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31. 秘密の小屋
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「一つ、ちょっと気になってる事がある」
ヴィヴィアンヌは陛下に訊ねる。
「陛下は王太子妃のい部屋と正妃の部屋、陛下や王子達の部屋に仕掛けられた仕組みの事を知ってるかい?」
「仕組み?」
陛下が不思議そうな顔になった。ジルが白い目で陛下を見る。
「お前……王宮の説明の時に訊いただろうが」
ジルが素で陛下を叱る。ジルは陛下と一緒に王子教育を受けている。学友としてと王家のスペアとして。ライン公爵も受けねばならなかったが、陛下と相性が悪いので同じカリキュラムを領地や王都の自宅で受けていたのだ。
「そんなのあったっけ?」
ヴィヴィアンヌは頭を抱えた。
「それっていつくらいの事?」
「えーと、……建築学をある程度収めて建物の構造の基礎を理解した後」
ジルは暫く考えていた。
「15の時だな。……陛下が色ボケし始めてからだな」
「え?……あのころかぁ。正直アリス達の事しか感が手なかった時期だな。殆ど王子宮の自室にはいなかったよ。二人を庭の端の小屋に呼び出したりしてたな」
陛下は真面目に答えている。
「小屋は残っている?」
「わからん。東の四阿から行く王宮のはずれで。外から入ったりお忍びで遊びに行くのに便利だから専用の小屋を建てさせたんだ。丸太づくりの小さな小屋だな。そう言えば中に服とか置いてた。……壊れてなかったら今も残ってるかも、服」
ヴィヴィアンヌは何も言わずに転移し、それを追っかけてテオも転移した。
「……やっぱだめだったかな?」
「陛下……、アリス殿下の兄上とかとつるみ出した時ですね?」
「そう。2つ上のアリスの兄上、庶子らしくてアリスの家の貴族年鑑には登録されてなくてな。よく荒れてたよ。自分だって父上の子供だとか言って」
宰相の目がすっと細くなって考え込み始めた。
「これね。……上手に偽装してる」
「陛下、意外と魔術使うのうまいしな」
「才能はあるのよ、あの子。貴方達みたいに突出してるわけじゃなくて全方向で平均値越えてるのに……。専門家になれない自分を貶めて」
テオとヴィヴィアンヌは偽装され、周りに溶け込んでいる小屋にはいる。そこは陛下の魔力で満たされていて長い年月が経っているのに、自動修復や自動清掃の術式が組み込まれている。そこで二人は頭痛の種をもう一つ見つけた。陛下が置いていたお忍び用の服の陰に陛下の王太子時代の印璽と王太子が持つ指輪が隠れていたのだ。指名されてれば王位をつくまでは着けていないといけない指輪だ。それも端が少し欠けている。
「陛下め」
ヴィヴィアンヌの目が三角になっている。
「こっちは面白いもの見つけた。催淫効果のある香と香水。香水の方は魔術精製だな。普通の香水じゃない」
「はぁ……。陛下の偽装のおかげで確保できた。けど、なんなのあの子」
テオはしげしげと指輪を見ている。
「これ、いつから欠けてるのかな?」
「まずは陛下詰めないと」
「そうだね。先にそれだね」
テオは少しおかしそうに笑っている。
ヴィヴィアンヌは陛下に訊ねる。
「陛下は王太子妃のい部屋と正妃の部屋、陛下や王子達の部屋に仕掛けられた仕組みの事を知ってるかい?」
「仕組み?」
陛下が不思議そうな顔になった。ジルが白い目で陛下を見る。
「お前……王宮の説明の時に訊いただろうが」
ジルが素で陛下を叱る。ジルは陛下と一緒に王子教育を受けている。学友としてと王家のスペアとして。ライン公爵も受けねばならなかったが、陛下と相性が悪いので同じカリキュラムを領地や王都の自宅で受けていたのだ。
「そんなのあったっけ?」
ヴィヴィアンヌは頭を抱えた。
「それっていつくらいの事?」
「えーと、……建築学をある程度収めて建物の構造の基礎を理解した後」
ジルは暫く考えていた。
「15の時だな。……陛下が色ボケし始めてからだな」
「え?……あのころかぁ。正直アリス達の事しか感が手なかった時期だな。殆ど王子宮の自室にはいなかったよ。二人を庭の端の小屋に呼び出したりしてたな」
陛下は真面目に答えている。
「小屋は残っている?」
「わからん。東の四阿から行く王宮のはずれで。外から入ったりお忍びで遊びに行くのに便利だから専用の小屋を建てさせたんだ。丸太づくりの小さな小屋だな。そう言えば中に服とか置いてた。……壊れてなかったら今も残ってるかも、服」
ヴィヴィアンヌは何も言わずに転移し、それを追っかけてテオも転移した。
「……やっぱだめだったかな?」
「陛下……、アリス殿下の兄上とかとつるみ出した時ですね?」
「そう。2つ上のアリスの兄上、庶子らしくてアリスの家の貴族年鑑には登録されてなくてな。よく荒れてたよ。自分だって父上の子供だとか言って」
宰相の目がすっと細くなって考え込み始めた。
「これね。……上手に偽装してる」
「陛下、意外と魔術使うのうまいしな」
「才能はあるのよ、あの子。貴方達みたいに突出してるわけじゃなくて全方向で平均値越えてるのに……。専門家になれない自分を貶めて」
テオとヴィヴィアンヌは偽装され、周りに溶け込んでいる小屋にはいる。そこは陛下の魔力で満たされていて長い年月が経っているのに、自動修復や自動清掃の術式が組み込まれている。そこで二人は頭痛の種をもう一つ見つけた。陛下が置いていたお忍び用の服の陰に陛下の王太子時代の印璽と王太子が持つ指輪が隠れていたのだ。指名されてれば王位をつくまでは着けていないといけない指輪だ。それも端が少し欠けている。
「陛下め」
ヴィヴィアンヌの目が三角になっている。
「こっちは面白いもの見つけた。催淫効果のある香と香水。香水の方は魔術精製だな。普通の香水じゃない」
「はぁ……。陛下の偽装のおかげで確保できた。けど、なんなのあの子」
テオはしげしげと指輪を見ている。
「これ、いつから欠けてるのかな?」
「まずは陛下詰めないと」
「そうだね。先にそれだね」
テオは少しおかしそうに笑っている。
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