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PHASE2ーひと握りの強者達ー
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しおりを挟むピンポーン
あれから数日後、また新しい家庭教師がやってきた
「初めまして、今日から家庭教師を務めさせていただく青木結衣と申します!よろしくお願いします」
シーン
周りの生徒達の呆れた視線が突き刺さる
もう何度目だろうか、いい加減放っておいてほしいと言わんばかりの強い視線だ
「あれ…⁇もしかして私、お呼びじゃない?」
「あれ、察しがいいんですね先生!
そうです、あなたは僕の母が勝手に雇ってうちに送り込んだだけで僕らは非常に迷惑しているんです」
「ほら、また葵の口説きが始まったぞ」
「今回は初対面でいきなり容赦ないーー!!
これ下手したら最短記録でるんじゃない⁇」
いつものように生徒達がヤジをとばしてからかっている中、結衣は何とも思わずに葵と会話を続ける
「あなたが葵くんですね、お母さんからお話は聞いています
えっと、お母さんからは家庭教師が来ることは聞いていなかったかな?」
「さっきの言葉の通りですよ、うちの母は良かれと思って僕らに相談もせずに勝手なことをするので…」
「そうですか…中々複雑なんですね…」
事前に…というか面接時にお母様が懸念していたことはひと通り聞いていたけど、間違いなくお互いのコミュニケーション不足が原因ね…
どれだけ新たに雇ってもすぐに辞めてしまうということは、今までの人はお母様の言葉だけを鵜呑みにしてるのかしら…同じような話を交えながら彼の言い分を聞いてみるのが得策ね
「ですがあなた達の将来のために勉強を…」
「だから…既に成績もテスト模試にも問題がない人に、いきなり初めましての人が勉強って一体何を教えるんですか⁇
毎回毎回、チュートリアルじゃないんだよ!!
本当に無駄無駄無駄!!!」
「お母さんからはあなた達の成績は聞いています
それから何度もこうして家庭教師を辞めさせているということも含めてね
今葵くんが怒っているのは、また今までと同じパターンで来られているということですよね」
「そうですよ!母は僕らのことを信用していないからこうやって毎回毎回同じことの繰り返し!
当然本人はこの場にいないから家庭教師からしか結果を聞いていないし、僕らの話も聞いてくれない、これじゃいつまで経っても平行線だとは思いませんか⁇」
「うんうん、確かに平行線を辿っているのはお互いのコミュニケーション不足であると思う
君と妹さんの成績は紛れもないものでテスト模試もA判定で素晴らしいものではあるが、第三者の意見としてはその成績故の慢心ではないのかと思うんだけどそれはどうなのかな?」
「慢心?ハハハッ、そっかそっか!
周りからは天狗になってるんじゃないかって思われているってことですね!なるほどそうとも捉えられるのか…
先生、僕からしたら天狗だろうが慢心と思われようがどうでもいいんですよ
所詮他人の考えることですからそうやって嫉妬して色眼鏡でしか物事を見られないだけ…
少なくとも僕と妹は結果で黙らせるだけです」
「なるほど…それがあなたの考えならわかりました、それでは私が来ているこの時間は来る前と変わらずに好きに過ごしてもらって結構です」
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