聖女は断罪する

あくの

文字の大きさ
上 下
53 / 138

52. クラスのメンバーとカフェテリアへ

しおりを挟む
 授業が終わってもリリスも戻ってこなかった。アルフォンスが顔を出して

「帰っていいぞ」

とだけ言ってまたいなくなった。三々五々と帰ったり、カフェテリアに向かったりする。
 カフェテリアの奥まった所に10人分の席を用意してもらう。レイラはカフェテリアは初めてだった。

 給仕が来て皆の注文を聞いてくる。レイラは悩んで、ミルクを頼む。その場にいたのは下記人員である。

ヴィクトリア・デュモン侯爵令嬢
バベット・ラクロ伯爵令嬢
クロード・デュモン伯爵令息
アリソン・マルシャン伯爵令嬢
ヨランド・ラファルグ伯爵令嬢
セシル・ラファルグ伯爵令嬢
リナ・デュモン子爵令嬢
ラウル・ナヴァール子爵令息
シャルロット・ネージュ 子爵令嬢
グザヴィエ・ムーレ男爵令息
アラン・エペー騎士爵
シュザンヌ・エスカ男爵令嬢


 デュモン家一門は同族で侯爵を筆頭にする、大きな領地をもつ一族だった。デュモン侯爵令嬢は王族とのお茶会の主要メンバーであり、ルシアとも友人と言える程度に仲がよかったが、この家の母親とルシアの母親が超絶に張り合っていてお茶会が過激になる一方であった。
 エペー騎士爵は既に騎士としての資格をもっているので本人自身の爵位である。デュモン侯爵令嬢の護衛として学籍をもっているじんぶつであった。シュザンヌは王弟家のメイドの一人だが才能を見込まれ学園に学びに来ている生徒である。父親が王弟付きの文官だそうだ。文官の給料ではマナーなど学ぶには辛いところがあるので王弟家にメイドとして勤めてマナーを学ぼうとしたが、魔法の才能を発揮したので王弟がパトロンとなってこの学校に来たという。
 シャルロッテとしてはデュモン一門の参加は意外であった。いつも一門とエペーで固まっていて他の生徒を寄せ付けないからである。
 双子のラファルグ姉妹は大きな商会の末の双子であり、急進の陞爵を繰り返した新進の剤松でもあった。レイラはざっとこういう背景を説明される。

「ちゃんと子供のお茶会に参加してたらこういう説明はもっと少なくて済んだのだわ」

シャルロットがいつもの調子で話す。デュモン一門は大人しく普通に話をしている。伯爵令嬢達は侯爵令嬢とは御茶会で一緒になるので顔見知りでもあった。

「レイラ嬢は領地でなにを?」

「森をあるいたり魔法の訓練をしたり」

下女扱いで家事もしてたけど、とレイラは心の中で付け加える。クロードが切りこんでくる。

「君は父親の伯爵代行とはうまくいってないのかい?」

「上手くいくも何も関わり合いがないんです。あちらのご家族は王都の本邸にいらっしゃることも多いので」

「……あなたはいまはどちらにお住みなの?」

ヴィクトリアが訊ねる。

「亡くなった母の個人的な持ち物だった王都の家です」

「つまり代行達とは別居なんだね」

クロードはなにか考えているようだった。



 結局、取り留めもない話をしていると、エメとリチャード、ペールがやってきた。

「昼間はすまない」

ペールが頭を下げる。

「あなたが原因ではありませんわ。……リリス嬢の処分はきまったのですか?」

 ヴィクトリアが訊ねるとペールは肩をすくめた。給仕が注文を取りに来たのでリチャードは珈琲を、エメは甘い紅茶を頼む。ペールは所要があるので顔を出したら帰る、と告げる。

「今それで喧々諤々。ものがものだから……」

 ペールはリリスが使っていた香水の事を聞いて頭を抱えていた。帰宅したら女子寮へ人をいれて物を確保しhないと、と考えていた。ヴィヴィアンヌに早急に確保しなさいと言われているし、と思い立って本当に挨拶だけで席をたった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

婚約解消されました

蕾阿(ライア)
ファンタジー
婚約破棄ものを書いてみたいという願望によって生まれました。短めです。 令嬢が王子に婚約解消されるありきたりの作品です。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

処理中です...