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41. リリス、待ち構える
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校舎に入ったとたん、レイラはリリスにつかまった。
「ちょっと来なさい」
レイラはおもわずくすり、と笑った。二つ上の少女たちは色めきだった。
「ちょっと」
「なに、あの生意気な顔」
わやわやと五月蠅いな、とレイラは思った。
「どういう権限で貴方たちは私を呼びつけてますか?」
レイラは言葉は少ないが別に気が弱いわけではない。リリスはそれがわかっていない。他の女子の様に強い声を出せばどうとでもなる、そう思っていた。レイラはリリスの後ろに着いている平民女生徒とそこにちらほら混ざっている爵位を持つ女生徒をチェックする。爵位のある家の女生徒は十中八、九フィールズ老陣営なのだろうと判断した。
現在、フィールズ侯爵陣営はライン公爵家と健全なライバル関係のフィールズ侯爵陣営と後ろでなにかしら画策しているように見受けられるフィールズ老陣営がある、とセドリックからレクチャーされてレイラは学内でも黙ってチェックをし始めた。
一族内でも伯爵代行がどこまでフィールズ老に陥落されているかを調べ始めている。どうもドゥエスタンから資金を引っ張ろうとして余りに代行の権限の無さに乗じてドゥエスタンの領地をどうにかしようとしている形跡があるとか。
代行の杜撰な性格はフィールズ老も持て余している気配がある。2~3年前には切られてるか遠ざけられている節があるとセドリックは教えてくれた。
「いいから来なさいよ」
「行く理由がわかりません」
レイラが立ち去ろうとしたのでリリスがレイラをつかむとかなりつよく電撃が走った。
「いったぁ。なに持ってるのよ」
つかみかからんばかりのリリスだが先ほどの電撃が痛かったらしい。レイラはリリスの魔力の流れに接触と同時に雷属性の魔力をゆるく流しただけであった。
「あら、レイラ嬢おはようございます」
「おはようございます。ネージュ嬢」
レイラはシャルロットの名前を覚えておらずとっさに家名で返事を返した。そこにルシアが顔を出した。
「レイラ、おはよう」
「ルシア様、おはようございます」
ルシアが少し拗ねた顔をするが手早く用事を済ませる。
「レイラ、お昼は食堂の私の所にね」
「はい、判りました」
「また後でね」
「また後で」
レイラとルシアのやり取りを見て女生徒たちは驚いていた。一学年下にライン公爵令嬢が入学したとは聞いていたし、ルシアの事は子供のお茶会で見かけたりしているので殆どの少女がルシアの顔を知っていた。そしてルシアがレイラととても親し気なので不味いかもという空気が流れる。しかし決定的に空気の読めないリリスが発言した。
「貴方、ルシア嬢と親しいの?」
レイラは警戒しつつ答える。
「それなりには」
「理由は?」
レイラは周りの少女たちの耳が全部こちらに向いているなぁと思いながら本当の事を答える。
「私の魔法の師匠がライン公爵家の縁者の方なので」
「ふーん、師匠の伝手なんだ。なーんだ。そんなことなら私も副教皇様に紹介ししてもらおう」
玄関先でわらわらと集まっていると担任アルフォンスが声をかける。
「おい、もうすぐ予鈴だぞ。……あー、ネージュ嬢とリリス嬢、丁度いいから手伝ってくれ。こっちに来て。他の奴らはさっさと教室へ」
わっと少女たちはそれぞれ動き始めた。レイラはアルフォンスに頭を下げてゆっくりと教室に向かった。
「ちょっと来なさい」
レイラはおもわずくすり、と笑った。二つ上の少女たちは色めきだった。
「ちょっと」
「なに、あの生意気な顔」
わやわやと五月蠅いな、とレイラは思った。
「どういう権限で貴方たちは私を呼びつけてますか?」
レイラは言葉は少ないが別に気が弱いわけではない。リリスはそれがわかっていない。他の女子の様に強い声を出せばどうとでもなる、そう思っていた。レイラはリリスの後ろに着いている平民女生徒とそこにちらほら混ざっている爵位を持つ女生徒をチェックする。爵位のある家の女生徒は十中八、九フィールズ老陣営なのだろうと判断した。
現在、フィールズ侯爵陣営はライン公爵家と健全なライバル関係のフィールズ侯爵陣営と後ろでなにかしら画策しているように見受けられるフィールズ老陣営がある、とセドリックからレクチャーされてレイラは学内でも黙ってチェックをし始めた。
一族内でも伯爵代行がどこまでフィールズ老に陥落されているかを調べ始めている。どうもドゥエスタンから資金を引っ張ろうとして余りに代行の権限の無さに乗じてドゥエスタンの領地をどうにかしようとしている形跡があるとか。
代行の杜撰な性格はフィールズ老も持て余している気配がある。2~3年前には切られてるか遠ざけられている節があるとセドリックは教えてくれた。
「いいから来なさいよ」
「行く理由がわかりません」
レイラが立ち去ろうとしたのでリリスがレイラをつかむとかなりつよく電撃が走った。
「いったぁ。なに持ってるのよ」
つかみかからんばかりのリリスだが先ほどの電撃が痛かったらしい。レイラはリリスの魔力の流れに接触と同時に雷属性の魔力をゆるく流しただけであった。
「あら、レイラ嬢おはようございます」
「おはようございます。ネージュ嬢」
レイラはシャルロットの名前を覚えておらずとっさに家名で返事を返した。そこにルシアが顔を出した。
「レイラ、おはよう」
「ルシア様、おはようございます」
ルシアが少し拗ねた顔をするが手早く用事を済ませる。
「レイラ、お昼は食堂の私の所にね」
「はい、判りました」
「また後でね」
「また後で」
レイラとルシアのやり取りを見て女生徒たちは驚いていた。一学年下にライン公爵令嬢が入学したとは聞いていたし、ルシアの事は子供のお茶会で見かけたりしているので殆どの少女がルシアの顔を知っていた。そしてルシアがレイラととても親し気なので不味いかもという空気が流れる。しかし決定的に空気の読めないリリスが発言した。
「貴方、ルシア嬢と親しいの?」
レイラは警戒しつつ答える。
「それなりには」
「理由は?」
レイラは周りの少女たちの耳が全部こちらに向いているなぁと思いながら本当の事を答える。
「私の魔法の師匠がライン公爵家の縁者の方なので」
「ふーん、師匠の伝手なんだ。なーんだ。そんなことなら私も副教皇様に紹介ししてもらおう」
玄関先でわらわらと集まっていると担任アルフォンスが声をかける。
「おい、もうすぐ予鈴だぞ。……あー、ネージュ嬢とリリス嬢、丁度いいから手伝ってくれ。こっちに来て。他の奴らはさっさと教室へ」
わっと少女たちはそれぞれ動き始めた。レイラはアルフォンスに頭を下げてゆっくりと教室に向かった。
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