交錯する群像劇

妖狐🦊🐯

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PHASE2ーひと握りの強者達ー

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「もしもし葵、また新しい家庭教師に何か言ったわね?
ダメじゃない…今の時期が一番大切なのに」

「変なことは言っていないよ、それに僕らの成績は知っているだろ?
下手に他所から教育しようとして、かえってモチベーションが下がる方が良くないと思うんだよね
母さんも、僕らがグレて道を外すのは嫌じゃないの⁇」

「それはそうだけど…何もしないと周りの親御さんの目もあるから、とにかく新しい家庭教師をまた雇うから受験までは大人しくしてね!!」

「…無駄だと思うけどね、それじゃ」


またいつものことかと呆れながら電話をきる葵
その様子を見て不安そうな表情をする茜


「また…お母さんから?」

「ああ、いつものことだよもう…こっちは成績で安心させているのにこれだよ
どうせほとんど家にいないのにほっといてほしいよなー」

「お母さん私達のこと嫌いなのかな…」

「さあな、母さんは知らないけど毎日ちゃんと帰ってくる父さんの方が俺達のこと考えてるだろうな、変に干渉しすぎることもないし」

「お父さんはあまり好きじゃない…何か冷たいし怖い」


直人に対する葵と茜の意見が食い違うのは、それぞれへの期待によるものだろう
葵には男ということもあり自分と同じ医者になってほしいという直人の願望がある

実際中学生ながらに医療に関する勉強も熱心で学校の成績も有無を言わせない結果を残している
つまり父の直人からしたらこのまま突き進んで自分の背中を追ってくれるだろうという期待がこもっているので当然可愛がる

対して茜には同じく成績は葵に次ぐものの、普段の生活や過ごしている中で思春期ということもあり段々随所に女性らしさを感じたり背伸びしようとしている姿に無関心なため、葵のように特別可愛いがることもなく普通な親子という態度だ

特に嫌味を言われていることがあるわけでもないのでマイナスイメージを持つこともないと思われるが、兄が優遇されているその光景に嫉妬と劣等感を持ってしまっている
それが無意識のうちに気持ちが父から距離を感じている要因だろう


「茜が思ってるより全然怖い部分はないんだけどな」

「…お兄ちゃんにはわかんないよ」



ガチャ



「ただいま」

「父さんおかえりなさい、今日は少し遅かったね」

「病院は昼前に終わったんだけどな、昼から別の仕事があって少し長引いた」

「母さんの仕事の一部だよね?二足のわらじでいつも大変だね、お疲れ様」

「まあこの仕事は医者をやってるから続けられることでもあるからな、難しい話は葵がもう少し大人になったら教えてあげよう」

「やった!父さんは色んな方面の知識があるから話を聞いているだけでも勉強になるよ」

「ハハッ嬉しいこと言うじゃないか、期待してるぞ」


「…おかえりなさい」

「茜か、ただいま
前に言ってた進路は葵と同じだったな、葵と比べられてるかもしれないけどあんまり気にするな
父さんは茜が頑張ってるのも知ってるからな」

「…えっ、あ、ありがとう…」

「ハハッ、そんなに恥ずかしがるな」


少し上機嫌な直人はそのまま風呂に入りに向かう


「なっ、全然怖くないだろ⁇」

「何か今日のお父さん…いつもより優しかった、すごく機嫌良さそう」

「仕事でいいことでもあったんじゃないか
細かいことは気にしない方がいいぞ!」

「うん…」


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