上 下
38 / 58

再会

しおりを挟む
 クロエはいつもより地味な格好でダニエルの横に座っている。
ダニエルはマジマジとそんな姉を見てしまっている。

「何よ?」

クロエがジロリとダニエルを見る。

「寮に入る前の姉さんみたい」

「うるさい」

クロエはダニエルの頭を軽くこづく。お付きの戦闘執事は微笑ましいと二人を見ている。

「こんにちは」

ヴィクトリアがミリエルを連れて部屋に入ってきた。

「フロア入口で男の方が捕まってましたわ。ダニエル様に用があるとか叫んでました。呼ばれたとかも」

「誰かな?誰も呼んでないからな」

「あらダニエル、素を出してるのね」

クロエが驚いている。

「ヴィクトリア嬢にはいつものあざと作戦全く通用しなかった」

ダニエルが少し不貞腐れている。クロエとヴィクトリアは目を合わせて笑っている。

「クロエ様、お久しぶりです」

クロエの相合が崩れる。

「前みたいにしましょ?学生時代みたいに」

「わかったわ、クロエ」

「うふ、トリアも元気そうで何より」

二人は本当に嬉しそうだ。ダニエルは姉のこんなに愛らしくリラックスした姿を見たことはない。クロエは決して容姿がずば抜けて良いわけではない。父と母の欠点を全部集めて、かつ、体を動かすのが苦手なのでふっくらとしているのだ。それでも市井の女性と違い王宮で磨き上げられた肌や髪で美しさは底上げされていて貴族女性として不合格ではない、というふうにダニエルは判定していた。
 が、ヴィクトリアと楽しげに話している姉は可愛らしい女性に見えるな、と驚いている。
 女同士の雑談は取り止めがないな、とダニエルは最近この店で出始めたらソーダ水を飲みながら考えていた。ら、いきなり核心だった。

「クロエは王太子妃、辞めようとおもってるの?」

「あー、トリアにはわかった?」

「宝石を集めてるって、国外逃亡でもするつもりでしょ?」

クロエが黒い顔で笑う。

「あれはね、王太子妃の費用がないからよ。国から出たのは全部正妃様に行ってるの。だから私はドレスを売ってドレスを作るしかないのよ。ま、一度着たドレスを夜会で着るわけにもいかないし丁度いいの。ドレスを石で買ってくれる業者に売ってるの。で、それをお金にしたり、ドレスと変えたり。父上も少しは助けてくれてるのだけど」

もう一つが問題であった。

「こっちを話したかったの!トリアのお兄さんにも伝えておいて欲しいのだけど、バカ太子殿下と正妃様、陛下を排除してバカ太子を王位につけるつもり見たいよ?ライザなんとかしないとあなたの家も危ない。うちは……ダニエル、任せた。その頭を使ってなんとかしてね。ま、そもそも我が家は陛下に着くだろうけども」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

どうして私にこだわるんですか!?

風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。 それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから! 婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。 え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!? おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。 ※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。

こんにちは、女嫌いの旦那様!……あれ?

夕立悠理
恋愛
リミカ・ブラウンは前世の記憶があること以外は、いたって普通の伯爵令嬢だ。そんな彼女はある日、超がつくほど女嫌いで有名なチェスター・ロペス公爵と結婚することになる。  しかし、女嫌いのはずのチェスターはリミカのことを溺愛し──!? ※小説家になろう様にも掲載しています ※主人公が肉食系かも?

公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~

薄味メロン
恋愛
 HOTランキング 1位 (2019.9.18)  お気に入り4000人突破しました。  次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。  だが、誰も知らなかった。 「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」 「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」  メアリが、追放の準備を整えていたことに。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。

当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。 しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。 最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。 それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。 婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。 だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。 これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。

若松だんご
恋愛
 「リリー。アナタ、結婚なさい」  それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。  まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。  お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。  わたしのあこがれの騎士さま。  だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!  「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」  そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。  「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」  なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。  あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!  わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

処理中です...