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PHASE5ー欠落ー
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しおりを挟む「フンッ…それで?どこからその情報を知ったの?そもそもその情報は信用できるの?」
「勿論よ~だって私がこの目で見たのだからね~
それに見た瞬間にピンときたわよ~
何せ自分がお腹を痛めて産んだ子なのだから…いくら時間が経っても忘れるはずないじゃない」
香織は自分の娘がまだ幼い頃に離れ離れになっていた
しかし短い時間ではあるが母親だったということで時間が経っても忘れるはずはないという一種のプライドのようなものも感じる言葉だ
「まあ…アンタが直接見たなら間違いないわね
お得意の情報網にようやく引っかかったのかしら?」
「ご名答~まあ10年近くかかっちゃったけどね~
しかも接触できたのはそれとは別で本当にただの偶然」
「と、いうと?」
「息子が俳優をしてるのは知ってるわよね?
あ、あなたとの子じゃなくて夫のね」
「わかってるわよ!いちいち面倒くさいわね」
「その息子にマネージャーを付けたくて募集をかけたのよ
そうしたらたまたま応募してきた中の一人にいたってこと」
「ふーん、そんな偶然あるものなのね…それで?
どうせその娘を採用したんでしょ」
「そうね、さすがの私も思いがけない形の再会だったから正直私情で採用したわ、まあ私の娘だから問題はないと思ってるわよ」
「どうかしらね~簡単に不倫して旦那に隠れてコソコソ産んで、挙げ句の果てに相手との関係も拗れて全てを破棄した人の子供よー?ああ怖い怖い」
「目の前にいるのがその相手よ~こんな人がパパだなんて知ったら幻滅しちゃう~」
「何よ!そんな嫌味を言いにわざわざ来たっていうの?
ホント性悪女!!そうやって結局上手いこと自分のテリトリーに引き込む狡猾さがホント嫌」
豪の扱いに慣れている香織は嘲笑うかのように終始談笑している
「それが私のやり方なのよ~ねえ、来月息子の舞台があるんだけれどあなたもどう?感動の再会ができるわよ~」
「嫌よー!なんでアンタのファミリーが蔓延っている中にアタシが一人縮こまってなきゃいけないのよ」
「誰もあなたのことなんて知らないわよ~
友達でも呼んできたらいいじゃない?」
「アタシにそんな教養のある友達がいると思って?」
「なーい」
「ムキイイィ!!もう気が済んだでしょ!!
これ以上アンタと話してたら血圧が上がってしょうがないわ!!」
「はいはーい!ひと通り話したから帰りまーす!
ま、気が変わったら声かけてよね~今の連絡先これ」
机に名刺を置いて立ち上がる香織
「それと…その髭、あんま似合わないわよ~
ツルツルの時の方が好きだったなあ~」
「ったくうるさいわね!!これがアタシなの!!
もう二度と来ないでちょうだい!!」
香織が外似てるやいなやピシャリと扉を閉めて施錠する音が聞こえた
「ふふふ、あんなに嬉しそうにしちゃって…ホント素直じゃないところは相変わらずね」
豪の変わらなさを再確認できたことに安堵して眠らない街から去っていく香織
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