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プロローグ

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~♪


《17:00になりました 本日の業務お疲れ様でした》

定刻とともに流れたアナウンスを皮切りに次々とパソコンの画面を閉じ帰宅の準備をする社員達

「先輩!この後一杯どうです?」

「さあ、パチンコでも行くか!」

「これから合コン…今日こそはいい男を!!」

各々アフターファイブを楽しみにウキウキしながら身支度をしている

そんな中、仕事を終えることもなく黙々とパソコンに向き合う社員が一人


「吉田社長お疲れ様です!例の書類作成したのでチェックお願いします!!」

「ああ、清須さんありがとう。今日中に目を通しておくから、何かあれば明日手直しお願いするよ」

パソコンから目を離し部下と話す社長が主人公の吉田條(よしだじょう)

そういって部下を帰宅させ誰もいない社内で一人仕事をし続けてる

25で脱サラをして起業、周りの反感もあったがプライベートを全て捧げた3年の月日が実を結び、10名ほどの小さな会社だがようやく仕事も軌道にのり安定感が出てきた

残業は極力させないのが我が社のモットー、血のにじむあの日々に比べたら一人オフィスで片付ける仕事なんて全然軽いものだ

そう呟きながら雑務を片付けているうちに時計は天井、つまりは24時を差していた


~♪

ほたーるのひーかーりー


「さて、閉店時間だ…帰るか」

部下の書類チェックも終わりひと段落ついたところで、社内の戸締りを確認し会社を後にする條

帰路に向かう途中、アフターファイブが楽しみな社員達の声を思い出し、その途端に起業してからの地獄のような日々を思い出す

突然の脱サラと起業に両親は猛反発
当時付き合っていた彼女にも反発とケンカの末に別れ…
起業をしたのはいいがサラリーマン時代の人脈から見放された日々…
ゼロから開拓をしてどうにか請け負った仕事も、足元を見られ雀の涙のような契約金…


「思い出したくもない日々だ、せめてこの殺伐とした過去を忘れられるような癒しがほしいな…」

心の中で寂しさをぼやいてると明かりのついている一軒のペットショップを見つける
昔からあるような古風な外観でペットショップらしさはあまり感じない


「ここって何故か深夜営業なんだよな…そんなに人もいなそうだしちょっと見てみるか」
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