上 下
11 / 33
前魔王城 〜リンの部屋

1

しおりを挟む

 目が覚めると自分の部屋のベッドで寝ていた。

えーっと・・・昨日、コウとの最終戦で負けてしまって、その後お疲れ様パーティーを前魔王様城でしていたよな。前魔王様から受け取ったビールを飲み干した所までは完全に記憶がある。その後・・・

・・・ちょっと待って??!何かおぼろげに記憶があるんだけど・・えっ?えっ?!僕とんでもない事やらかしてない???コウにおもいっきり絡んだよね?で、連れて帰ってもらって・・・うわぁ?うわぁ?!風呂場で何した??!はっきりとは覚えてないけど・・・

・・僕からだよね??勝負の後に勃っちゃう時があるから・・それをコウに見られて・・うわぁ??何してるの僕っ?!

けど、最後まではしてない。うん、これは確か。コウは我慢してくれたのかな?ていうか拒否してたよね?引かれた・・・?僕の事嫌になったのかな・・・?それならそれでいいじゃん。迷惑だったんだし。なのに何この気持ち??コウに嫌われるのは何かヤダ。

もうわけ分かんない。

あっ、そうだネルは?

「ネル?」

「にゃに・・?」

「えっ?どうしたの??ふにゃふにゃで、舌まわってないよ??!」

「らって・・ジンと繋がってるからぁ・・・あいつずっと精神的に愛撫してくるし・・・」

何それっ??何でそんな事になってるの??!


 頭の中がグルグルのまま、ふにゃふにゃのネルを連れて、建築学の授業の為に前魔王様城へとワープした。ワープポイントの前にユイくんが居る。何か疲れてない?

「ユイくん、昨日はありがとう。」

「あっ、リンくん。今日は授業お休みだって。何かロム先生が潰れてちゃってるみたいだよ。けどレンさんが『お茶しない?』って言ってるから行こう?」

「えっ?ロム先生飲み過ぎ?とりあえずレンさんのところへ行こうか。」

ユイくんと二人でレンさんが待つ部屋に行く。

「レンさん、昨日はありがとう。」

「リン、姉さんがロム先生を潰して自分も寝てる。」

「はぁっ?!母さん何やってんの??」

「あれからずっと飲んでて、俺とアキさんは夜には抜けたけど、ジュンさんとカグヤちゃん、カイさんも夜中まで付き合ってたみたい。で、ロム先生と姉さんは朝方まで飲んでたっぽいよ?」

僕とコウが勝負しただけで何でそんな事になるのっ??!

「まぁ、姉さんは放っておいてもいいよ。それよりリン、昨日は大丈夫だったの?ネルを見てると大丈夫な気はしないんだけど・・・」

ぐっ!どうしよう・・僕から色々絡んだとか言えないし・・・

「リンはねぇ、酔っ払ってコウに一緒に風呂に入ろうって迫って、コウを困らせてたんだよ~」

「ネルっ!!やめてお願い!!!」

「・・で、どこまでヤッたの?」

レンさんの目が怖い。言わなきゃ許してくれないなこれ・・

「・・・はっきりとは覚えてないんだけど最後までは絶対にしてない。どっちかって言うとコウが嫌がってた・・と思う。」

何か言葉にすると泣けて来た。実際に涙が溢れる。

「僕、コウに引かれて嫌われたかも・・」

「「それはない!!」」

レンさんとユイくんの声が被る。

「それはきっとコウくんがめちゃくちゃ我慢したんだよ。」

「うん、姉さんにも釘を刺されてたからね。『最初はお互いの意識がはっきりしてる時に合意でね?』って。」

「そうなの?ドン引きされて嫌われてない??」

「「だから大丈夫だって!!」」

「て言うかさ、リンくんはちゃんとコウくんが好きだったんだね。」

「へっ?ユイくん何言ってんの?僕別にコウの事なんか好きなんかじゃないし。」

「でも嫌われたって思ったら悲しくて涙が出ちゃうんでしょ?どうでもいい魔族にならそんな気持ちにならないと思うよ?」

「うん、ユイくんの言う通りだよ。リンはコウくんが自分を好きじゃないと嫌なんでしょ?それが答えだと思うけどね?」

「そ、そうなのかな??そう言えば僕、好きな相手としか絶対にキスとかしないって思ってたのに、昨日自分からしちゃったかも・・しかも風呂に入ろうとしてたから、は、裸で・・・」

「・・コウくんよく最後までしなかったね。」

「うん。本当にリンの事が好きじゃなきゃ我慢出来ないよね。まぁ、ただのヘタレかもしれないけど。」

「両方なのかな?あの可愛すぎる状態のリンくん相手によく耐えたなって思うけど。」

「僕どんな事になっちゃってたのっ??」

「んー、何か小動物系?いつもはクールなのに甘えたになるし。アスラくんが思わず『なでなでしてやりたい』って言っちゃうくらい。多分それでアスラくん、昨日魔王様にお仕置きされてるんじゃないかなぁ?朝起きて来なかったし。」

「はっ?それだけで??」

「充分な理由だよ。俺もカイさんにちょっかい出されただけで朝までコースだったし・・俺は何もしてないのに。」

あっ、だから疲れてたんだね。童貞処女の僕には色々刺激がキツイです。
ていうか、僕そんな事になってたんだ。コウに絡んだ記憶はあるけど、甘えたつもりはなかった・・いや、甘えてるな。安心しきってたし。

「まぁ、自分の気持ちが分かって良かったんじゃない?これからの二人の進展が楽しみだよ。」

レンさんにそう言われて、ますますどんな顔をしてコウに会ったらいいか分からなくなってしまった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

眠れぬ夜の召喚先は王子のベッドの中でした……抱き枕の俺は、今日も彼に愛されてます。

櫻坂 真紀
BL
眠れぬ夜、突然眩しい光に吸い込まれた俺。 次に目を開けたら、そこは誰かのベッドの上で……っていうか、男の腕の中!? 俺を抱き締めていた彼は、この国の王子だと名乗る。 そんな彼の願いは……俺に、夜の相手をして欲しい、というもので──? 【全10話で完結です。R18のお話には※を付けてます。】

生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた

キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。 人外✕人間 ♡喘ぎな分、いつもより過激です。 以下注意 ♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり 2024/01/31追記  本作品はキルキのオリジナル小説です。

真夜中の秘め事

弥生
BL
夜の9時には眠くなってしまい、朝まで起きることがない少年。 眠った後に何が起きているかは、部屋の隅の姿見の鏡だけが知っていて……? 透明な何かに犯されるだけのどすけべなお話です。倫理観はありません。ご注意ください。 R18です。

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜

嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。 勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。 しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!? たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。

王子様のご帰還です

小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。 平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。 そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。 何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!? 異世界転移 王子×王子・・・? こちらは個人サイトからの再録になります。 十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。

涙は流さないで

水場奨
BL
仕事をしようとドアを開けたら、婚約者が俺の天敵とイタしておるのですが……! もう俺のことは要らないんだよな?と思っていたのに、なんで追いかけてくるんですか!

処理中です...