交錯する群像劇

PHASE５ー欠落ー

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「気を取り直して、これから暫くはこの三人で稽古ってことで改めてよろしく」


今回の舞台の主人公は大空大河
湊翔の役はライバルポジションだ
シゲさんがメガホンを取っているのだから3年前と同じこの構図はあえての仕組んだものだろう

そして皆藤紬、彼女も絶賛事務所が売り出し中の舞台俳優で今回はライバルと共に主人公を陥れる役だ
養成所に通いながらも既に仕事をもらっているのだからそれなりの実力を買われているのだろう


「それじゃあまずは二人でのシーンをやっていこうか、一人はその演技を見て気になった点を出していこう」


こうして稽古を始める三人
今回の舞台はシゲさんにとって舞台業界に大きく切り込む公演になると関係者をはじめオーディション会場でも語っていたこともあってか、他のグループを見ると以前共演した顔ぶれがおおかた揃っていた

あれだけハードな日々を過ごしていた仲間とこうしてまた共演できることの嬉しさを感じながらも絶対に失敗できないという大きなプレッシャーが全員にのしかかっていた



…



「はあー疲れた！！」


「うん、そろそろ帰ろうか」


「本当はもう少しやりたい気持ちもあるけどな…」


「翔さん、気持ちはわかりますけど初日から飛ばしても後にたたりますよ！ペース配分ペース配分！」


「紬は単純にバテただけだろ」


「あ、バレましたか！ハハッ」


「まあまあ、初日にしては充分だと思いますよ！
もう皆帰ってますし今日はこの辺にしておきましょう」


「無理も良くないな、よし帰ろうか」


「じゃっ！お疲れ様でーす！」


その言葉を聞くやいなや紬は着替えることもなくすぐに稽古場を後にした


「早っ！！あいつ…相変わらずだな…」