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97. 近づく討伐
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「エドガーは宿主を教会の鎮魂業務だと言って夕方に禁足地に連れ出す事になってるよ」
テオが告げる。
「今は教会で祈りの時間だな」
「エドガーを離した後の元副教皇はどうするつもり?」
ヴィヴィアンヌに問われテオはにっこり笑う。
「エドガーの事を忘れてもらう。それなりに実務能力はあるからね」
肉がない素のテオの笑顔はどう見ても『人の好い教皇様』に見えなかった。レイラは見慣れていたが少年たちとルシアは驚いていた。
テオは元副教皇のジャンを魅了して仕事をさせるつもりであった。メルヴィンが質問をする。
「その、寄生された宿主は解放されて影響はないんですか?」
テオはんーと言った後に答える。
「多分ない。あいつは精を吸う為に宿主を利用するが宿主を傷つけることはない。そうするとたっぷり吸う事ができなくなるからな。それと次から次に移る事が多いのでいちいち宿主にしっかり根付く事はないんだ」
ヴィヴィアンヌが話を続ける。
「魔物としての手ごわさはそこそこ。ただ、宿主にある影響は『記憶の欠如』だね。アルフォンスみたいに記憶を代償にするのではなく、エドガーとして活動してる間の記憶は宿主に残らないと……思う」
テオが苦笑する。
「男の精も自分で手に入れるからエドガーがしてたことをジャンが知ったら自殺しかねないぞ」
ルシアとレイラはピンと来ていないが少年たちは痛ましさ、悍ましさを想像したらしい。皆一様に眉を顰めていた。
「さてと。ルシアとレイラはちゃんと着替えてるね。今日は私も着替えておこう。活動するからね」
みな鹿皮のスパッツにチュニックという活動的な格好だ。ルシアは長い白金の髪を一つの三つ編みにして頭の周りに巻き付けている。アナはついていくと言ったがが得ってきてからのおやつを沢山焼いておいてくれとルシアが頼む。
「大丈夫。……アナにはこの家を護ってて欲しい。もしかしたら愛人が来るかもだしフィールズ老が来るかもだし。無人に見えるように結界ははっておくけど何かあったら家の中の人を護って欲しい」
ヴィヴィアンヌに頭を下げられアナは不承不承承知した。セドリックやマーサは魔法の心得がないので護る人間が必要なのもりかいしていた。
レイラは伸ばしかけの髪を編み込みでまとめた。意外な事にペールがやってくれたのだ。曰く年下の従妹がやってくれというので覚えたという。ロランはペールの解説を聴き手元を見ながら
「今度ルシアにやってあげるよ」
とやる気満々になっている。
「綺麗にしてくださいませ」
ルシアは笑いながら揶揄った。
テオはレイラとメルヴィン、アルフォンス、ジークに指示を与える。
「4人は封印の為の魔法陣を保持してほしい。俺が陣を展開したら4人とも自分の魔力を
魔法陣に流し込んでおいてくれ。立ち位置も現地で指導する」
「はい」
四人は声を揃えて返事をした。
「師匠は?」
レイラの疑問にテオが答える。
「最初はジークとアルフォンスに一番外側の障壁を作ってもらう予定だったんだけど調べたら禁足地の魔法陣の保持に意外と魔力が必要なのがわかってな。一番内側と外側の障壁をヴィヴが作成かつ保持。その間の障壁は宮廷魔法師団が何枚かつくる事になってる」
テオはメルヴィンに向き直る。
「メルヴィンは東側、国境側で陣を保持な。国境を越えたら隣国の魔術師殿が確保してくれるとはいえ、迷惑をかけないに越したことはないからな。その宝剣を託すのはそう言う意味だぞ」
メルヴィンはテオの言葉に力強く頷いた。
テオが告げる。
「今は教会で祈りの時間だな」
「エドガーを離した後の元副教皇はどうするつもり?」
ヴィヴィアンヌに問われテオはにっこり笑う。
「エドガーの事を忘れてもらう。それなりに実務能力はあるからね」
肉がない素のテオの笑顔はどう見ても『人の好い教皇様』に見えなかった。レイラは見慣れていたが少年たちとルシアは驚いていた。
テオは元副教皇のジャンを魅了して仕事をさせるつもりであった。メルヴィンが質問をする。
「その、寄生された宿主は解放されて影響はないんですか?」
テオはんーと言った後に答える。
「多分ない。あいつは精を吸う為に宿主を利用するが宿主を傷つけることはない。そうするとたっぷり吸う事ができなくなるからな。それと次から次に移る事が多いのでいちいち宿主にしっかり根付く事はないんだ」
ヴィヴィアンヌが話を続ける。
「魔物としての手ごわさはそこそこ。ただ、宿主にある影響は『記憶の欠如』だね。アルフォンスみたいに記憶を代償にするのではなく、エドガーとして活動してる間の記憶は宿主に残らないと……思う」
テオが苦笑する。
「男の精も自分で手に入れるからエドガーがしてたことをジャンが知ったら自殺しかねないぞ」
ルシアとレイラはピンと来ていないが少年たちは痛ましさ、悍ましさを想像したらしい。皆一様に眉を顰めていた。
「さてと。ルシアとレイラはちゃんと着替えてるね。今日は私も着替えておこう。活動するからね」
みな鹿皮のスパッツにチュニックという活動的な格好だ。ルシアは長い白金の髪を一つの三つ編みにして頭の周りに巻き付けている。アナはついていくと言ったがが得ってきてからのおやつを沢山焼いておいてくれとルシアが頼む。
「大丈夫。……アナにはこの家を護ってて欲しい。もしかしたら愛人が来るかもだしフィールズ老が来るかもだし。無人に見えるように結界ははっておくけど何かあったら家の中の人を護って欲しい」
ヴィヴィアンヌに頭を下げられアナは不承不承承知した。セドリックやマーサは魔法の心得がないので護る人間が必要なのもりかいしていた。
レイラは伸ばしかけの髪を編み込みでまとめた。意外な事にペールがやってくれたのだ。曰く年下の従妹がやってくれというので覚えたという。ロランはペールの解説を聴き手元を見ながら
「今度ルシアにやってあげるよ」
とやる気満々になっている。
「綺麗にしてくださいませ」
ルシアは笑いながら揶揄った。
テオはレイラとメルヴィン、アルフォンス、ジークに指示を与える。
「4人は封印の為の魔法陣を保持してほしい。俺が陣を展開したら4人とも自分の魔力を
魔法陣に流し込んでおいてくれ。立ち位置も現地で指導する」
「はい」
四人は声を揃えて返事をした。
「師匠は?」
レイラの疑問にテオが答える。
「最初はジークとアルフォンスに一番外側の障壁を作ってもらう予定だったんだけど調べたら禁足地の魔法陣の保持に意外と魔力が必要なのがわかってな。一番内側と外側の障壁をヴィヴが作成かつ保持。その間の障壁は宮廷魔法師団が何枚かつくる事になってる」
テオはメルヴィンに向き直る。
「メルヴィンは東側、国境側で陣を保持な。国境を越えたら隣国の魔術師殿が確保してくれるとはいえ、迷惑をかけないに越したことはないからな。その宝剣を託すのはそう言う意味だぞ」
メルヴィンはテオの言葉に力強く頷いた。
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