交錯する群像劇

妖狐🦊🐯

文字の大きさ
上 下
19 / 175
PHASE2ーひと握りの強者達ー

16

しおりを挟む



塩谷は病院の外に出ると横付けされた高級車に乗り込む


「直人様、本日もお勤めご苦労様でした」

「根室、例の物件の打ち合わせまでどれくらいだ?」

「はい、2時間ほどございます」


「根室 俊彦(55)」塩谷がアメリカへ行く頃から共にしていた秘書、日本に戻ってからは仕事以外に家族のことも任せている部分がある


「2時間か…あそこから一番近いところだと…
根室、デヴォラーホテルまで向かってくれ
仕事終わりだから一旦リフレッシュしたい」

「かしこまりました、では出発いたします」


こうして打ち合わせ会場近くにあるホテルへ向かう
いくら簡易といえど午前中にオペを3件もこなしたのだから相当なプレッシャーがかかっていたのだろう
この後に控える別の大きな打ち合わせに備えて気持ちをリセットして冷静になるのは得策だ

十数分程でデヴォラーホテルへ到着する
まるで教会をモチーフにしたようなその外観は元々塩谷の妻が気に入って買収したこともあって、自由に使用できる専用部屋がいくつか存在する


「直人様、ご到着しました」

「ありがとう、1時間は滞在できるか?」

「左様でございます、それでは60分後にお迎えにあがります」

「いや、根室には次の打ち合わせ用に追加の資料を作成してもらいたい
何せ最新情報を得たからな、それを数ページ追加するだけだから30分もあれば可能だろ」


根室に部屋のキーを渡した塩谷は先にホテルへ入って行く
入口にはケルベロスの彫像が待ち構えていてホテルの割には少し物々しさを感じる
白を基調とした内装にステンドグラスからやわらかな光が差し込んでいることもあって、全体的に明るい印象を受ける

塩谷は正面に進み突き当たりに飾られているベルゼブブの絵画の前に立つ
周りに人がいないことを確認してその絵画に触れると「カチッ」と音がして隙間が現れた
この絵画自体が扉になっており塩谷夫妻の指紋認証でしか入ることができない専用部屋への入口だった

中に入り通路を歩いた先にはもう一つの指紋認証のパネルがあり認証して部屋に入ると広々とした部屋が姿を見せた

5人家族で過ごしたとしても充分に広さを感じることのできるスペース
ジャグジー付きのお風呂にサウナ、複数人が一斉に入ることができる広さで何もかもが広い
おそらく家族で過ごすために作られた部屋なのだろう

キングサイズのベッドを2つ連結したくらいのベッドに敷かれたワインレッドの布団がゴージャスさを際立たせる


「さて、時間も限られていることだし…」



そういって、とある部屋を開ける


「やあ、お待たせ」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

処理中です...