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誰かこの状況を説明してくれ…
3 崎守 正人Side
しおりを挟む(ははっ、まずは第一関門突破だ……。)
俺、崎守 正人は誰もいなければスキップをしてしまいそうな程機嫌が良かった。
(あぁ、昴さん…予想以上にカッコよくて、綺麗で、可愛い人だったな~。)
顔は男前でカッコいいのに指先とか、小さな仕草が綺麗で、俺が押し倒した時の顔はとびっきり可愛かった!
(困り顔で、争い事にならないよう丁寧な言葉を使って……いつかタメ口で話してくれるといいなぁ……。)
さて、これからも、の意味には気付いてくれただろうか。
(きっと気付いているだろうけど。)
「よく知らない、ねぇ…。」
(本当によく知らないのは、昴さんの方なんだけどなぁ…。)
俺は、昴さんの事を結構知っていると思う。
(まぁ、昴さんは知らないだろうけど)
俺達は、実は初対面じゃない。
本当は3年前、銀座街で会っているのだ。
俺はその日の夜、友達に騙されて一人で銀座街に来ていた。
(クッソあいつら、騙しやがって、何がいい酒飲み場だよ、ただの銀座街じゃないか……。)
しかもオカマバーっぽい店たくさんあるし…
「ちょっとそこのお兄さん!、店寄ってかない?」
俺を呼びかけて来たのは、チョビチョビひげが生えている30代くらいの化粧がすごく濃い女装姿のおっさんだった。
「いや、俺はちょっと……。」
やんわりと断ろうとしたが……
「もぉ~、いいじゃない!どうせ一人なんでしょ!お兄さんすっごいイケメンだからサービスするわよ~!」
「いやホントにだいじょう…あっ!ちょっと!」
「まぁまぁとにかく入んなさいよ!」
無理矢理腕を取られ店に引きずられそうになる。
(勘弁してくれ!!)
「ちょっとお姉さん、その子離してあげて。」
後ろから俺の肩に優しく手を置いた人物
「なによ!ワタシの自由でしょ!」
「でも、彼は困ってるみたいだ、無理矢理しては彼もお姉さんも楽しくないでしょ?」
「あ、あらお姉さんだなんて!照れちゃうわ!貴方もどう?」
(貴方もって……両方引きずり込む気かよ…。)
「それは困るな、俺はこれから約束している相手がいるんだけど。」
「ちょっとぐらいなら大丈夫よ!」
さっきよりも強い力で俺達を引きずり込もうとする。
その時……
「おい、カスミ、何してんだ。」
店の奥からイカツイ見た目の男が出てきた。
「ひっ!お、大澄さん……、」
「あれ、生十、こんなとこにいたのか?」
「お?、なんだ昴か、誰が絡まれてるのかと思ったぜ」
どうやら男とは知り合いらしい。少々砕けた口調になっていた。
(それにしても距離が近い…?)
「絡まれてたのは彼。」
そう言って俺の方を指す。
「!!」
そこで初めて男の人の顔をはっきり見た。
男の人は眼鏡をかけていて整った顔立ちの男前だ。背も高く少し浅黒い肌をしている。顔には穏やかな笑みを浮かべ愛嬌がある。
「おー、大丈夫か坊主?うちの奴が失礼したな。」
「へ、あ、だ、大丈夫です!」
「そうかい、なら昴、行くぞ」
「分かったから、腰に手を回すな。」
「いいじゃねぇか、おいカスミ、後は福縞に任せてある、帰ったら話聞かせてもらうからな。」
「は…はいぃ……。」
その後、俺は家に帰ったが、あの男の人を忘れる事ができなかった。
(なんでだ、胸がざわついて止まらない。)
最早不快感に近いこれは、感じた事のない感情だった。
「……………………恋……か?」
(いやいやいやいや有り得ない!だってさっき会ったばかりだぞ!)
訳の分からない感情を紛らわすように適当にスマホを見た。
「?、これなんだ」
一つのニュースにこんなものがあった。
『あの人気声優の正体とは!?』
その内容は、声優だが顔や本名などの公開を一切行っていない人気声優の正体を推測するようなものだった。
そして、その声優の声を聞いた。
「!!、これって……。」
その人の声は、助けてくれた男の人と同じ声だった。
「あ~、余計気になる……。」
じんわりと広がっていく感情…
(認めるしかない……これは恐らく恋だ……俺って惚れやすい男だったのか?、一目惚れかぁ……。)
「……………まぁいいか、今はとにかく昴さんの事を知ろう、そして、絶対にあの人の隣に居るという特別を手に入れよう……。」
その日から俺は自分の恋の成熟のため一生懸命声優になるための努力をした。
約1年、燻り続けた感情は、爆発するかのように俺を侵食した。
(まさか、自分があんな一瞬で人を好きになるなんて思わなかった。けど、今回会った事で確信した。俺は昴さんを自分のものにしたい。身も心も全て。)
あの人には一瞬、俺には一生ってな。
「昴さん。もうすぐ貴方を俺のものにしてみせます。」
逢いに行きますから、待っててください。
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