85 / 138
84. 注文の多い親石
しおりを挟む
「なら、レイラ付き合ってもらってる悪いわ」
ヴィヴィアンヌの言葉にエミールは首を横に振る。
「嬢ちゃん一人外すのは可愛そうだし万が一俺らが崩れた時俺らのサポートをしてもらわにゃならんし。ジーク、アルフォンス。レイラは一番外の壁を保持してもらわんとな」
エミールは直接関わらない3人に結界の保持を頼むつもりのようだ。
「メロディが関わるなら俺も頑張るさ」
メロディとエミールは恋仲であった。お互い好きと思いつつ聖女と宮廷魔術師見習いの少年という身分差、ライン公爵令嬢という貴族令嬢と平民の少年という立場もありお互いが想いを告げる事はなかったようだ。ヴィヴィアンヌはそれに立ち入る事はなかった。
「そうね。あんたは何をするつもり?」
「一番内側の結界を俺がはる。……ヴィヴィアンヌには一番外側の結界の補強を頼む」
「わかった」
「それにあんたはルシアやロラン達のサポートもあるし自由に動ける魔法使いを作っておきたい。エドガーを縛る為にも」
「ルシアの魅了以外に物理的に縛るってことね?」
「そう」
「メルヴィンは?」
「物理的なところをまかせる。あいつ、剣術結構使うしな。聖銀の剣をテオが貸し出すってよ」
話を振られてテオは話を引き取った。
「宝物庫の奥にあるのを使えってよ、親石が。メルヴィンに北東に立たせて聖銀の剣を地面に接触させてメルヴィンの魔力を地面に広げろってさ」
「陣は?」
「描いたらエドガーが来ないからメルヴィンの力を地面に広げることで陣の代わりに出来るって事」
テオはヴィヴィアンヌの問いに答えた。
「そう……。フィールズ老の事だけど」
「うん」
エミールが先を促す。
「まず、代行の愛人、エマと代行は娼婦と客で知り合ったようで。婚約者のシルヴィと真逆の品と教養のない女だから気に入ったって事らしい。代行はシルヴィに対してコンプレックス塗れ見たいだったよ。これはモロー伯爵の印象だけどね」
ヴィヴィアンヌはモロー伯爵と接触し情報を得たようだった。物見高い伯爵には『愛人を蹴落としてなりかわろうとしている』ドゥエスタン家を狙う女として接触したのだ。
『ま、伯爵代行は自分で思ってるほど有能じゃないし、若いときから知ってるから友達として付き合ってるが、傍から見ていい男じゃないわな』
モロー伯爵はワインを流し込みながら言った。
『ま、親切心から言うがあそこの愛人の娘は……手に負えんぞ。伯爵令嬢の詐称、頭が弱い、……近いうちに孕むんじゃないかって言われてるよ。まともな男どもは近寄らない。夜会もに10になるやならずやで連れてくるようになってあっという間に中庭に行ってしまうような子だ。どうだ、ボロボロのドゥエスタンより私の愛人にならんか?いい体をしてるし楽しめるだろうからな』
ヴィヴィアンヌはにっこり笑った。
『奥様に告げ口しましょうかね。あなたに秘密裡に接触できるって事は奥様にも出来るってことですわ』
ヴィヴィアンヌの言葉にモロー伯爵は黙った。
『情報ありがとう』
ヴィヴィアンヌは店主に金を渡して、モロー伯爵の支払いを終わらせて店から出だ。
「って事だよ。代行の愛人は……多分フィールズ老の手の物だと思う。けど……、もしかしたら」
「もしかしたら?」
エミールがじっとヴィヴィアンヌを見る。
「老のところの影の落ちこぼれかもね」
ヴィヴィアンヌの言葉にエミールは首を横に振る。
「嬢ちゃん一人外すのは可愛そうだし万が一俺らが崩れた時俺らのサポートをしてもらわにゃならんし。ジーク、アルフォンス。レイラは一番外の壁を保持してもらわんとな」
エミールは直接関わらない3人に結界の保持を頼むつもりのようだ。
「メロディが関わるなら俺も頑張るさ」
