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裏の事情
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「北の部屋に入れておけ」
サヴェージはサラを北の棟にある座敷牢へ入れるように私兵に命ずる。
サラがいれられた北の座敷牢は意外に綺麗で本が沢山積んである。
「あは。ちょっと古いけど恋愛小説もあるじゃーん」
この座敷牢はサラの部屋よりもかなり快適であった。そう、落ち着いた色合いで柔らかい光が部屋の中にあふれている。サラの本来の部屋はピンクと白、赤にリボンやレースの模様であふれた壁紙に白の猫足の家具、寝具もそういう色合いで部屋が落ち着かないのだ。
気が付くとサラは服のまま寝ていた。夕飯が近いのだろう、お腹が減っている。
「今日はおやつもなかったし。夕飯が豪華じゃないと許さないから」
サラはそんなことを呟いていた。
サヴェージはヴィクトリアとシャル殿下の破談を計画するより少し前の事を思い出していた。第三王子に本屋の個室に呼ぶ出された時の事だ。
「お久しぶりでございます。プロスペール殿下」
「サヴェージも……元気そうではあるな?」
「お久しぶりです、バイユ公爵」
珍しい事いシャル殿下がいる。
「シャルルの事でちょっと話したいことがある」
サヴェージは家に来た時に言えばいいのに、と思いながら話を待つ。プロスペールに促されシャルルは話始めた。
「トリアとの関係を解消したいんです」
「は?」
「最後まで聞いてやってくれ」
プロスペール殿下がサヴェージにこらえるように言う。
「トリア、ヴィクトリア嬢の事は好きです。だけど……僕では彼女と釣り合わない。僕は彼女といるとコンプレックス塗れになります」
シャルル王子は自分の心情を正直に話す。自分の色々な小ささを目の当たりにして努力を息をするように楽にしてるようにヴィクトリアの事を感じてしまう、と。そ して自分と同じ努力が嫌い、なんでも出来るヴィクトリアをねたみまくっているバイユ家の養い子 のサラと一緒にいると自分の器と釣り合っているように思う、と。
「なのでサラ嬢を僕にください。……もう体の関係もあります」
ここで第三王子が嘆息する。サヴェージは溜息をつきたいのはこっちの方だ、と思った。
「ただの婚約解消だとトリアも納得しないと思うが」
サヴェージの言葉にシャルルは頷く。
「だから……サマーパーティにサラを連れていきます。暫くトリアには辛いと思うのでフォローお願いします。トリアは僕の事を友人として気に入ってはいるようですがお互い恋や愛ではないし新しい婚約者と家族がフォローすれば僕のことなんてすぐに忘れるでしょう」
シャルル殿下は淡々と告げる。自分が悪者になった方がヴィクトリアも納得するだろう、と。所詮15歳の考える事だがその分純粋で仕方がない、と思わせる言葉だった。サヴェージも『どうせ自分なんて』という気持ちは嫌というほど味わった。能力的には遜色がない二人の兄は公爵家を継ぎその補佐をする。自分も補佐を、と望まれたがそうするには自尊心がありすぎた。冒険者になってみれば自分より上はいくらでもいた。そんな中で味わった挫折感がサヴェージの棟に蘇る。娘の父親として、公爵としてありうべからず事だがサヴェージの中の少年が第六王子に呼応してしまったのだ。
第三王子は呆れ気味にいう。
「人間こういう状態になったら環境を変えるしかないし……手を出しちゃったからなぁ」
そんな時にエリスからヴィクトリアを『子爵夫人』にするのは人材的損失ではないか、と囁かれたのだ。第六王子の計画とも合致する、のでエリスの話しにのったのだ。
「サラとの相性もあるだろう……、シャルル王子が来る日を調整してヴィクトリアのお茶会の日にしてもらう。その時にサラにもてなしてもらおう」
そんな緩い計画が上手くいき、シャルルとサラは二人で内緒で会うようになった。サラは第六王子を寝取ったことで有頂天だったので気が付かなかった。第六王子はサラを一度も王宮に呼んでない事に。
そしてポールは第六王子が『サラと結婚したい』と言った事で『ヴィクトリアを嫌いな訳ではない。そして多分サラを愛してるわけでもない』と思っていた。
