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12話 残酷な炎ーepisode 雷鳴ー前編
しおりを挟むこれは夏の暑さが猛威をふるっていたある日の休日に起きた出来事
18:00
遊び疲れて親におんぶされながら帰る子ども
友達と別れて帰る学生たち
晩ご飯を食べに行くカップル
各々が休日を満喫したその時間帯にソレは起きた
あれ?なんかくさくね?
なんか焦げくさいなあ
道ゆく人が街の異変を感じた
あっ!あそこの家、煙が!火が出てる!!
火事だ!火事だあああ!!!
外に出ている人が多い時間ということもありすぐに消防車、救急車へ通報がいったが辺りは騒然とした
もくもくと灰色の煙が広がり燃え上がる炎
家の中に可燃物が多いせいか火の回りが早く感じる
なあ、あの家ってお前の会社の先輩がいる家じゃないか?
一人の男性が妻らしき人に呟く
えっえっ!?そんな…本当じゃない…
すぐ響先輩に連絡してみるわ!!!
どうやらこの女性の上司が火事になった家に住んでいる「響」という女性とのこと
プルルルル…
お願い…出て…
プルルルル…
全然電話が通じない…まさか…
嫌な予感がするがそうであって欲しくないという感情が優先してしまい冷静になれない女性
そうしている間にも家の周りには野次馬は増え、その中でも会社員数人がさらに近づき叫んでいる
おい、まもるの車が置いてあるぞ!!
まもる!!いるのか!!
そんな…まもる先輩!!いたら逃げてください!!!
おそらく火事になってる家の主人の名を叫ぶ二人
すかさず女性もその人たちに近づき質問をする
あの…すみません、この家の方とお知り合いですか?
ああ、私たちは彼の会社で同じチームなんだ
今日は昼から仕事だったんだが珍しく無断欠勤をしていてね、電話も通じないしいつまで経っても来ないものだから心配になって家に来てみたらこんなことになっているだなんて…
そうでしたか…私もここの奥さんと知り合いで、火事を見かけてから何度も携帯に電話をしているんですが全く通じなくて…
夫婦どちらも通じないなんて…
でも奥さんの車がないので、もしかしたらその車で出かけているだけなのかもしれないです!!
ああ、そうであってほしいね
だが一度たりとも無断欠勤をしなかったあの守くんが…変な気を起こしていなければいいんだが…
消防車はまだ来ないのかと心が張り裂けそうな気持ちになりながらも必死でそれぞれの名前を呼ぶ人たち
すると突然一階の部屋のガラスが割れて、そこから煙に隠れてはいるがゆっくりと人影が出てくるのが見えた
誰か出てきたぞ!!!あれは、、子どもか?
子どもが出てきたぞお!!!
…ッ
煙で真っ黒になった子ども
一人は男の子、そして女の子を背負っている
女の子は気を失っているようだ
豪くん!!ぴえんちゃん!!
女性はすぐに気づいて2人のもとに駆け寄る
良かった、無事で良かった!!!
危ないからここから離れましょう!!
そういって家から遠ざけようとするが動かない豪たち
ど、どうしたの!?!?
…おばちゃん、助けて…助けて…
…父さんと…母さんが…まだ…まだ…
この状況で一番聞きたくない言葉だった
勿論、兄妹自身がわかっている…だからここから動けないんだ…
まさか…考えたくはないが、これは一家心中を図ったのか…
周りがざわついている間に消防車、すぐ後に救急車が到着した
すぐに救助活動が始まり一部のみ放水が行われている
そして兄妹は念のため救急車で病院に搬送されることになったが
父さんと母さんを!!早く!早く助けて!!
両親がまだ火の中にいることで取り乱している豪
豪ちゃん、後は消防の人たちがお父さんもお母さんも助けてくれるから!!
あなたとぴえんちゃんは病院に行って、ぴえんちゃんもすぐに診てもらった方がいいわよ!
そうだ、ぴえんも煙を吸ったみたいで!!早く!!
慌ただしい中、搬送される兄妹
そして救助活動を含めた約3時間の消火活動により完全に鎮火した
しかし救助活動の中で見つかったのは、まだ高校生の兄妹には過酷すぎる現実だった
今夜のニュースです
本日8月8日、雷鳴宅にて火事が発生し家屋は全焼、焼け跡からはこの家の夫婦と見られる2人の遺体が見つかり…
…
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