささげている。最後の文言が終わった瞬間テオが陣を展開し4レイラたち4人が位置に着く。間を埋めるように宮廷魔導師団から人が配置される、合計12人でエンジンを組んだ形になる。慰霊碑に向かっていた8人が立ち上がるのと夕日が落ち切り夜の帳が取り灰めるのは同時で前副教皇が叫ぶ。
「謀ったな、きょぅこぉおおおお」
元副教皇の少し冷たくて人を魅了するような声は影も形もなかった。
「エドガー、仮面が外れてるぞ」
テオが揶揄うようにいう。
「うるっさ」
エドガーは皆まで言えなかった。テオが目の前で金色を帯びた魅了を纏った視線を投げてきたからだ。エドガーはとっさに目を瞑り、一番弱そうなレイラの方へ走る。レイラは無詠唱でエドガーの膝のあたりまでの土の壁を出現させた。エドガーはとっさの対応が出来ずつんのめる。
護衛の騎士に混じっていたクリストフがいち早くレイラのいる方向へ走っていた。クリストフはジャンの体を抱きとめた。
「テオ、レイラ」
クリストフが二人に声をかける。テオは素早い動きでエドガーの前に行く。
「エドガー、俺を愛そうぜ。神の愛の甘露さはその体が知っているだろう?」
テオはエドガーの片目を親指と人指し指で開ききょろきょろ動く眼玉に自分の視線をあわせて細かく顔を動かしている。真後ろにいるクリストフは顔を背けている。宮廷魔導士団の人間が6人、エドガーを抑える補助に入る。
ヴィヴィアンヌはしずしずとルシアをつれてその場に向かった。何度目かエドガーが視線を逸らした先にルシアがいた。そこにいたエドガー以外の人間はエミールが作った対ルシアの魔力用のアミュレットを着けている。無防備に全く加減をしないルシアの魅了がエドガーを襲った。
「あら、私から目が離せなくなった?」
愛らしい声でルシアが言う。アミュレットを着けているからこそ冷静にルシアの声を受け
止められる事を騎士達は知らなかった。
「おじさま、私をみていたい?」
エドガーは頷くしかなかった。テオはそっとエドガーの瞼から手を放す。クリストフもジャンの体を抱きとめていた手を離した。
「じゃ、ここにいてあげるからテオ様とヴィヴィアンヌ様のお話を聞いてね?」
ルシアはそっとエドガーの手に触れた。エドガーは宿主の心臓が強く打っているのを感じる。そう、エドガーと共に肉体の持ち主ジャンも魅了されているのだ。エミールはテオとヴィヴィアンヌ、エドガーに椅子を持ってきて勧めた。エドガーが腰を下ろした瞬間その椅子から立てなくなる。エドガーが座った位置は円陣の中心で四方八方から魔力がその椅子に流れ込み魔力で椅子に縛り付ける仕組みになっているのだ。レイラたち四人の役割、陣に魔力を流すのはこれからが本番だった。
「そんなに聞きたい事は沢山はないよ、エドガー」
ヴィヴィアンヌはテオとエミール以外には気が付かれないようにエドガーの心を縛る魔法をかけている。対象はクリストフ、ジュリオ、エドワード、ペール、ロランの今回まだ活躍できていない少年たちに対してエドガーの心を縛り付ける。親石に指示された魔法だった。
「何を聞きたい?」
「フィールズ老に渡した薬草はどこで手に入れたの」
「そこの山だ。俺の昔の家のあった所だ。もうわからんぞ、お前たちの国が出来る前のことだからな、家があったのは」
「その頃は体があったのか?」
エミールが好奇心のままに訊ねる。
「あった。……その頃の名前だよ、エドガーは」
「エドガーはいつから吸精鬼になったんだい?」
エドガーは肩を竦める。それでも目はルシアを捉えたままだ。ルシアも惜しみなくその力を発揮している。ヴィヴィアンヌはそっと結界をはり、他の皆を魅了から護った。ルシアの横にはロランがいてルシアの手を握っている。
「昔からだよ。うちの一族は昔からこうだ。死ぬと新しい肉体を捜して移るんだ」
