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PHASE1ーそれぞれの日々ー
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しおりを挟む数日前の夜…
「あーあ、最近センコーが進路がどうとかウゼーよな」
「それなー、まだ中学生だぜ?進路とか将来のことなんてわかんねえよ」
「てか自分の親とか見てると大人になりたくないわあ…だって仕事ばっかり優先してて私のことなんて全然無関心…」
補導されてもおかしくないこんな時間に複数の中学生がウロついては愚痴をこぼしている
「リナの親は金持ちだからなー!子供に無関心なくらい仕事大好きだからなんだろうけど」
「…はぁ?ウザいんだけど」
「んだよ、本当のことだろ!」
「リナもヤマトも喧嘩すんなって…なあ慶太も何とか言ってやれよ」
「有り得ねえよ…子供が深夜まで外にいるのに何とも思わねえのかよ…てか親がクソだから俺達がこうやって不満だらけになってグレるんだよ!!」
積もりに積もっている怒りを吐き出しながら近くにあったゴミ袋を蹴飛ばす慶太
「お、落ち着けって!でも確かにな…外面は良い顔してるくせに、家に戻ったらああだのこうだの言ってきて決めセリフはあなたのタメなんだから…ってふざけてるよな」
「勇二の親ってアメリカの大学を卒業してあの宇宙事業の会社に勤めてるんでしょー?学歴重視って感じで肩身狭そう」
「ホントな…子供は親の操り人形じゃないっつーの!」
暗闇に愚痴を吐き捨てるように日々のうっぷんを口にしながら歩く学生達
「こんなむしゃくしゃする時には…アレしかないな」
「ほらっ!アレとかいいんじゃね?」
「リーマンだけど金持ってそうだよな!」
そういってヤマトと勇二は少し遠くにいるサラリーマンに目をつける
暗闇で顔は見えないが僅かな街灯の明かりからして小綺麗な身なりをしていたので標的となったようだ
「よし、いつもの作戦で行くぞ…まずはリナが声かけてリーマンが油断したところを俺達が駆けつけていちゃもんつけて巻き上げる!」
「いつも私ばかり…顔見えないから意外と怖いんだからね!」
「大丈夫大丈夫!ずっと見てるからヤバそうならすぐに駆けつけるし、ほら急げって」
こうしてサラリーマンの方へ向かうリナ
…
「あの…すみません…」
「ん?どうしたのかい」
「実は…親と喧嘩してしまって家を飛び出したんですが…財布も何もないまま出ちゃって…もし良かったら一晩泊めてもらえませんか?」
「いやいや、君学生でしょ?そんなことしたらこっちがお巡りさんに捕まるから」
「でも本当に泊まるところもなくて、困っているんです…お兄さん優しそうだし…お礼もちゃんとするから、ね?」
最初は警戒してる男でも何だかんだ言って最後は理性に勝てるかどうか、理性の弱い男はこれで大体落ちるというヤマトが考えたこの作戦は単純に見えるが意外と成功率は高い
「いやそれって…ダメダメ、てか何度も言うけど君を家に泊めたら犯罪だから!君の親の同意があれば大丈夫だけど、そうじゃなかったら誘拐になるから!
本当に困ってるなら親御さんに連絡しなよ」
「うっ…喧嘩してるし…それは出来ない…」
「それじゃダメだね、諦めた方がいいよ」
「お願いします!ホントのホントに困ってるんです!」
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