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11話 紳士マンと雷鳴2
しおりを挟むうん…少し冷えるな…
外は春の訪れを感じるような穏やかさにまだ肌寒い風が吹いていた
…
雷鳴は相当なショックを受けているようだ
無理もない、最愛の妹が緊急手術をするような怪我を負い、更には半年も前からあんな傷を負い続けていたということ
そしてそれを唯一の家族である自分にも隠していたこと…いや、隠さないといけないと思わせてしまったという自負の念に
そんな雷鳴も少し風に当たって冷静になったのか、ゆっくりと重い口を開く
なあ…ありがとな、アンタが妹を病院に連れて行ったから間に合った、ありがとう…本当にありがとう
(第一印象がアレだったからという偏見を持っていたが、いざ話してみると普通に妹思いのいいお兄ちゃんなんだな…)
ああ、ひとまず助かって良かったな!!
だがあの傷は一体どこの誰が…思い当たることはないのかい?
ないな…俺が妹に対して過保護なのはチームの連中も知ってることだから、わざわざちょっかいをかけるような馬鹿げたことはしないだろうし…
それなりに大きな事件だったことでもあるのか、現在の兄妹の関係性はB地区民なら知らない人がいないレベルで知れ渡っていた
そうか…そういえば君の妹がこのコインを持っていたんだが、何かヒントになるかね?
そう言って雷鳴に星マークのコインを渡す
こ、これは…なんで妹がこのコインを持ってるんだ…!?!?
このコインはスピードスターって軍団の証だ!
しかもこの傷…年季の入り方は間違いない!!
アイツがあの場にいたんだ!!!
まさか…そうか…読めたぞ、どうしてアイツ程の人間がわざわざ俺の軍団に入ったのか…そういうことだったのか!!このクソがあ!!!
コインを見るや否や何かを悟ったように感情が爆発する雷鳴
何だ、何かヒントというか答えに辿り着いたのか!?私にも教えてくれ!!
紳士マン、妹を助けてくれたことにはとても感謝している
そしてこのコイン、コイツのおかげで犯人やその黒幕に繋がる一本の道筋ができた、偶然とはいえ重大なヒントを見つけてくれたことにも感謝している
だがここからは俺たち…いや俺の問題だ、アンタにこれ以上迷惑をかけるわけにはいかねえ…
俺は俺の決着をつけに行ってくる!!!
だからその間…代わりに妹を診てやっててくれ!!頼んだぜ!!
そう言って病院から立ち去る雷鳴
その背中に負った十字架がどれほどのものかわからないが、覚悟を感じた紳士マンはその姿が見えなくなるまで黙って見つめていた
本当は助けに行くべきだと思うが、ここは紳士的直感を信じて一歩引いておこう
さて、ぴえんちゃんの様子は…まだ意識は戻っていないか…
無理もない、あれだけ急激に色々なことが起きたのだから…今は回復を待とう
おや?お兄さんは🩺
何か妹さんのことで思い当たることがあったそうで、病院から去りましたよ!
そうか…いや、先ほど妹さんの名前を聞いてお兄さんの名前も聞いた時に何か引っ掛かることがあってね、周りに聞いてみたんだ
そしたらあの兄妹、昨年に起きた火事で生き残った二人でね…ご両親はその時に亡くしていて、可哀想だよ🩺
そうだったんですね…そんな過去が…
ズキ
「こうするしか…私は…逆らえな…」
クッ、この声…また過去の記憶か…
だ、大丈夫かね!?君!🩺
突然頭を押さえて屈んだ紳士マンの様子に心配するドクター
大丈夫です、色々起きすぎて少し立ちくらみがしただけですので…
そう言ってぴえんちゃんの眠るベッドの横の椅子に腰掛ける紳士マン
ぴえんちゃん…私はどうしたらいいのだろうか…
自分の正義に従って動いていいのか、それともお兄さんの意思を尊重して黙って行く末を見守るのか
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