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一人と一匹暮らし
第十話 人と猫の距離感
しおりを挟む時刻は22:00
普段ならで会社で一人デスクで雑務をしている時間だが、今日に限っては既に帰宅しており夕食も入浴も終えいつでも寝られる体制だ
猫のことを考えボーッとしていただけだが、結果的にノルという猫を飼いまだ一日しか経っていないのに既に普段と違う一日を過ごしている、これは大きな変化だ
「とはいえ毎日定時で帰るわけにもいかないからな...数日後には長期連休にも入るからその時に今後のことは考えるか」
晩酌の酒とビーフジャーキーをつまみにのんびり過ごしている條
そこに夕食後から一切姿を見せなかったノルが徐々に近づきこちらをじーっと見つめている
「ああ...可愛いなあ、そんな目で見つめられるとこっちも永遠に見ていられる...」
すっかりノルの虜になった條
すると今度は足元まで寄ってきて身体をピタッとくっつけて座るノル
「えっ近い!さっきはエサの催促で近づいてきただけだと思ったけど今はもっと近い、てかノル...温かいなああ」
警戒心の強い猫がこの一日でここまで距離を縮めてくるなんて、もしかしてなつきやすい子なのかと思いつつその温もりに癒された條は気づけば寝落ちしていた
しかし條が次に目覚めた時には、まだまだペットを買うにはツメが甘すぎていたことに気づかされる
ガサガサ...
ガタンガタン
「・・・ニャ」
物音に気づいた條は微睡む意識の中、重たい瞼を少しずつ開けて周りを見る
「...んん?あれ、俺寝てたのか...?」
ソファーで寝落ちしていたことに気づき重たい動きで身体を伸ばす
その時、足を伸ばした先に何か冷たいものを感じた
「冷た、ってうわ...こぼしてるな...俺そんなに酔ってたのかなあ」
酔ったまま寝落ちしていたこともあり記憶が曖昧な中、床にこぼれた缶チューハイを拭こうとした時机の上に何かいることに気づく
ガサガサ
「ん?」
ガサガサ...ガタン
「うわっ!なんだなんだ!?」
机の上で何かが動いてるのは間違いない
暗闇の中どうにか目を細めてみるとそこにはビーフジャーキーをくわえたノルの姿が
「ノ、ノルかあ...ああビックリした...ってノルウゥ!?何してるんだ!!てか俺のビーフジャーキー!!そんなの食べたら塩分とりすぎて身体に悪いぞ!!」
一瞬にして酔いから覚めた條は口にくわえているビーフジャーキーを取り上げようとするが
「ンニャ、」
パシパシパシン
ササッ
「痛あぁぁーー!!!何て鋭いネコパンチなんだ...しかもあの早さで3連発って...ボクサーかよ、この...待てええー!!」
ノルが逃げた方向めがけて追いかける
しかし暗闇に溶けこんだノルを見つけることは容易ではなく、再び鬼ごっこが始まるのであった…
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