聖女は断罪する

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46. テオとレイラ

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 「テオ様」

「久しぶりだね」

テオが大人の顔をとりつくろってレイラと会う。レイラは森で会うときよりもふっくらしておられるな、と少し安心した。森で会うときは酷いときは幽鬼じみるまで痩せている時があるからだ。

「今日はいつもよりお元気そうですね」

「少し休んだ後だからね」

エミールの温室の私用部分での会合だった。

レイラは嬉しそうに話す。実はレイラの初恋はテオだった。ヴィヴィアンヌの親戚かと思っていたらしい。レイラがテオについて知っているのは教会関係者である事、普段は王都に住んでいるヴィヴィアンヌの親しい人、それくらいであった。

「学校はどうだ?」

白いテーブルで対峙している二人をエミールとヴィヴィアンヌは眺める事もなく眺めている感じで座ってる。

「朝からエミールもお疲れさん」

「いやぁ若者テオは元気だねぇ」

エミールは朝から自分に熱狂するテオの相手をし、昼食を一緒にし、午後の抗議の時間もテオの話を聞き、テオを落ち着かせた。論にまでなってない話もウィルに手紙で渡してあるので手紙を読むと良い事などおしえる。

『お手紙、読んでもいいんですか?』

テオの言葉にエミールは頷き、一つの指輪を与える。その指輪にはエミールの紋がエミールの魔力で刻印されている。

「それをウィルに見せれば済む」

「お借りします」

テオが恭しく指輪を掲げる。

「ああ、それは君の物だよ」

事も無げにエミールに言われテオは小躍りしかねないくらい喜んだ。




 「レイラに黙ってたことがあるんだ」

テオはレイラに申し訳なさそうに告げる。

「シルヴィが亡くなった事で……君にこれを告げるのが遅くなったけど。君は……教皇の『聖女』候補なんだ」

レイラは藪から棒のそんな言葉に驚くしかなかった。

「……なぜ、私が?」

レイラはリリスを見た時から持っていた疑問をテオに投げる。

「聖女候補って何が条件なんですか?」

「生まれた時から癒しの力が使える事」

テオの言葉でリリスが聖女候補である理由に納得をした。

「では何故私が?」

「生まれた時から二歳くらいまで君はずっと癒しの魔法を周りに振りまいていたんだ」

「それはママ……母に聞いて知ってます。お陰で皆抱きたがって。……父親以外」

レイラは母親の言葉を伝える。

「教会でそう言われて……ちょっとズルをして師匠に協力してもらって私を教会に入れなかったって」

テオはある程度は真実をシルヴィは教えてるんだな、と思った。

「俺は……そこに関わった人間で、当時はレイラの領地辺りの統括責任者だった。今は教会の中枢にいる」

この期に及んでもテオは自分が教皇だとは言わなかった。

「レイラが聖女候補である事を隠せるのは15歳のお披露目までだ。レイラが15歳に成った時に教会でお披露目がある」

レイラの顔はこわばっている。無理もないとテオは思ったが、真実を告げておくのが筋だとも思っていた。

「教会だけでなく、王室、陛下と側妃様もレイラが聖女候補なのは知ってるんだ」

レイラは、つまりは逃げられないって事だなと悟った。

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