交錯する群像劇

妖狐🦊🐯

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PHASE2ーひと握りの強者達ー

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塩谷は病院の外に出ると横付けされた高級車に乗り込む


「直人様、本日もお勤めご苦労様でした」

「根室、例の物件の打ち合わせまでどれくらいだ?」

「はい、2時間ほどございます」


「根室 俊彦(55)」塩谷がアメリカへ行く頃から共にしていた秘書、日本に戻ってからは仕事以外に家族のことも任せている部分がある


「2時間か…あそこから一番近いところだと…
根室、デヴォラーホテルまで向かってくれ
仕事終わりだから一旦リフレッシュしたい」

「かしこまりました、では出発いたします」


こうして打ち合わせ会場近くにあるホテルへ向かう
いくら簡易といえど午前中にオペを3件もこなしたのだから相当なプレッシャーがかかっていたのだろう
この後に控える別の大きな打ち合わせに備えて気持ちをリセットして冷静になるのは得策だ

十数分程でデヴォラーホテルへ到着する
まるで教会をモチーフにしたようなその外観は元々塩谷の妻が気に入って買収したこともあって、自由に使用できる専用部屋がいくつか存在する


「直人様、ご到着しました」

「ありがとう、1時間は滞在できるか?」

「左様でございます、それでは60分後にお迎えにあがります」

「いや、根室には次の打ち合わせ用に追加の資料を作成してもらいたい
何せ最新情報を得たからな、それを数ページ追加するだけだから30分もあれば可能だろ」


根室に部屋のキーを渡した塩谷は先にホテルへ入って行く
入口にはケルベロスの彫像が待ち構えていてホテルの割には少し物々しさを感じる
白を基調とした内装にステンドグラスからやわらかな光が差し込んでいることもあって、全体的に明るい印象を受ける

塩谷は正面に進み突き当たりに飾られているベルゼブブの絵画の前に立つ
周りに人がいないことを確認してその絵画に触れると「カチッ」と音がして隙間が現れた
この絵画自体が扉になっており塩谷夫妻の指紋認証でしか入ることができない専用部屋への入口だった

中に入り通路を歩いた先にはもう一つの指紋認証のパネルがあり認証して部屋に入ると広々とした部屋が姿を見せた

5人家族で過ごしたとしても充分に広さを感じることのできるスペース
ジャグジー付きのお風呂にサウナ、複数人が一斉に入ることができる広さで何もかもが広い
おそらく家族で過ごすために作られた部屋なのだろう

キングサイズのベッドを2つ連結したくらいのベッドに敷かれたワインレッドの布団がゴージャスさを際立たせる


「さて、時間も限られていることだし…」



そういって、とある部屋を開ける


「やあ、お待たせ」


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