メロディとエミールは恋仲であった。お互い好きと思いつつ聖女と宮廷魔術師見習いの少年という身分差、ライン公爵令嬢という貴族令嬢と平民の少年という立場もありお互いが想いを告げる事はなかったようだ。ヴィヴィアンヌはそれに立ち入る事はなかった。
「そうね。あんたは何をするつもり?」
「一番内側の結界を俺がはる。……ヴィヴィアンヌには一番外側の結界の補強を頼む」
「わかった」
「それにあんたはルシアやロラン達のサポートもあるし自由に動ける魔法使いを作っておきたい。エドガーを縛る為にも」
「ルシアの魅了以外に物理的に縛るってことね?」
「そう」
「メルヴィンは?」
「物理的なところをまかせる。あいつ、剣術結構使うしな。聖銀の剣をテオが貸し出すってよ」
話を振られてテオは話を引き取った。
「宝物庫の奥にあるのを使えってよ、親石が。メルヴィンに北東に立たせて聖銀の剣を地面に接触させてメルヴィンの魔力を地面に広げろってさ」
「陣は?」
「描いたらエドガーが来ないからメルヴィンの力を地面に広げることで陣の代わりに出来るって事」
テオはヴィヴィアンヌの問いに答えた。
「そう……。フィールズ老の事だけど」
「うん」
エミールが先を促す。
「まず、代行の愛人、エマと代行は娼婦と客で知り合ったようで。婚約者のシルヴィと真逆の品と教養のない女だから気に入ったって事らしい。代行はシルヴィに対してコンプレックス塗れ見たいだったよ。これはモロー伯爵の印象だけどね」
ヴィヴィアンヌはモロー伯爵と接触し情報を得たようだった。物見高い伯爵には『愛人を蹴落としてなりかわろうとしている』ドゥエスタン家を狙う女として接触したのだ。
『ま、伯爵代行は自分で思ってるほど有能じゃないし、若いときから知ってるから友達として付き合ってるが、傍から見ていい男じゃないわな』
モロー伯爵はワインを流し込みながら言った。
『ま、親切心から言うがあそこの愛人の娘は……手に負えんぞ。伯爵令嬢の詐称、頭が弱い、……近いうちに孕むんじゃないかって言われてるよ。まともな男どもは近寄らない。夜会もに10になるやならずやで連れてくるようになってあっという間に中庭に行ってしまうような子だ。どうだ、ボロボロのドゥエスタンより私の愛人にならんか?いい体をしてるし楽しめるだろうからな』
ヴィヴィアンヌはにっこり笑った。
『奥様に告げ口しましょうかね。あなたに秘密裡に接触できるって事は奥様にも出来るってことですわ』
ヴィヴィアンヌの言葉にモロー伯爵は黙った。
『情報ありがとう』
ヴィヴィアンヌは店主に金を渡して、モロー伯爵の支払いを終わらせて店から出だ。
「って事だよ。代行の愛人は……多分フィールズ老の手の物だと思う。けど……、もしかしたら」
「もしかしたら?」
エミールがじっとヴィヴィアンヌを見る。
「老のところの影の落ちこぼれかもね」
2
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
セリオン共和国再興記 もしくは宇宙刑事が召喚されてしまったので・・・
今卓&
ファンタジー
地球での任務が終わった銀河連合所属の刑事二人は帰途の途中原因不明のワームホールに巻き込まれる、彼が気が付くと可住惑星上に居た。
その頃会議中の皇帝の元へ伯爵から使者が送られる、彼等は捕らえられ教会の地下へと送られた。
皇帝は日課の教会へ向かう途中でタイスと名乗る少女を”宮”へ招待するという、タイスは不安ながらも両親と周囲の反応から招待を断る事はできず”宮”へ向かう事となる。
刑事は離別したパートナーの捜索と惑星の調査の為、巡視艇から下船する事とした、そこで彼は4人の知性体を救出し獣人二人とエルフを連れてエルフの住む土地へ彼等を届ける旅にでる事となる。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる