聖女は断罪する

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66. 進級

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 テスト開けの休暇はドゥエスタンの森をルシアに案内出来てレイラは満足だった。殿下
やペールたちはヴィヴィアンヌのお客様だとレイラは認識していた。

 「今回は全教科満点が出た」

朝礼でアルフォンスが発言し、レイラも他の生徒と一緒にほーと感心していた。

「レイラ・ドゥエスタン」

急に指名されてレイラの声が裏返る。

「ひゃい」

クラスの中にくすくす笑いが広がる。

「前に来て」

アルフォンスの指示に従う。リチャードが出やすいように立ってレイラが動くのを待つ。机は4~5人が一度に使えるように横に長いが椅子は個々となっている。リチャードは己の椅子を机の下に入れレイラが出やすくしてくれた。
 レイラはリチャードに小さく頭を下げる。そして言われた通り前に出る。レイラはなにか叱責を喰らうのかとドキドキしてた。

「おめでとう。全教科満点で学年1位だ」

レイラはぽかーんとした顔で立っている。

「来週の学校全体の集会で表彰されるからな」



 中等部の第二学年、レイラは首位を通した。ルシアも第一学年の首位を最初の学期と最後の学期に取った。ルシアは2学期目は殆ど学校に来れなかった。体調が悪いのではなく秋の園遊会に向けてダンスの教育が始まり其方の教育に母親の熱が入って週の半分は学校に行けなかったのだ。だから最初の学期のが終わり寮から出たのだが、最終学期はもう一度寮に入った。また最終学期はルシアの二番目の兄ロランも転校という形でこちらに来たので兄が学校に慣れるまで、という名目で家から出たのだ。



 春になり、ルシアは第三学年、ロラン、レイラ、ペールは高等部第一学年となった。

「うーんと頑張ったのに」

今日はライン家の馬車で学校に向かっている。

「レイラと同じ学年になりたかったのに」

ロラン、ルシアの兄はルシアを窘める。

「もっとうー--んと頑張らないと。レイラは学年首位で入学したんだぞ」

「レイラが新入生の挨拶するの?」

ルシアがきらきらした目でレイラを見る。レイラは思いっきり首を横に振る。

「ジュリオ殿下がいらっしゃるからな。挨拶はジュリオ殿下がすることになった」

ロランは何故か得意げにルシアに話す。

「エドワード様はレイラに入学時の試験で2点まけてものすごく悔しがってた」

ロランはにやり、とレイラに笑いかけた。

「次の試験はレイラも頑張ってな」

ロランの頭をヴィヴィアンヌががしっとつかむ。

「人の事言ってないで。ロランこそ頑張りなさい。全教科とは言わないけど、領地経営、レイラにおいつきなさいよ?」

「えー」

ロランの声は抗議の声だが面白がってもいるようだった。





「新入生代表 ジュリオ・クールナン」

ジュリオがごく普通に挨拶を終わらせると、にこっと笑い最前列の女子生徒はぽっとなった。

「あのー、俺が新入生代表の挨拶したけど、今年の入学時試験の一番」

王子たちと触れあっていた少年や少女は相変わらずエドワードなんだろうと思っていた。

「レイラ・ドゥエスタン嬢だよ。二番はエドワードと同点のペール・フィールズ。皆勘違いしないでね」

といいあっけにとられる教師陣を放置ですたすたと自分の席に戻っていった。



 教室にはロランとペールがいた。

「レイラ、君は俺とペールの間に」

ジュリオとエドワードが教室に入ってきて皆がわっと寄って行った隙にロランとペールはレイラの護りを固めたのであった。
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