サヴェージはサラを北の棟にある座敷牢へ入れるように私兵に命ずる。
サラがいれられた北の座敷牢は意外に綺麗で本が沢山積んである。
「あは。ちょっと古いけど恋愛小説もあるじゃーん」
この座敷牢はサラの部屋よりもかなり快適であった。そう、落ち着いた色合いで柔らかい光が部屋の中にあふれている。サラの本来の部屋はピンクと白、赤にリボンやレースの模様であふれた壁紙に白の猫足の家具、寝具もそういう色合いで部屋が落ち着かないのだ。
気が付くとサラは服のまま寝ていた。夕飯が近いのだろう、お腹が減っている。
「今日はおやつもなかったし。夕飯が豪華じゃないと許さないから」
サラはそんなことを呟いていた。
サヴェージはヴィクトリアとシャル殿下の破談を計画するより少し前の事を思い出していた。第三王子に本屋の個室に呼ぶ出された時の事だ。
「お久しぶりでございます。プロスペール殿下」
「サヴェージも……元気そうではあるな?」
「お久しぶりです、バイユ公爵」
珍しい事いシャル殿下がいる。
「シャルルの事でちょっと話したいことがある」
サヴェージは家に来た時に言えばいいのに、と思いながら話を待つ。プロスペールに促されシャルルは話始めた。
「トリアとの関係を解消したいんです」
「は?」
「最後まで聞いてやってくれ」
プロスペール殿下がサヴェージにこらえるように言う。
「トリア、ヴィクトリア嬢の事は好きです。だけど……僕では彼女と釣り合わない。僕は彼女といるとコンプレックス塗れになります」
シャルル王子は自分の心情を正直に話す。自分の色々な小ささを目の当たりにして努力を息をするように楽にしてるようにヴィクトリアの事を感じてしまう、と。そ して自分と同じ努力が嫌い、なんでも出来るヴィクトリアをねたみまくっているバイユ家の養い子 のサラと一緒にいると自分の器と釣り合っているように思う、と。
「なのでサラ嬢を僕にください。……もう体の関係もあります」
ここで第三王子が嘆息する。サヴェージは溜息をつきたいのはこっちの方だ、と思った。
「ただの婚約解消だとトリアも納得しないと思うが」
サヴェージの言葉にシャルルは頷く。
「だから……サマーパーティにサラを連れていきます。暫くトリアには辛いと思うのでフォローお願いします。トリアは僕の事を友人として気に入ってはいるようですがお互い恋や愛ではないし新しい婚約者と家族がフォローすれば僕のことなんてすぐに忘れるでしょう」
シャルル殿下は淡々と告げる。自分が悪者になった方がヴィクトリアも納得するだろう、と。所詮15歳の考える事だがその分純粋で仕方がない、と思わせる言葉だった。サヴェージも『どうせ自分なんて』という気持ちは嫌というほど味わった。能力的には遜色がない二人の兄は公爵家を継ぎその補佐をする。自分も補佐を、と望まれたがそうするには自尊心がありすぎた。冒険者になってみれば自分より上はいくらでもいた。そんな中で味わった挫折感がサヴェージの棟に蘇る。娘の父親として、公爵としてありうべからず事だがサヴェージの中の少年が第六王子に呼応してしまったのだ。
第三王子は呆れ気味にいう。
「人間こういう状態になったら環境を変えるしかないし……手を出しちゃったからなぁ」
そんな時にエリスからヴィクトリアを『子爵夫人』にするのは人材的損失ではないか、と囁かれたのだ。第六王子の計画とも合致する、のでエリスの話しにのったのだ。
「サラとの相性もあるだろう……、シャルル王子が来る日を調整してヴィクトリアのお茶会の日にしてもらう。その時にサラにもてなしてもらおう」
そんな緩い計画が上手くいき、シャルルとサラは二人で内緒で会うようになった。サラは第六王子を寝取ったことで有頂天だったので気が付かなかった。第六王子はサラを一度も王宮に呼んでない事に。
そしてポールは第六王子が『サラと結婚したい』と言った事で『ヴィクトリアを嫌いな訳ではない。そして多分サラを愛してるわけでもない』と思っていた。
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