9 / 10
助けてください……!
8
しおりを挟むさて、正人君からも解放されて自由になったし、家に帰ろうと思っていた。
思っていたんだ…さっきまでは
「昴さん、俺の家泊まりますよね?」
「え?」
さも当然という風に言ってくるのは何故だろうか…
「えっと、いつからそんな話に?そんな約束した覚えないけど。」
「何言ってるんですか、俺と貴方は恋人なんだから、家に泊まるくらい普通でしょ?」
「いやでも、いきなり家に行くのは、君の邪魔になるだろうし。」
「大丈夫です!ちゃんと準備はしてあるので。」
「へ?、な、なんで…」
そんなことしてるの、と言う隙もなく、俺は正人君に腕を取られてあれよあれよと正人君の家に連れてこられてしまった。
「正人君、ホントに一人暮らし?」
「?、はい、そうですよ。」
正人君の家は、一人にしてはあまりにデカかった。
(しかもすごい綺麗だな、綺麗好きなんだろうか。)
「ああ、綺麗好きって訳じゃないんですけど、別にする事もないんで綺麗なんですよ。」
「!、そ、そうなんだ…。」
びっくりした…まさか考えている事がバレているとは……
(俺って顔に出やすいのか?)
そう思って、何となく自分のほっぺを少しつねったりしてムニムニしていると、正人君が鼻を押さえて悶ていた。
押さえている指の間から赤く光る液体が……
「た、正人君!?どうしたの?大丈夫?」
どうやら鼻血が出た様だ。
「正人君、ホントは体調悪いんじゃないの?俺やっぱり帰ろうか?」
「い、いえ!大丈夫です!
鼻血はよく出るんで気にしないでください!血の気は多いんで心配ないです!」
「そ、そう?
でも、出過ぎは危ないから、ティッシュどこにあるかな?取ってくるよ。」
「すみません、丁度今切らしてて、右側の扉の先にタオルとかまとめてるんですけど、そこに新品のがあります。」
「分かった、また出ないようにしっかり押さえててね。」
「はい、ありがとうございます。」
俺は言われた通り右側の扉を開け、タオルの横にあるティッシュを取った。
「ん?」
タオルが3枚畳んで重なっており、その間から何か写真の様なものが覗いている。
「なんだろ…。」
ちょっとした好奇心だ。
ただ、この好奇心が後にとんでもない面倒を引き起こす事になる。
その写真は
「!!、これ…は……」
それは、俺の写真だった
(な、なんで…?いつ撮られた?今日か?違う、流石に撮られたら気付くし、ここには一切に事務所が映ってない
ならいつだ?)
その写真には、俺が一人で歩いてる様子が取られてる、特徴と言えば俺が欠伸をしていることぐらいだが、それ以外はこれといった特徴がない。
(そうか、ここは俺がいつも仕事をしに行くときに通る道だ。)
これを撮ったのはもちろん正人君だろう。
つまり、正人君は…
(俺の家を…知ってる?)
家だけじゃない、恐らく出勤時間も知ってるし、俺の仕事がいつあるのかも知ってるだろう…。
汗が止まらない、手が震える。
キィ
後ろの扉が開く。
「昴さん、どうしたんですか?」
「え、いや…なんでも…ない、よ…。」
「そんな訳ないでしょ?
そんなに汗流して、もしかして、写真見ちゃいました?」
「え…?」
「すみません。怖かったですよね。でも昴さんの写真はもっとありますよ?何なら見ますか?」
正人君は、先程と変わらない笑顔でそう言う。
ただ、その目が獲物を目の前にした肉食獣と同じな事を除いて。
そうにも関わらず、俺はとあることわざを思い出していた。
『好奇心は猫をも殺す』
******
こ、更新大分遅れた………
長い間待っていただきありがとうございます
(*´ω`*)
ちなみに、正人の鼻血は昴が自分のほっぺをムニムニしているのを見て可愛いと思ってたらいつの間にか出てました
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡な俺、何故かイケメンヤンキーのお気に入りです?!
彩ノ華
BL
ある事がきっかけでヤンキー(イケメン)に目をつけられた俺。
何をしても平凡な俺は、きっとパシリとして使われるのだろうと思っていたけど…!?
俺どうなっちゃうの~~ッ?!
イケメンヤンキー×平凡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる