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PHASE5ー欠落ー
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しおりを挟む夜の街
辺りはすっかり暗くなっている時間帯
仕事終わりのサラリーマンや小綺麗な女性が行き来しては店に吸い込まれていく
そこは別名「眠らない街」
日ごろの鬱憤を晴らしに行く者
自分という武器を駆使して金を稼ぐ者
決して明かりの消えることのない街であると同時に底の見えない闇が渦巻いている街でもある
光が強くなればなるほど影もまたその存在を際立たせることができる
光と影が共存しているのがこの街だ
足元のおぼつかない様子のこの女性も内に秘める鬱憤を晴らしにきたのか、賑わいを見せるメインストリートから外れた裏路地にひっそりとある店へと入っていった
カランカラン
こじんまりとしているが小綺麗な内装の店内
しかし外ではあれだけ人がいたのに店内にはお客が一人もいない
フゥ
そのまま席に座る女性
「あら、もしかしてお客さん?悪いけど今日はお店閉めてるんだけど…」
店の奥にいたママの野太い声が女性に向けられた
「お構いなく~すぐに消えま~す」
すかさずに返事をする女性、かなり酔っているせいか呂律が若干怪しい
「はいはーい…ってゲッ‼︎その声アンタ!!」
女性の声に聞き覚えがあったのかドタバタと表に出てくるママ
「やあやあ相変わらずね~豪ちゃん、元気してた~?」
「ハァ…なんでアンタがここにいんのよ、香織」
「なに?久しぶりの再会なのに~5年ぶりよ5ねんん!」
「アタシはもう顔も見たくなかったわよ全く…それで、今更何か用?」
「ふふ、ホント相変わらずな性格ね~そんなんじゃ幸せが逃げていっちゃうわよ~」
「ご安心を、今ここでとても素敵な日々を送って幸せでしかないわよ、アンタこそ海外に飛び回りすぎてどこかに幸せを落っことしてるんじゃない?」
「ざんねーん、私は音楽で幸せをバラまいてるだけ~
そんなの通用しませーーん」
「ウッザ‼︎用がないなら帰りなさいよ、何も出ないわよ」
「いいの?そんなこと言っちゃって~せっかく娘ちゃんの居場所がわかったのに~」
!?!?
「オイアンタ!いくら酔っ払ってるからって適当なこと言ったら承知しないぞ?」
娘というワードが出た瞬間、オカマであることを忘れてしまう勢いで香織に詰め寄る豪
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