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姉妹の思う事 01

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side.ヴィクトリア


 エリス母さんとサラが家に来た時の事は覚えてる。彼女達が元平民である事、マナーもまだまだからゆっくり覚えてもらう事、仲良くする事、と父親に言われた。
 兄さんが私の肩を震える手で抱いていた事を覚えている。メイドたちが噂しているのを何度か聞いた。父の愛人だったのだろうと。侯爵家から嫁してきた母様とはちがってテクニックがあるんじゃないかなどと笑いながら話していた事を知っている。
 そんな噂話がやんだのは私が聞いている事にメイド長、乳母でもある、が気が付いたからだった。
 噂話しの中心だったメイドの事はよく知っていた。父親にべたべたする人で一度など書斎で己が胸に父の手を持って充てていた事があったのを見てしまったことがある。彼女からそむけた父親の顔が兄がピーマンを口にする時の顔にそっくりだと思ったのを覚えている。

「父様、サリア、遊んでるの?」

メイドは顔を赤くして逃げた。父様は怖い顔でいう。

「忘れなさい」

忘れる訳がない。ただその時は意味が分からなかった。大人は変な遊びをするなぁと思っただけだった。私は本が好きな子供で字が読めないときからお父様の執務室にある百科事典が大好きでその時も執務室に居て隅っこで百科事典の絵を見ていた。またその頃は少しずつ読める字が増えていた頃だ。

 多分、エリス母さんは愛人じゃないし、今もそういう感じではないと思う。というか……そうであってほしいと思うのは私の願望なのかな。
 とりあえず、兄さんの言う通り勉強しましょう。第六王子シャル殿下の事もサラの事も私の管轄じゃない。王宮とお父様で勝手にすればいい。そう、シャル殿下は愛妾の息子なので王子様だけど成人後は子爵位と王宮に名誉職を貰って平民生活よりは少し楽程度のお給料という名の年金をもらって暮らす、そんな生活になるってサラは知ってるのかしら。他の側妃の王子や王女だと実家とのバランスを考えてそれなりの年金とそれなりの地位が約束されてますが、私が第六王子の妃に選ばれえたのはあまりにのんびりした王子の性格を心配した正妃様がお父様に相談してたら陛下が王命だしちゃった、結果なのよね。
 シャル様個人はのんびりした人で私としても嫌いじゃなかったし……サラに盗られるとは思ってなかったわ。


side.サラ

 お姉さまから盗るのは気持ちいい。お姉さまが大事にしてるもの程気持ちいい。だから
お兄様とお父様を盗ろうと思って、ベッドに行った。お父様は

「止めなさい。そんなこと考えなくても親友の娘なんだ。大事にするから」

とこちらを見もせずに言う。けどそれからどれだけ大きな宝石を買っても毎月沢山のドレスを買っても何も言わなくなった。お姉さまが部屋替えをしたので元のお姉さまの部屋をねだってるところ、今は。白とブルーが基調のいい子ぶった部屋を沢山のリボンとピンクと赤にするの。もう決めてるんだ。家具は白と金で猫足よ。
 お兄様のベッドに潜り込んだ時は思いっきりお尻たたかれちゃった。そういうプレイが好きなの?って聞いたら汚物を見る目で見られた。

「僕にちょっかいかけても無駄だよ。ヴィクトリア以上に大事にできる子はいないし君の後始末をするのはヴィクトリアに瑕瑾を作らないためだ」

ってはっきり言われちゃってこれも失敗。


 なんでお姉さまの婚約者に眼をつけた。これは比較的簡単だった。おきれいで御清潔なお姉さまに出来ないような直截的な愛撫と私の華奢な体であっという間に私と結婚するって言い出した。初めてのふりをしたけどそれは見破られちゃった。

「初めてとかどうでもいいよ。サラが気持ちよくしてくれれば」

なんていうの。可愛い、とは思った。セックスの満足は庭番の一人のジャガーとやったらいいからいいや。ジャガーは私の初めての人で10歳になった頃から全部教えてもらった。彼におかげで私のテクニックは娼婦並みに上手なんだって。使えるところは全部使えるようにしてもらってるし、一度に3人の男の人を相手にすることもできるの。お姉さまには絶対できない事だわ。
 私の方が女としては上等だと思う。
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