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前世のショウとルイ
ショウ1
しおりを挟むルイの前世のその後、現代日本のお話が四話続きます。
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オレの名前は風間翔弥(かざましょうや)十五歳だ。オレには半身とも言える存在が居る。何故かは分からないが、そう確信している。
双子の妹、神楽(かぐら)・・ではなく、幼馴染の月影瑠依(つきかげるい)だ。ルイとは生まれた翌日に会っているらしい。
同じ産婦人科の病院で、数日前に生まれたルイを連れた母親のランさん(月影蘭華)が、オレたちの病室に来たんだって。
オレたちの母さん(風間香久夜)とランさんは、歳はひと回りほど離れているが仲の良い友人なんだ。
初対面の時からオレは、まだ目も見えていないのにルイに釘付けで、手を伸ばして触ろうとしたりしていたらしい。寝返りをうてるようになってからは、とにかくルイに引っ付きに行っていたようだ。歩けるようになると、ずっとルイを追いかけ回していたみたいだな。
だが、自我が芽生えて来るとオレはルイに意地悪をした。何か些細な事が気になってししょうがないんだよ。ルイがカグラと仲良くしていたらムカつくし。
けど、オレ以外のヤツがルイをいじめるのは許せなかったから、そこは徹底的に排除した。まぁ、幼稚園最強と言われていたカグラもいたし、他からのいじめには合っていないと思う。
オレだって、本心からいじめたいわけじゃないんだよ。けど、素直になれなくて・・何何故か優しく出来なかった。泣き顔も可愛いし、ついつい泣かせてしまうんだよな。
自業自得だが小学生になる頃には、ルイはオレを避けるようになった。それにまた腹が立って・・最悪の悪循環だ。
カグラに何度説教された事か。
母さんは、「そのうちにショウも気付くでしょう。度を超えたらあたしがシメるから。」って言ってたな。あれでも度は超えてなかったらしい。良かった。母さん、怒るとめちゃくちゃ怖いんだよ。
まぁ、オレも暴力を振るったりはしないし、カグラと遊んでるのを邪魔したりするくらいだったからな。素直に優しく出来ないだけで。泣かしたりもしたけど・・
小学生の高学年になった頃からは、流石にいじめたりはしなくなったが、まだ素直にはなれなかった。そんな素っ気ない態度のオレと仲良くしようなんてルイも思わないだろう。ルイにも友達はいたし、オレにはなるべく近寄らないスタンスをとっていた。
そしてオレは・・やっとルイへの思いを自覚したものの、どうしたらいいか分からない状態。
男同士って事には何のこだわりもない。親父も昔はガチのゲイだったらしいし(母さんだけは別だったって。納得。)、オレの周りには祖父、叔父をはじめ男同士のカップルが多い。
そうこうしている間に中学生になり、ルイに対して何も行動出来ないまま高校生になった。幸いにして同じ高校。カグラもな。
もう十五歳だ。正直オレはモテる。女子から告白されまくっているが、もちろん全て断っている。
そして、ルイもまたモテる。しかもルイの場合は、男女どちらからもモテるんだよ。中性的な顔立ちをしているし、小柄で華奢だ。その辺の女よりよっぽど可愛いし、最近妙な色気も出て来た気がする。
ヤバい。このままだと誰かにルイを持っていかれるっ?!最近そう焦り出したオレに、カグラが冷やかに言う。
「バカなの?ルイがモテるなんて幼稚園の頃から分かりきってるじゃない?!
ショウと同じように好きだからいじめてくる男子を、あたしがどれだけ撃退したと思ってんのよ?!」
はい。すみません・・・
かと言って、今更どうしたらいいんだよっ?!!
「自業自得。」
ソウデスネ・・・
あぁ、オレにはルイしかいないのに。ルイはオレの半身だ。ルイがいないと生きていけない。どうして昔から素直に優しく出来なかったんだろう?五歳くらいに戻れないかな・・・そしたらむちゃくちゃ可愛がるのに。
オレは毎日頭を悩ませている。
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