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PHASE2ーひと握りの強者達ー
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「そう…ええ、順調ならその調子で引き続きお願いね」
短い報告を受けた彼女はスマホを切り人待ちをしていた
それにしてもあれだけ何人も雇ってダメだったのに急に大人しくなって…今回の家庭教師は若すぎるから心配だったのだけれど、むしろ年が近いから思春期特有の気持ちがわかるのかしら
でもこれで受験対策は問題なさそうね
いくら子供達の成績が優秀だからってそれを鵜呑みにするなんて単調なことはしないわ
慢心から生じるリスクを回避するのが親の役目…
親の言い分、子の言い分、それぞれの想いがあるが故にすれ違いが起きてしまっている
それをわかっていても自分の意志を貫こうとするその姿勢は、側から見たら自分勝手とも思えるが歩み寄ることだけが解決することとは限らないこともある
今の立場を崩さないためにも現状できる精一杯の手段で彼女は子育てを両立している
「真奈美様、ゴールドファウンドのオーナー様がみられました」
「ありがとう、ではいきましょうか」
…
直人と別れた後
「久しぶりに会えた父上…知識もさることながらとても優しくて僕に期待してくれている
やり取りはしていてもこうして直接会って言葉をかけてくれることは何倍も嬉しさが違う
それにしても…相変わらず立派で逞しかったなあ…」
一人になった後もしばらく悦に浸っていた晶
自分が目標とする人間から褒めてもらい奉仕することが今の晶にとっては唯一のご褒美であり自分の存在意義を感じる時間でもあった
「こんなことがあった日だ、たまにはあそこにも顔を出そうか…」
その後夜になるまでこもって勉強をしていた晶は、また散らかした部屋を綺麗に片付けてホテルを出る
「うう…やっぱ夜は冷えるなあ…」
秋から冬に切り替わるこの季節、昼夜での気温差があり冷たい風が吹いている
仕事帰りのサラリーマン達が駅へと足を運んでいる中、その流れを逆行してある場所へ向かう
少しして目の前に見えてきたのはネオンの光る歓楽街
仕事帰りでそのまま遊びにきた人やのんびりと飲みたい人、これから仕事といった様々な人が
入り乱れている
この地域では一番有名でもあるので自然と人が集まっておりそれなりの賑わいを見せている
メイン通りを進んで裏路地へと足を運ぶと先ほどとはまた違った雰囲気を放つ小さな通りへと辿り着く
「何ヶ月振りだろう…相変わらず一般人が寄り付きそうもない空気感…でもそのおかげでこうして堂々と足を運べるのだから一応感謝かな」
通り自体は小さいが飲食店等は同じように並んでいる
唯一違うと部分といえば…
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