ヴィヴィアンヌもテオもエミールも一瞬嫌な顔になったが立て直す。
「今は他に仲間はいるのかい?」
「謀ったな、きょぅこぉおおおお」
元副教皇の少し冷たくて人を魅了するような声は影も形もなかった。
「エドガー、仮面が外れてるぞ」
テオが揶揄うようにいう。
「うるっさ」
エドガーは皆まで言えなかった。テオが目の前で金色を帯びた魅了を纏った視線を投げてきたからだ。エドガーはとっさに目を瞑り、一番弱そうなレイラの方へ走る。レイラは無詠唱でエドガーの膝のあたりまでの土の壁を出現させた。エドガーはとっさの対応が出来ずつんのめる。
護衛の騎士に混じっていたクリストフがいち早くレイラのいる方向へ走っていた。クリストフはジャンの体を抱きとめた。
「テオ、レイラ」
クリストフが二人に声をかける。テオは素早い動きでエドガーの前に行く。
「エドガー、俺を愛そうぜ。神の愛の甘露さはその体が知っているだろう?」
テオはエドガーの片目を親指と人指し指で開ききょろきょろ動く眼玉に自分の視線をあわせて細かく顔を動かしている。真後ろにいるクリストフは顔を背けている。宮廷魔導士団の人間が6人、エドガーを抑える補助に入る。
ヴィヴィアンヌはしずしずとルシアをつれてその場に向かった。何度目かエドガーが視線を逸らした先にルシアがいた。そこにいたエドガー以外の人間はエミールが作った対ルシアの魔力用のアミュレットを着けている。無防備に全く加減をしないルシアの魅了がエドガーを襲った。
「あら、私から目が離せなくなった?」
愛らしい声でルシアが言う。アミュレットを着けているからこそ冷静にルシアの声を受け
止められる事を騎士達は知らなかった。
「おじさま、私をみていたい?」
エドガーは頷くしかなかった。テオはそっとエドガーの瞼から手を放す。クリストフもジャンの体を抱きとめていた手を離した。
「じゃ、ここにいてあげるからテオ様とヴィヴィアンヌ様のお話を聞いてね?」
ルシアはそっとエドガーの手に触れた。エドガーは宿主の心臓が強く打っているのを感じる。そう、エドガーと共に肉体の持ち主ジャンも魅了されているのだ。エミールはテオとヴィヴィアンヌ、エドガーに椅子を持ってきて勧めた。エドガーが腰を下ろした瞬間その椅子から立てなくなる。エドガーが座った位置は円陣の中心で四方八方から魔力がその椅子に流れ込み魔力で椅子に縛り付ける仕組みになっているのだ。レイラたち四人の役割、陣に魔力を流すのはこれからが本番だった。
「そんなに聞きたい事は沢山はないよ、エドガー」
ヴィヴィアンヌはテオとエミール以外には気が付かれないようにエドガーの心を縛る魔法をかけている。対象はクリストフ、ジュリオ、エドワード、ペール、ロランの今回まだ活躍できていない少年たちに対してエドガーの心を縛り付ける。親石に指示された魔法だった。
「何を聞きたい?」
「フィールズ老に渡した薬草はどこで手に入れたの」
「そこの山だ。俺の昔の家のあった所だ。もうわからんぞ、お前たちの国が出来る前のことだからな、家があったのは」
「その頃は体があったのか?」
エミールが好奇心のままに訊ねる。
「あった。……その頃の名前だよ、エドガーは」
「エドガーはいつから吸精鬼になったんだい?」
エドガーは肩を竦める。それでも目はルシアを捉えたままだ。ルシアも惜しみなくその力を発揮している。ヴィヴィアンヌはそっと結界をはり、他の皆を魅了から護った。ルシアの横にはロランがいてルシアの手を握っている。
「昔からだよ。うちの一族は昔からこうだ。死ぬと新しい肉体を捜して移るんだ」
ヴィヴィアンヌもテオもエミールも一瞬嫌な顔になったが立て直す。
「今は他に仲間はいるのかい?」
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