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81. 王子達の密談
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「マリエルがそれを画策してる、と」
「そう」
クリストフの返事にジュリオもエドワードも納得した。
「で、決行日が討伐の日じゃないかって?」
そうクリストフは口に出したが、マリエルの性格をよく知ってる三人は納得していた。アルマンに対しては『そういう日だとどうしても王宮は浮足立って隙ができる』などと言ったのだろう、と。そしてアルマンがそういう日に駆け落ちをしでかした、事をすっぱ抜いてアルマンの王位継承権をはく奪したいのだろう、と。
「マリエルだもんなぁ」
「最近メルヴィンこっちに詰めっぱなしだしな」
「マリエル……親石に会わせてみたらいいかも?」
ジュリオが根本的解決を提示する。
「こういうことは親石様に訊くのが一番でしょ。……あの場でサークレットと何を作るか指示されたじゃん」
三人はジュリオの言葉に頷く。
「じゃ討伐前に宝物庫にほりこむ?」
ジュリオの言葉にクリストフは頷いた。
「魔女様と……テオ様に来てもらおう」
クリストフが言うとエドワードが待ったをかける。
「マリエル姫の性格なら『秘密裡に』『内緒で』って誘い出す。お付きはテオ様か魔女様かどちらか、というのはどうでしょう。あの方『お忍び』という言葉に弱いようですから」
エドワードは冷笑的だ。エドワードは内緒にというか黙っていたのにマリエルが自爆したのだ。
『私の部屋に内緒で来いと言ったのに言う事を聞かない』と愚痴り『メルヴィンも誘っても『恐れ多い事です』って言うし』とアルマン相手にむくれていたのだ。アルマンも頭を抱えていた。どうもマリエルは親に内緒の恋人を作りたいようだった。
『お父様が知らない恋人を作るの』
と子供の頃も言っていたがあの頃と中身は変わっていないようだった。エドワードに対しては『王女』の私が平民の恋人になってあげるから言う事をきけという態度なのだとか。
「叔父上に対する反抗の道具か、恋人は」
クリストフがふふと笑う。
「やっぱ中身ガキのままだよね」
ジュリオも少し呆れながら笑う。
「あ、王弟殿下にはメルヴィンの件も含めてお手紙を出してます」
エドワードが二人に教える。
「あはは、叔父上の事だから馬を走らせて来るだろう、手紙出したのはいつだい?」
「俺とメルヴィンを誘った事だけをお伝えしただけですから。いらっしゃるかどうかは」
ジュリオとクリストフは首を横に振った。
「領地の方は任せる人材が育ったけどマリエルの破天荒には手を焼いてるの知ってるだろう?」
エドワードは頷く。エドワードは4人の中で一番マリエルに虐められて育ってきているからだ。クリストフはテーブルの上に置かれたマーサの焼き菓子に手を伸ばす。手のひらサイズの丸い焼き菓子をクリストフはパキンと割りその欠片の一つを口に入れるとはちみつで甘くした紅茶を口にする。
「俺も食べていいの?」
ジュリオが言う。
「このテーブルの上のお菓子も軽食も食べていいってさ。従者がチェックした後だよ」
今クリストフが食べているマーサの焼き菓子は従者のレオンが作ったものだった。マーサに習って作ったのだという。カップでざっくり計った粉と牛乳とバターと卵で出来たケーキともクッキーともつかぬ菓子の重さは少年たちのおやつに丁度いいなとレオンが判断したのだ。
「レオンが作り方覚えたから王子宮でも作ってくれるってさ」
クリストフはこの素朴な菓子をかなり気に入っていた。少しこのそっけなさがレイラみたいだなと思っていた。
「そう」
クリストフの返事にジュリオもエドワードも納得した。
「で、決行日が討伐の日じゃないかって?」
そうクリストフは口に出したが、マリエルの性格をよく知ってる三人は納得していた。アルマンに対しては『そういう日だとどうしても王宮は浮足立って隙ができる』などと言ったのだろう、と。そしてアルマンがそういう日に駆け落ちをしでかした、事をすっぱ抜いてアルマンの王位継承権をはく奪したいのだろう、と。
「マリエルだもんなぁ」
「最近メルヴィンこっちに詰めっぱなしだしな」
「マリエル……親石に会わせてみたらいいかも?」
ジュリオが根本的解決を提示する。
「こういうことは親石様に訊くのが一番でしょ。……あの場でサークレットと何を作るか指示されたじゃん」
三人はジュリオの言葉に頷く。
「じゃ討伐前に宝物庫にほりこむ?」
ジュリオの言葉にクリストフは頷いた。
「魔女様と……テオ様に来てもらおう」
クリストフが言うとエドワードが待ったをかける。
「マリエル姫の性格なら『秘密裡に』『内緒で』って誘い出す。お付きはテオ様か魔女様かどちらか、というのはどうでしょう。あの方『お忍び』という言葉に弱いようですから」
エドワードは冷笑的だ。エドワードは内緒にというか黙っていたのにマリエルが自爆したのだ。
『私の部屋に内緒で来いと言ったのに言う事を聞かない』と愚痴り『メルヴィンも誘っても『恐れ多い事です』って言うし』とアルマン相手にむくれていたのだ。アルマンも頭を抱えていた。どうもマリエルは親に内緒の恋人を作りたいようだった。
『お父様が知らない恋人を作るの』
と子供の頃も言っていたがあの頃と中身は変わっていないようだった。エドワードに対しては『王女』の私が平民の恋人になってあげるから言う事をきけという態度なのだとか。
「叔父上に対する反抗の道具か、恋人は」
クリストフがふふと笑う。
「やっぱ中身ガキのままだよね」
ジュリオも少し呆れながら笑う。
「あ、王弟殿下にはメルヴィンの件も含めてお手紙を出してます」
エドワードが二人に教える。
「あはは、叔父上の事だから馬を走らせて来るだろう、手紙出したのはいつだい?」
「俺とメルヴィンを誘った事だけをお伝えしただけですから。いらっしゃるかどうかは」
ジュリオとクリストフは首を横に振った。
「領地の方は任せる人材が育ったけどマリエルの破天荒には手を焼いてるの知ってるだろう?」
エドワードは頷く。エドワードは4人の中で一番マリエルに虐められて育ってきているからだ。クリストフはテーブルの上に置かれたマーサの焼き菓子に手を伸ばす。手のひらサイズの丸い焼き菓子をクリストフはパキンと割りその欠片の一つを口に入れるとはちみつで甘くした紅茶を口にする。
「俺も食べていいの?」
ジュリオが言う。
「このテーブルの上のお菓子も軽食も食べていいってさ。従者がチェックした後だよ」
今クリストフが食べているマーサの焼き菓子は従者のレオンが作ったものだった。マーサに習って作ったのだという。カップでざっくり計った粉と牛乳とバターと卵で出来たケーキともクッキーともつかぬ菓子の重さは少年たちのおやつに丁度いいなとレオンが判断したのだ。
「レオンが作り方覚えたから王子宮でも作ってくれるってさ」
クリストフはこの素朴な菓子をかなり気に入っていた。少しこのそっけなさがレイラみたいだなと思っていた。
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