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67. 新しいクラス
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「なぁ、あんた」
レイラの前の席の少年がなれなれしくレイラの机にもたれかかる。
「ドゥエスタンって、あのドゥエスタン?」
レイラは冷たく応じる。
「あの、とはどういう意味でしょうか?」
「棒状のものならなんでも股に入れるドゥエスタンだよ」
ニキビだらけの少年がにやにやと笑う。ロランとペールが激高しそうに成ったがレイラが手で辞めるように合図する。
「私の身内にはおりませんね。どこの国の話ですか?」
「お前の母親と妹だよ」
「私の母は亡くなってますし妹はおりません」
レイラは静かに答える。
「お前の家族だろ、あの商売女ども」
複数の男子がお互いに耳打ちしている。
「ちがいます。家族ではありません。伯爵代行の家族ですが私の家族ではない、という事です」
レイラは昨年一年でこういう目に合う事に慣れてしまっていた。
「代行もドゥエスタンの一族なので彼はドゥエスタン姓ですが、愛人とその子はドゥエスタンを名乗れませんし、彼女らは代行の血縁と愛人ですがドゥエスタンを名乗る権利はありません。つまり彼女らは詐称しているという事です。理解されましたか?」
昨年一年で少し体格も成長したとはいえレイラはまだか細い子供だった。少年はそんな子供に言い負課されそうで悔しくてたまらないのだろう。いきなり握りしめた拳をレイラに振り下ろそうとしたが……。
「いてぇっ」
レイラが殴られるとぎゅっと目を瞑った少女たちがおそるそる目を開ける。そこにはメルヴィンが少年の手首を握りしめ、氷の壁や光の壁や風の壁が乱立していた。ジュリオが人波から抜けて来た。
「紳士が女性に手を上げちゃだめだ」
少年は背後から声をかけられたせいでそれがジュリオだと気が付かなかったらしい。
「売女を売女らしく扱って何が悪い。こいつみたいな女は男に」
少年は全部を口にできなかった。ロランが風魔法で少年の周りの音を遮断したのだ。
「紳士淑女が耳にすべきではない言葉をはきそうだったので」
ロランはしれっとしている。ロランにとってレイラはルシアの次に守るべき可愛い妹であった。ペールはレイラに声をかける。
「大丈夫か?」
「はい」
まだ咲き初めた花程度のつぼみだが将来大輪の花が咲くだろうと予感させる笑みで答えた。
「ドゥエスタン嬢、災難だったね」
エドワードが声をかける。
「もったいないお言葉です」
メルヴィンはレイラの前の席にいた慮外者を捕縛し教室の外に連れ出した。
「ジュリオもこのクラスでしたのね」
「げ」
そこにいたのはジュリオの従姉のマリエルであった。レイラの世代の令嬢のトップは間違いなく彼女であった。王弟の娘で王位継承権を名乗り出て、親石にすげなくふられた令嬢であった。親石のくだりはヴィヴィアンヌと陛下、教皇しか知らない話である。
ジュリオはこの少女がここにいることでメルヴィンがなせここにいるのかを理解した。
レイラの前の席の少年がなれなれしくレイラの机にもたれかかる。
「ドゥエスタンって、あのドゥエスタン?」
レイラは冷たく応じる。
「あの、とはどういう意味でしょうか?」
「棒状のものならなんでも股に入れるドゥエスタンだよ」
ニキビだらけの少年がにやにやと笑う。ロランとペールが激高しそうに成ったがレイラが手で辞めるように合図する。
「私の身内にはおりませんね。どこの国の話ですか?」
「お前の母親と妹だよ」
「私の母は亡くなってますし妹はおりません」
レイラは静かに答える。
「お前の家族だろ、あの商売女ども」
複数の男子がお互いに耳打ちしている。
「ちがいます。家族ではありません。伯爵代行の家族ですが私の家族ではない、という事です」
レイラは昨年一年でこういう目に合う事に慣れてしまっていた。
「代行もドゥエスタンの一族なので彼はドゥエスタン姓ですが、愛人とその子はドゥエスタンを名乗れませんし、彼女らは代行の血縁と愛人ですがドゥエスタンを名乗る権利はありません。つまり彼女らは詐称しているという事です。理解されましたか?」
昨年一年で少し体格も成長したとはいえレイラはまだか細い子供だった。少年はそんな子供に言い負課されそうで悔しくてたまらないのだろう。いきなり握りしめた拳をレイラに振り下ろそうとしたが……。
「いてぇっ」
レイラが殴られるとぎゅっと目を瞑った少女たちがおそるそる目を開ける。そこにはメルヴィンが少年の手首を握りしめ、氷の壁や光の壁や風の壁が乱立していた。ジュリオが人波から抜けて来た。
「紳士が女性に手を上げちゃだめだ」
少年は背後から声をかけられたせいでそれがジュリオだと気が付かなかったらしい。
「売女を売女らしく扱って何が悪い。こいつみたいな女は男に」
少年は全部を口にできなかった。ロランが風魔法で少年の周りの音を遮断したのだ。
「紳士淑女が耳にすべきではない言葉をはきそうだったので」
ロランはしれっとしている。ロランにとってレイラはルシアの次に守るべき可愛い妹であった。ペールはレイラに声をかける。
「大丈夫か?」
「はい」
まだ咲き初めた花程度のつぼみだが将来大輪の花が咲くだろうと予感させる笑みで答えた。
「ドゥエスタン嬢、災難だったね」
エドワードが声をかける。
「もったいないお言葉です」
メルヴィンはレイラの前の席にいた慮外者を捕縛し教室の外に連れ出した。
「ジュリオもこのクラスでしたのね」
「げ」
そこにいたのはジュリオの従姉のマリエルであった。レイラの世代の令嬢のトップは間違いなく彼女であった。王弟の娘で王位継承権を名乗り出て、親石にすげなくふられた令嬢であった。親石のくだりはヴィヴィアンヌと陛下、教皇しか知らない話である。
ジュリオはこの少女がここにいることでメルヴィンがなせここにいるのかを理解した。
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