交錯する群像劇

妖狐🦊🐯

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PHASE5ー欠落ー

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「あそこだけ妙に明るいですね…」


不思議に思った大河がボソって呟く


「あれはな、俺の知り合いが数年前に仲間内で建てたホテルなんだよ
金持ちの集まりがプライベートを邪魔されなくない時に使うんだがまあ大体やることは想像つくことだ
完全会員制だから部外者は入れないからな」


「監督、お詳しいんですね…」


「まあな、ホテル自体はいくつかあるんだがあのホテルにおいては俺も一枚噛んでるからな
勿論好きに出入りできるしそれぞれの専用部屋があるから俺は普段そこで寝泊まりしてるよ」


「セキュリティーが万全なら安心ですね…」


「そうだ、お前に何かあった時に中に入れるように登録だけしておくか」


「えっ!?そ、そんな悪いですよ…それに僕には稽古場裏の寮がありますし…」


「あそこはな、以前晴彦も一時期住んでいたんだが結局名前が売れるにつれて稽古場を特定してウロつく奴らが出てきてな…
それから芸能人が住んでる寮ってことが口コミで広まってファンが毎日押しかける時があったんだ

その頃には晴彦は別の所に引っ越していたからうちのスタッフしかいなかったけど、お前も同じことになる可能性は充分あるってことを忘れるな
だからその時のための避難所ってことだ」


ファンが住処を特定してウロつく行為は昔から問題視されているが中々規制することもできない
いざという時の避難所というのは必要だがそれよりも3年前のあの一件があったこともあって大河は歯切れの悪い反応しかできなかった


「わ、わかりました…ただ稽古をしたいので登録だけしてすぐに戻りますね」


「そんなに怯えるな、何度も言うが今回は俺にとっても大切な舞台だ…だから無事に千秋楽を迎えるまでは指導にだけ集中する…!そこは信じてくれ」


先ほどの熱い想いは嘘ではないと感じていた大河はその言葉を信じてホテルの入口までついて行った


「ここで掌をスキャンして、そこに目を合わせて…
よし、これで完了だ!入りたい時には同じことをやれば認証されてロックが解除されるからな
じゃあ俺はこのまま帰るから気をつけろよ、また明日」


「お、お疲れ様でした!」


1分もかからずに登録が完了してそのまま茂森が中に入っていく様子を見送った大河は稽古場へ戻った


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