交錯する群像劇

妖狐🦊🐯

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PHASE4ー偶然と言う名の…ー

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「お疲れ様、メッセージの通りこのまま家まで頼む」


「かしこまりました、おや?シャワーを浴びてさっぱりしてるということは…例の彼は順調のようですね」


「ああ、知り合った年月でいえば晶よりも長いからとても従順だよ、ただこちらのことを信用しきっているのか純粋すぎてむしろ怖いくらいだ」


「思春期のトラウマは思っている以上に後の人格形成に関わってきますからね、そこに直人様が優しく手ほどきをしたのですからそれはもう意のままというやつですよ」


「あれは側からみたらカップルの片割れが病んでいてオーバードーズしただけだと捉えられるが、深堀したら思いのほか色々な所に根が張ってあったのだから驚いたな
まさか勤め先の病院のスタッフが逮捕されるとは…」


「中々闇を感じさせる一件でしたね」


「ああ、色々な要因が偶然そこに集まったからな、アイツらの息子であること、その彼女が病を患っていたこと、更には私の勤め先の患者であったこと、そして彼女の異常行動によってそれらが一箇所に集まった」


「偶然…ですか…フフッ」


「何かおかしなことを言ったか根室?」


「いえ、ただ直人様のことですからちょっとしたキッカケでも与えて点と点が結ばれる流れでもお作りになられたのかと思いまして」


「根室」


「はい」


「伊達に長年私の秘書をやっているだけあるな」


「恐縮です」











「彼女を掌握したいのだろう?だったら一番弱っている時に寄り添って依存させたらいい」


耳元で囁かれたその言葉はまさしく悪魔の囁きだ
しかしそれは僕にとってとても魅力的な言葉で、同時にモヤモヤと霧のかかったこの道が晴れるような気分にもなった



事は数時間前



「どうしたんだい楠くん?相談なんて珍しい
最近やけに落ち着きがないように見えるのだが、何か関係でもあるのかね?」


「塩谷先輩、実は最近見るようになった患者のことがどうしても気になってしまうんです…少し時間があればすぐにその子のことを考えてしまう…」


「たまに話してくれる大学生の患者のことかね?
仕事熱心じゃあないか、無数の患者を見ている中でもその子が早く治るために常に考えているなんて」


「いや、そういう意味じゃないんです…
彼女の見た目、体型、性格、どれをとっても僕のタイプで…つまり恋をしたんです!!
来る日も来る日も彼女を想ってしまう!!
これはまさに恋の病に違いない…」


「そっちの方でしたか…楠くん患者にうつつを抜かすことは勝手だが診察を通してどんな人間かは理解しているはずだよね?
その上でその恋心が先行するのならきっと本物だよ」


「勿論です、大学生活のちょっとした綻びから精神を病み受診しにきてから半年…気づけば彼女が定期検診に来るたびに少しでも長く一緒にいるために不要な診断や検査をして時間を稼いでいる、そんな非生産なことをする理由に恋心の他に説明がつかないです!!」


「そうかそうか、なら自分の信じるまま突き進めばいい」



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