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PHASE1ーそれぞれの日々ー
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しおりを挟む「林、戻ったか…息子さんは大丈夫だったのか?」
「あ、はい!進路相談の四者面談でしたよ!
慶太のやつ黙ってたみたいで!心配おかけしました!」
「そうか…林、この後風雲商事へこの前の書類の回収に行くだろう?俺も同行するから今から行くぞ!」
「えっ!?今から向かっても30分近く時間がありますよ…それに書類の回収だけなので一人で…」
「いいから、な?」
「は、はい…」
信也は…部長は何を考えているのか
雑務は後回しにして駐車場へ向かい社用車に乗る
「すんません、ハンドル握らせて…」
「いいんだ、俺から同行するって言ったんだしな
時間があるからドライブしながら向かうぞ」
何か話したげな様子の信也はわざと遠回りをして取引先に向かう
「それより林、慶太くんのことだけど実際どうなんだ?
お前は顔に出やすいことくらいわかってるんだぞ?」
取り繕っていたのがバレバレだった
やはりこの人には誤魔化しは効かないと観念した雄大はバツが悪そうな顔をしながら話し始める
「実は…この一年近くほとんど話をしていなくて平日はほぼ夜中の帰宅だから慶太も寝ているし、休日はその反動で寝てしまってる時が多くて…特にここ数ヶ月は酷いっすね…」
「だから今回の進路相談も把握できていなかったと…なあ林、これはあくまで俺視点での意見なんだが、お前また悪い癖が出てるんじゃないか?
仕事を頑張るのは大切な事だ、特にうちの場合は頑張った分だけ昇進も早くて給料も周りに比べて高水準でやり甲斐は充分にある
お前の性格に対しては天職かもしれない
だけど仕事が全てじゃない…特に俺たちのように独り身じゃない人間はそこに時間も注がないといけないんだ
林は俺よりも複雑な経験しているから重々承知だと思うが、それだけの覚悟が必要だということだ」
雄大が独身から結婚、今に至るまでを友人として見てきた信也も本当はわかっている
彼のその性格がどれだけ彼自身を苦しめているのかを
だからこそ外部からのそれも彼にとって最も心が揺らぐであろう自分が声をかけないわけにはいかないと思ったのだ
わかってる、信也さんのいうことが正論なことも自分自身が間違っていて…だから今、男手一つであることも…
俺は自分の性格上、仕事もプライベートも一度スイッチが入ってしまったら全力を注いでしまう
学生時代ではその性格も相まってか、サッカー部の強豪校に入学してレギュラー争いを勝ち取り全国制覇もしている
社会人になってもそれは通用すると思っていた…が現実は違った
当時は今とは違う仕事で勤務時間もほとんど定時帰りだったのでその足で社会人のフットサルコミュニティに参加していたのだが、結婚や子供が生まれたことを機に自分以外に時間を割く必要が出たのだ
しかしすぐに順応できることもなくこれまでのように過ごしているので、妻からは度々小言で突かれて時に言い争いになる日々…
だがその日は突然やってきた
慶太が小学校に上がった直後、妻は突然家を飛び出しそれ以降姿を見る事がなくなった
今思えば何故すぐに探さなかったのかと、ふと思い出すと意地になっていた当時の自分に腹が立つ
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