交錯する群像劇

妖狐🦊🐯

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PHASE3ー遠すぎる憧れー

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「ほらそこモタつきすぎだ!場面の転換はもっとスピーディに!!ここが甘いとせっかくそれまで良かった流れが全部台無しになるぞ!!」


ある日の練習風景、本番まで二週間をきって通しによる稽古の回数が増えてきたある日
個々の演技指導はビシバシ受けているが場面転換といった通し稽古ならではの項目も新たに増えた

それによって監督も演技だけでなく目に見えない流れなどより細かい部分にも神経を張り巡らせるようになり、稽古場は日に日にピリピリとした空気感が漂うようになった


「大河!翔!この次の場面はお前ら二人が対峙する大きな見せ場で周りの風景がガラッと変わるから舞台上の小道具を総入れ替え必要がある

正直ここの転換が一番ドタバタになるだろう…
小道具の回収はその場面で捌ける人間に任せてお前達はそれぞれの立ち位置の周りに置く小道具を持っていって少しでも周りの負担を減らすんだ!!」


「「はい!わかりました!!」」


小さな舞台ということもあって決して人員に余裕があるわけではない
転換専用の人員もいるが数は少ないので場面転換では出演者も協力してスムーズな流れを作るように訓練もしている

勿論大きな舞台ではそういったことは少ないだろう
しかしそこには演技をすることだけが出演者の仕事ではない、舞台とは全員が協力をして成り立つものだという根本的な部分を学んで欲しいという監督の考えもあった


「シゲさん、通し稽古が始まってからより熱が入ってる感じがするよな…時々本当におっかない顔してるからちょっと近寄り難いよ」


子役時代での監督の姿とはあまりにも違っていたことで翔はそのギャップに少しショックを受けていた
さすがに子供相手に同じ態度でいくわけにはいかなかったのだろうがやはり一度ついたイメージがすぐに変わることはないので、表には出さなかったが納得するまでに時間がかかっていた


「フフ、元々熱量のある監督ですからね、シゲさんは!」


「そうそう、独立する話をされた時もシゲさんについて行きたいって言って何人か一緒に辞めた人もいるからねー!まあ彼女も僕もその一人なんだけどね」


「なるほど…皆さんの熱量もすごいと思っていましたが、シゲさんと同じ志があるって聞いたら妙に納得しちゃいました」


「ハハッ!そう言ってくれるのは嬉しいな!!最高の褒め言葉だよ!」


作品に対する熱量があるからこそ指導にも熱が入って、いざ独立しても周りの人達がついて行きたくなるようなシゲさんはやっぱりすごい人だ!!
熱が入りすぎて怖い部分もあるけど、こうやって近しい人から色々な話を聞けるのは貴重だな…



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