交錯する群像劇

妖狐🦊🐯

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PHASE3ー遠すぎる憧れー

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「えっ!?」


僅かに開けた隙間から中の様子を見た翔
机が椅子があるのではっきりとは見えていないが奥に人がいることはわかった
しかしそこから聞こえてくる声に思わず耳を疑う


「ごめんなさい…ごめんなさい!!」


「初日からこんな調子で最終日まで保つのか!!
初舞台だろうが何だろうが、お前は事務所代表でここにいるんだぞ!!」


「はい、すみません…本当に申し訳あり…痛ッ」


「お前の事務所の連中がどんな想いでお前をここに送り込んだと思ってるんだ!?
それだけの重荷を背負ってる自覚はあるのか!??
まさか、あんな演技なんかで今回の舞台が上手くいくなんて思ってないだろうな??」


部屋中に響き渡る怒号に翔も思わず萎縮してしまう
声の感じからして茂森監督と大河であることは間違いないだろう…しかしいくら舞台に対しての熱量があるとは言えここまで厳しいことをする人だったのかと呆気に取られている


「何だよこれ…シゲさん…だよな⁇まるで別人だ…
あんなに怒ってる姿、今まで見たこともない… 
それに…もっとおかしいことが起きてる…なんで!どうして!!」


目の前の光景に脳の理解が追いつかない翔
ただの説教話を盗み聞きしようだなんて思って及んだ行為がこんな場面に鉢合わせるきっかけになるなんて誰が想像できたのだろう

それに翔が驚いているのは監督の怒りだけではない
いやむしろ驚きと戸惑いが同時に起きていることによって、より頭の中をかき乱しているのだろう…

だが無理もない、翔が更に扉をゆっくりと開けて二人の姿をチラッと見たそこには…当たり前のように素っ裸でこのやり取りをしているという光景が広がっていたのだから…

そして監督は大河が声を発するたびに手に持っている鞭のようなもので大河の身体を叩き怒号と罵声を浴びせる

服を着ている時には気付かなかったが大河の背中や足はアザだらけだった
それも何度も繰り返しでやられたのか、跡だけではなく、場所によってはみみず腫れになってしまっている

さすがに顔に対してはその怒りがぶつけられることがなかったのか綺麗なままであるが痛みと萎縮でクシャクシャになっている

それくらい異常な光景がこの部屋で繰り広げられている


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