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第五章 野外フェス
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しおりを挟む「このメッセージアプリのグループに登録していただけると、みんなに連絡が共有されます。ですが、あまり大人数と繋がるのがお嫌でしたら、私だけを登録して連絡をくだされば充分です。」
「ん?別にかまわねぇが・・・」
「ジュンさん、流石にこの全員と繋がるのは不用心だよ。一応、アンダーグラウンド界ではかなりの有名人なんだからね?
えっと、ケイ先生、ホグハンターの方だけのグループを作っていただけませんか?それに俺が登録します。基本俺はジュンさんと一緒に行動していますので。で、ジュンさんは念のためにケイ先生とだけ繋がって?俺と離れてる時や、ライブ中に万が一黒ホグやらが見えたらケイ先生に連絡するって事でどう?
みなさんもそれでいいですか?」
おぉっ!レンさんが敏腕マネージャーのようだ。そりゃそうだよね。ジュン様だもん。下手に連絡先をばら撒いてストーカーでも発生したら大変だ。
・・・ちょっとジュン様と繋がれなかったのを残念に思ったのは内緒だよ。
くそっ、ケイが羨ましい!!
「もちろんです。ジュンさんもレンさんもよろしくお願いします。無理を聞いてくださってありがとうございます。
ですが、ライブ中は無理でしょう?」
「いや、バンドの時とは違うからな。スマホでケイとのトーク画面を開いて、最初から一文字でも打っておけば送信を押す事くらいは出来る。
まぁ、ライブ中は集中してるからそうそう気付く事はねぇと思うが、ステージ上からだとよく見えるからな。万が一目に入ったら送信するわ。で、その後で見えた方向を指差してやるよ。ケイはこのエリア担当なんだろ?スマホが鳴ったらステージを見ろ。
それでいいか?」
「充分です。ご協力に感謝します。」
「おう!流石に精神崩壊して自殺なんかされたら夢見が悪いからな。そんな可能性を阻止出来るのなら協力くらいはする。フェスは楽しむもんだろ?」
あぁ・・・ジュン様は中身までカッコ良すぎるよ!!
こうして、俺たちはレンさんとメッセージアプリのグループを作り、ケイはジュン様とも繋がった。
あいさつをして二人と別れ、ルナエリア担当の連絡要員さんと配置を決めた後、次のチルアウトスペースのコズミックエリアへと移動する。
コズミックエリアは正面ゲートの奥にある、食のホールと言われるフードコートのような場所だ。なかなかの広さがある。ショッピングセンターのフードコートより広いんじゃないかな?
通常はバイキングレストランのゾーンとピザ工房、クラフト工房があるんだけど、今日はクラフト工房だけが通常の閉園時間まで営業しているようだ。
メニューは数種類の地ビールと自家製ソーセージ、フライドポテトとハンバーガーなどの軽食とソフトクリーム。ソフトドリンクもあつかっている。
閉園後は、地ビールとソフトドリンクのみがフェススタッフによって販売されるらしい。
大きなテーブルと背もたれのないベンチが2/3をしめ、後の1/3は四人がけのボックス席。幼児用のイスもあるみたいだ。
イスやテーブルが邪魔そうだけど、チルアウトスペースなので激しく踊る人はいないだろうし、イスに座ったりベンチに寝転んだりしてアンビエントな音楽に身を任せるって感じなんだろう。
「いいわね!あたしは地ビールでも飲みながらここでゆっくりと過ごすわ~」
「・・・ちゃんと仕事もしろよ?」
もちろん、木村博士とゲン先生の会話だ。
「もちろんよ~!だって黒ホグ見たいし?けど、わざわざ他のエリアに行くのも面倒くさいから、ここで出てくれないかな~」
「おいコラ、出るのを願うな!頼むからちゃんと狩ってくれ。間違ってもしばらく観察とかするなよ?!
・・・この人と組むのは誰だ?ん?あんたか?頼むわ。黒ホグだけじゃなく、この人もしっかり見張っててくれ・・・」
ゲン先生に言われ、神妙な面持ちで頷く連絡要員さん・・・けど、その人も製薬会社の人だよね?木村博士と同じく「黒ホグ見たい!」的な人じゃないの??
大丈夫かな・・・
と、思わなくもないけど、昨日ケイに聞いたところによると、木村博士のホグは麒麟(首が長いキリンじゃなく聖獣の方)で、ものすごく強いらしい。名前はコウ。
あの複雑な外見を細かく再現し、威圧感だけでトラウマのホグや濃紺ホグを狩るんだって。
正直、黒ホグを少々観察したところで、次の瞬間には即狩る能力があるらしから安心していいとの事。
もし危険そうなら連絡をしてもらって、俺たちがこっちに向かう事も決めてある。元々はこのエリアも兼任する予定だったんだからね。
後はフードエリアとキャンプエリア。
ソーラー、ルナ、コズミックのエリアは正面ゲートを底辺とする正三角形になっている。
右にソーラー、左にルナ、頂点にコズミックだ。
ソーラーエリアの右横には観覧車やミニコースターなどの大型遊具があり、ルナエリア左横はチューリップ畑などの自然公園とさまざまな体験施設がある。
この体験施設には、ソーセージやパン作りなどの食に関するものの他、陶芸やレザークラフト、粘土細工、フラワーデコレーションなどもあり、子どもだけでなく大人にも人気があるようだ。
そして、正三角形の真ん中にはフードエリア。普段の公園にはない場所だ。
いつもは正面ゲートから各エリアへ向かう中心のだだっ広い広場に、フェスのフード出店者たちがテントを立てたり、キッチンカーを出したりして、立派なフードエリアとなっている。
野外フェスのご飯って美味しいよね!普段食べない国の料理や、ジビエなんかもあったりして楽しい。
俺が後で何を食べようかと物色してキョロキョロしているうちに、ケイは連絡要員さんの一人に指示を終えていた。
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