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PHASE4ー偶然と言う名の…ー
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しおりを挟む羽毛田は幼い頃からその苗字や肥満体型でいじめられていたこともあって、無意識に人一倍他人の目を気にするような生き方をしていた
そしてそんな生活をしている中で彼は高校時代、あることに気付く
普段から自分のことを虐めていた同級生の行動を見ていた時に、その同級生もまた自分より強い人間が相手で詰め寄られると反論が出来ず従っていた
パッと見は自我が強そうに見えたのは当人の振る舞い方によるもので、それで他人を下に見て虐めることで一つの安心感を得ていた
人間というものは自分よりも下がいることで自分自身を安定を保つという仕組みが備わっているようだ
DNAに刻まれた弱肉強食によるものだろう
だからイジメはなくならないし、些細なことから暴力にまで発展する争いも起き続けている
結局は人間の本能には抗えないという事実に気付いた
それから大学へ進学し卒業後はすぐに教師となり最初の数年は穏やかに何事もなく過ごしていたが、それは自分の気づきによる考え方や選球眼が本当に正しいものかどうかを見極めるための期間でもあった
思春期特有の反発、強い生徒、弱い生徒、永遠になくなることのないイジメ、不登校…
30になる頃には何百とのサンプルを目の当たりにして、やはり間違いではないということが確信した
そこから15年余り、教師という立場を利用してあの手この手で生徒をたぶらかして食い物にしていた
そして噂が大きくなり頃合いだと思ったらその噂が届かないくらい他県の学校へと転勤して繰り返している
15年の月日で時代はどんどん変わっていくが人間の根本は変わらないままであることも日々感じている羽毛田
なので今回もいつものように生徒は弱みに漬け込んで反論できないようにして、更に隠れ蓑にして裏で行動することで絶対にバレることはないと思っていた
協力を促す生徒だって勿論情報を集めて厳選をしている
中には弱みをチラつかせたところで効かない生徒やそもそも弱みなんてない生徒がザラにいるからだ
しかし結局悪行がバレて全てが明るみになってしまった
「羽毛田先生に脅されて嫌々やっているんだよね?
それに先生に連れられて無理矢理嫌なこともさせられてるって風の噂で聞いたよ!!
私、仲間がそんな目にあうのが耐えられないよ!!
自分がこうやって嫌な目にあうだけでそれがなくなるならいくらでも受けるよ!!
でも違う、みんな日に日に元気もなくなってるのがもう隠せてない!
だから…教えて!!
黒幕の羽毛田先生を引きずり出すために!!
みんなが羽毛田先生から解放されるために!!」
湊茜、まさかあれだけ嫌な目にあっているのにも関わらずそれでも黒幕が別にいることを見抜き、私が操っている生徒たちを説得しやがった…
俺の情報は兄の葵が2,3年の生徒を始め、ありとあらゆる方面からかき集めて裏取りをしていたそうだ…
妹の並大抵じゃない精神力の強さと兄の情報収集能力に完膚なきまでに負けた事実がより悔しさを倍増させた
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